偽関節とは?交通事故で後遺症があるとどうなる?分かりやすく解説

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偽関節とは?交通事故で後遺症があるとどうなる?分かりやすく解説

交通事故で骨折し、うまく骨がもどらないと「偽関節(ぎかんせつ)」という状態になることがあります。

本来であれば骨折した部分は自然にくっつき元通りになるはずですが、偽関節になると異常が発生していることになるため、生活にも支障をきたす恐れがあります。

偽関節になった場合、後遺障害に認定される可能性があります。偽関節であると医師に診断された場合、自賠責保険へ後遺障害の申請をすることで、後遺障害の認定を受けることも可能です。

ただし偽関節の場合、偽関節の症状が出ていることが分かりにくいケースがあるうえに、長期的な治療を保険会社が避けるため、保険会社とスムーズに話がつかない可能性があります。

この記事では、偽関節で後遺障害と認められる場合の症状や等級、正しく後遺障害等級をしてもらえないケースについて、詳しく解説します。

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1 偽関節とは?交通事故で起こりうる後遺障害のひとつです

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「偽関節」とは、骨折した骨が再生段階で止まってしまい、本来はつながっているべき部分がうまく癒合(ゆごう)していない状態です。

文字どおり「偽(ニセ)」の関節ができているような、本来曲がってはいけない部分が動くなどの異常が起きてしまいます。

骨を動かす際に鈍い痛みが生じるほか、力が入らなかったり、装具がないと動けなくなるなど、部位や状態によって症状はさまざまです。

骨の癒合プロセスが止まってしまっているため自然治癒を待つだけでは不十分で、外科手術が必要になることもあります。

以前と同じ動きが自由にできなくなってしまうため、偽関節と診断された場合にはしっかりと治療をほどこすことが大切です。

1-1 偽関節になる原因とは?

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偽関節になってしまうのは、複数の原因が重なっていることが多いです。

・骨折した場所の固定不足
・血行不良
・骨の欠損
・細菌感染
・血腫(けっしゅ)の流出
・過剰な喫煙やアルコール接種
・糖尿病

たとえば骨にある動脈が切断されてしまうと、血行が悪くなってしまい癒合が難しくなります。

もしも骨折から6か月以上経過しても骨がズレているのであれば、「癒合不全」つまり偽関節であると診断されることが多いです。

2 偽関節の後遺障害の等級とは?分かりやすく解説

交通事故の賠償金の請求にあたって、「後遺障害等級」の認定を受けることは金額を大きく変化させます。

偽関節により、痛みや体の動かしづらさなどの後遺症が残れば、その後の仕事の収入や私生活にも影響を及ぼします。

後遺障害等級の審査を行うのは、損害保険料率算出機構の「自賠責損害調査事務所」です。

なお、自賠責損害調査事務所とは自賠責保険とは異なる組織で、自賠責保険の支払いをする損害保険会社側に有利な判断をすることはありません。中立的な立場で判断をしてくれるはずなので、調査の前にあらかじめ、正しい判断をしてもらえるようしっかり準備して臨むことが必要です。

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2-1 等級に不満がある場合は異議申し立てが可能

もし後遺障害申請の結果に不満がある場合には、異議申し立てをすることもできます。あるいは、訴訟提起をすることで裁判所に正しい判断をあおぐことも可能です。

ただし、自賠責損害調査事務所はすでにしっかりと調査をしたうえで、等級を判断しています。

結果をくつがえすためには、説得力がある相応の証拠や主張が必要です。

主治医と話し合い、新たな医療記録を取得するなど、等級の見直しが必要であるほどの症状を証明しなくてはいけません。

・カルテ
・レントゲン検査結果
・画像鑑定の結果
・日常生活に感じている障害
・症状を裏付ける証拠

上記のようなものを収集してから異議申し立てをすることで、等級を見直してもらう可能性が上がります。

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3 偽関節の後遺障害等級とは?部位を分かりやすく解説

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偽関節になりうる部位は主に、「上肢(じょうし)」や「下肢(かし)」です。

おおまかに表現すると、上肢とは上半身の腕や手、下肢は下半身の脚や足があてはまります。

ただし後遺障害等級についてはかなり細かく条件が決まっており、「偽関節」として扱われるのは主に「長管骨」と呼ばれる、上肢と下肢それぞれ3本の骨です。

▼上肢の長管骨
・上腕骨
・前腕の橈骨
・尺骨

▼下肢の長管骨
・大腿骨
・腓骨
・脛骨

とはいえ、その他の骨が変形癒合してしまった場合にも、正しく後遺障害等級を認定されます。

▼その他の骨の例

・鎖骨
・胸骨
・肋骨
・肩甲骨
・骨盤骨

ここからは、それぞれの部位が偽関節になってしまった場合について、後遺障害等級分けの主なルールをご紹介します。

4 偽関節における後遺障害等級のおもな分け方4つ

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偽関節の場合、上肢と下肢いずれの場合も、主に以下の4パターンに振り当てられます。

①該当箇所に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
②該当箇所に偽関節を残すもの
③長管骨に変形を残すもの
④上記に当てはまらない場合の救済等級

①から順番に重度であると判断され、賠償金は大きくなります。

それぞれのパターンについて、詳しく解説します。

4-1 該当箇所に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの

「該当箇所に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とはつまり、硬性補装具を常に使用している状態であり、指定されたケースに該当する場合があてはまります。

▼該当する後遺障害等級
・上肢の場合:7級9号
・下肢の場合:7級10号

さらに、下記のいずれかのケースに当てはまっている場合に、後遺障害等級が7級となります。

▼上肢の条件
①上腕骨の骨幹部および骨幹端部に癒合不全を残すもの

②橈骨および尺骨の両方の骨幹部や骨幹端部に癒合不全を残すもの

▼下肢の条件
①大腿骨の骨幹部や骨幹端部に癒合不全を残すもの
②脛骨および腓骨の両方の骨幹部や骨幹端部に癒合不全を残すもの
③脛骨の骨幹部や骨幹端部に癒合不全を残すもの

上記のケースにあてはまらない場合には、後述でご紹介する③のケースとして後遺障害等級が認められる可能性があります。

4-2 該当箇所に偽関節を残すもの

上記でご紹介した、上肢と下肢それぞれの条件にはあてはまるものの、「常に硬性補装具を使用する必要がない場合」には、8級に認定されます。

▼該当する後遺障害等級
・上肢の場合:8級8号
・下肢の場合:8級9号

4-3 長管骨に変形を残すもの

長管骨が上記に該当する偽関節として認められない場合にも、変形しているとわかる場合には、後遺障害等級が認めれます。

たとえば、ひとめで変形がわかる場合、該当する可能性が高い後遺障害等級は、「12級8号」です。

7級や8級に当てはまらないとしても、諦めずに申請してみましょう。

4-4 上記に当てはまらない場合の救済等級

上記でご紹介してきた「変形障害」に当てはまらなくても、事故前の状態とは異なる感覚がある後遺症がある場合、後遺障害等級に該当する可能性があります。

該当する後遺障害等級は「14級9号」や「12級13号」であり、局部に痛みなどの神経障害が残っている場合に該当します。

長管骨ではない部分の骨に癒合不全が見つかる場合などには、12級13号にあてはまるかもしれません。

実際には、後遺障害等級としてもっとも多く割り振られるのが「14級9号」です。

ただし、治療期間が6か月未満となってしまう場合、認定してもらえない可能性が上がります。

5 偽関節で後遺障害を認められるためのポイント

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偽関節で後遺障害を認められるために、適切な治療を受けることはとても重要です。

①因果関係を立証する
②治療期間はしっかり通う

上記のポイントはかならずおさえたうえで、自賠責保険の後遺障害の申請をしましょう。

5-1 因果関係を立証する

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交通事故で偽関節になってしまった場合には、交通事故と怪我の因果関係を立証する必要があります。

問題となった骨折が交通事故によって生じたもの(外傷性)であること、その交通事故によって起こったことの証明が必要です。その証明のためには、事故後、速やかに病院で診断、治療を受けることが重要です。

たとえば、骨折時にレントゲンをとった後も、定期的にレントゲンを取り続け、骨の状態をしっかり把握しておきましょう。

違和感や痛みを感じる部分はしっかりと主治医に話し、認識してもらいながら、ズレた骨や失った部分の骨の経過を観察します。

万が一保険会社が「事故によるものではない」と主張してきた場合にも、軽度の事故と感じられた場合でも、事故との因果関係を立証できるように、速やかに病院に行きましょう。

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5-2 治療期間はしっかり通う

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偽関節の治療は長期間となるため、保険会社はなるべくはやく治療費の支払いを打ち切ろうとする傾向があります。

しかし、偽関節が残ってしまった場合には、今後の人生にも大きな影響をおよぼすはずです。

自分の状態に合う適切な判断のもと、正しい賠償金を受け取るためには、しっかりと医師の判断に従い通院してください。

「そろそろ面倒だし、通うのをやめよう」と自己判断で通院をやめてしまうと、後遺症自体が残りやすくなり体に負担がかかる一方で、賠償金請求ができなくなります。

日頃のいそがしい生活の中で病院に通うのは負担になるかもしれませんが、痛みが残っているのであれば、しっかり治療を継続することを強くおすすめします。

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6 【まとめ】偽関節とは?因果関係を分かりやすく立証しよう

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偽関節になってしまうと、今までの身体とは違う感覚が残ることにより、生活に支障が出てしまいやすいです。

賠償金として必要になるのは治療費だけでなく、通院交通費や仕事を休むにあたり出てしまう損失なども当てはまります。

一方で保険会社は、3〜4か月ほどで治療費の打ち切りを打診してくることも珍しくありません。

ケガをして心身ともに辛い時期とは思いますが、正しい判断のもと強い気持ちを持って、偽関節の治療に専念し、適切な後遺障害等級を獲得しましょう。

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