左方優先とは?交通ルールと優先道路を見分ける方法を徹底解説
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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信号機がある場合には、信号機の色にしたがって通行しなくてはいけません。
もし交通事故が起きてしまった場合には、信号機にしたがっていなかった側に過失があると判断されます。
一方で信号がない道路の場合、「優先道路」を見極めて走行しなくてはいけません。
日本では基本的に「左方優先」ですが、これは「優先道路」としてより優先される標示がない場合です。交通事故があった場合には、違反しているほうに重い過失割合が定められます。
今回は、左方優先とはどのようなルールなのかから、優先道路とはなにか、なぜ日本では左方優先が定められているのかまで、詳しくお伝えします。
1 左方優先とは?事故を防ぐための交通ルールです
車が道を走るうえで事故や渋滞を防ぐため、交通ルールが決められています。
「左方優先」とはその名の通り「左側を走っている車が優先される」という意味の交通ルールです。
ただし道路交通法では「左方優先」よりも優先的に従うべきルールも設定されているため、すべての場合に左側を走っている車が優先されるわけではありません。
▼左方優先になる主なケース
・信号機がない
・優先道路の標識がない
・交差する道路の道幅が同じである
・優先関係がわからない
上記すべての条件がそろったときに左方優先であると判断され、左方にいる車が優先的に直進して良いことになります。
たとえば、車両通行帯のある十字路では、車両通行帯の通っている道が優先道路であるという交通ルールが決められているため、左方優先は適応されません。
一方で車両通行帯がなく、どちらが直進の道でどちらが合流の道なのかが判断できない十字路の場合には「左方優先」となり、左側にいる車が優先されます。
つまり、道路交通法で定められている交通ルールを正しく理解しておかなくては、交通事故の原因になるということです。
1-1 「左方優先」が定められる法律「道路交通法」とは?
交通ルールとは「道路交通法」にしたがって定められているものです。
万が一交通事故が起こった場合には該当する法律にしたがい、罰則の割合が決まります。道路交通法では、道路の状況により従うべき優先順位が指定されています。
そこで、車を運転する上で重要なのは、「優先道路」を見極めることです。
「左方優先」とは、優先道路として見分けがつかない場合に、左側が優先されるというルールです。
つまり「左方優先」の優先度は比較的低く、もっと優先されるルールをおさえた上で、判断しなくてはいけません。
ここからは、左方優先よりも優先されうる「優先道路」についても詳しくご紹介します。
2 優先道路とは?左方優先よりも優先される交通ルール
優先道路とは、信号が設置されていない道路において、優先的に走行して良いと定められている道路のことです。
どの道が優先道路とされるべきかというのは、道路交通法により明確に定められています。
ただし優先道路を走る場合にも、交差点を通行する際には周りの車や歩行者へじゅうぶんに注意し、安全な速度で配慮のある走行をしなくてはいけません。
一方で非優先道路を走る場合には、交差点へ進入するにあたり徐行や一時停止をおこない、優先道路を通行する車の走行を妨げないように走行する必要があります。
そこで、交差する道のどちらが優先道路かハッキリしない場合には「左方優先」であると判断するため、左側にいる車が優先道路を走行できるということです。
では具体的に、優先道路を見分ける方法をご紹介します。
3 優先道路の見分け方を解説!
優先道路を見分けるための方法は、主に4つあります。
①センターラインの有無
②「優先道路」の標識がある
③「前方優先道路」の標識がある
④道幅の広さが違う
上記のいずれかが認識できる場合、どちらが優先道路であるかを見分けることが可能です。
反対に、上記のいずれも認識できない場合には、「左方優先」が適用されます。
4つそれぞれの見分け方を、詳しく解説します。
3-1 センターラインの有無
交差点内では、交差する道路の一方だけにセンターライン(中央線)が引かれていることがあります。
センターラインが交差点の中央をそのまま突っ切っている方が、優先道路です。
一方で非優先道路のセンターラインは、交差点で途切れています。
交差点で交わるときに、どちらのセンターラインが優先されて引かれているのかを見て、優先道路を判別することが可能です。
3-2 「優先道路」の標識がある
優先道路である場合には、優先道路であることがわかる標識が設置されていることがあります。
優先道路を示す標識は、青地に白の上方向矢印が目印です。
縦に伸びる太い矢印マークに、細い横ラインが通っています。
縦の太い矢印マークは優先道路を、横の細いラインは交差する非優先道路を示しており、この標識が設置されている道が優先道路であるとわかります。
3-3 「前方優先道路」の標識がある
交差点へ進入前に設置された「徐行」や「一時停止」の標識の上に、「前方優先道路」の補助標識がある場合があります。
この場合、「前方優先道路」の標識がある道路が非優先道路であり、交差点で交わる道路が優先道路となることがわかります。
ほかにも、道路に逆三角形が書かれている場合、いま自分の走っている道路が非優先道路であると判断することが可能です。
3-4 道幅の広さが違う
道幅の広さが明らかに違う道路が交差する場合には、広い方の道路が優先道路です。
道幅が狭いほうの道路は優先順位が低いため、道幅が広い道路を走る車が優先されます。
信号や標識、センターラインがすべて設置されておらず、道幅が同じ道路が交差している場合には、左方優先が適用されると覚えておきましょう。
4 優先道路や左方優先で交通事故が起きた場合の過失割合
ここまでは、優先道路と非優先道路があることをお伝えしました。
そこで間違われやすいのが、交通事故が起きた場合の過失割合です。
交差点で起きた事故の場合、優先道路がない場合には左方優先が適用されるため、必ずいずれか
一方が優先的に走行して良いはずであることがわかります。
では、交通事故が起きた場合には、非優先道路を走っていた側に100%の過失があるのでしょうか?
結論、優先道路を走っていた側にも過失が認められることがほとんどです。
4-1 優先道路や左方優先で過失割合を判断する方法とは?
道路交通法では、優先道路あるいは左方優先時の左方を走る車の運転を妨げてはいけないことが定められています。
しかし、優先道路や左方優先時の道路を通行しているからといって、傲慢な運転が許されるわけではありません。
車を運転する者は、まわりの車や歩行者に対してじゅうぶんに気をつけて、思いやりのある運転をする必要があります。
つまり、動いている車はどのような場合であっても、ほとんどのケースで過失が生じると考えましょう。
もし交通事故が発生した場合には、両者の主張やドライブレコーダー、目撃者の証言から、過失割合の加点と減点を割り出します。
5 優先道路や左方優先で加点・減点になるポイントとは?
優先道路や左方優先が適用される場合、過失割合は両者の運転がどうであったかを確認した上で加点・減点し判断されます。
たとえば、左方優先である交差点で左方が右折、非優先側が直進をしていた場合、過失割合はどうなるのでしょうか?
道路交通法では、左方優先であることと同時に、右折者より直進車が優先されることも定められているため、過失割合は総合的に判断する必要があります。
上記の場合、基本的には左方優先が適用される右折車の過失が40%、非優先側である直進車の過失が60%とされることが多いです。
しかし、両者の走り方によっては、それぞれ過失割合の増減が起こります。
左方優先でも加点される(過失が増える)要素としては、たとえば下記が挙げられます。
▼加点要素(過失割合が増える要素)
・減速しなかった
・徐行しなかった
・右折禁止違反をしていた
・速度違反をしていた
・重過失があった
など
優先道路である場合と、左方優先である場合ではそれぞれ、基本の過失割合が定められています。
・優先道路10%:非優先道路90%
・左方優先40%:非優先:60%
上記のような基本の過失割合をもとに、加点と原点をすることで、最終的な過失割合を割り出します。
つまり、左方優先である場合にも基準となる過失割合に大差はないため、減速や注意の有無によっては過失割合がひっくりかえることも珍しくはありません。
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6 左方優先である理由とは?
日本では道路交通法により、車両は中央線から左側を走行しなくてはいけないことが定められています。
▼車両の例
・原動機付き自転車:スクーター・セグウェイなど
・軽車両:自転車・リヤカー・人力車・ソリなど
・自動車:普通自動車・特殊自動車・自動二輪車など
車両とは、車輪が備わっており車輪によって走るものすべてを意味します。
道路上を走るものだけではなく、工場内のみを走るものもすべてです。
左方優先が適用されるのは、車両が左側走行をしなくてはいけないことにより、交通事故を防止する目的があります。
両者が道の左側を走っており、運転席は右側についていることをふまえた上で、左右どちらを走っている車の方が交通事故を回避しやすいかに焦点を当ててみてください。
右側にいる車の方が左側を視認しやすいうえに、衝突しうるまでの距離が長いため、左方優先にした方が右側に確認の余地をあたえやすく、交通事故が防ぎやすいはずです。
しかし実際には、教習所で学んでいるにもかかわらず、正しい交通ルールを把握していないドライバーは多いです。
優先関係は頭に入れつつ実際に運転する際には、ドライバーどうしのコンタクトや状況の総合的な判断が大切になります。
7 まとめ:左方優先でも思いやりのある運転をしよう
たとえば、左方優先というルールに従って走っていた車に対し、非優先側の車が衝突することによる交通事故であった場合にも、両者に過失があると判断されます。
優先はあくまで優先されるものというだけであり、どんな走行をしても良い権利ではありません。
重要なのは、たとえ左方優先が適用される場合や、優先道路を走っている場合にも、かならず周りを確認し徐行や一時停止をしてから交差点を走ることです。
優先の有無にかかわらず、配慮にかける運転をしていた場合には過失が認められます。
車を運転するからには、つねに周りへ気を配り、事故そのものを起こさないよう心がけましょう。
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。