特殊清掃のトラブル|防ぐために業者選びのコツを弁護士が詳しく解説
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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「一人暮らしの親が孤独死をしていたと連絡があった」
「遺体が腐敗してひどいにおいがする部屋は、どのように清掃すればいいの?」
自殺や事故、孤独死などの現場で、壮絶な状況を目の当たりにすれば、誰もが途方に暮れるものです。
日本で一人暮らし世帯は増加傾向にあり、自宅で亡くなり長期間発見されないこともしばしばあります。
ご両親や親族などが一人暮らしであれば、このような現場に遭遇する可能性が誰の身にもおこり得るのです。ドラマの中だけではありません。
この記事では、孤独死などの壮絶な現場の特殊清掃について紹介します。
特殊清掃にはどんなトラブルがあるのか、またトラブルを防ぐための業者選びのコツまで詳しく解説します。
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何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
1 特殊清掃とは
特殊清掃とは、一般的な掃除では落ちない汚れを落とすことです。特殊な技術や器具、専用の薬剤をもちいて汚れやにおいなどを徹底的に清掃します。
たとえば自殺や事故、孤独死などで遺体が長時間置された部屋には、遺体から出た体液や血液が床に浸み込み腐敗臭が充満しています。
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またウジやハエなどの害虫や、ネズミなどの害獣が群がり、細菌やウィルスなどの病原菌が繁殖していることも。
このような部屋は普通の掃除ではどうにもならないため、特殊清掃が必要となるのです。
他にもゴミ屋敷やペットによる糞尿やペット臭、火災や水害などの被害にあった住宅の清掃などに利用されることもあります。
2 特殊清掃でよくあるトラブル
特殊清掃でよくあるトラブルを順に解説します。
2-1 安すぎる見積もり金額を提示後、追加料金を請求してくる
安い見積もり金額に納得して依頼したのに、作業の途中で「追加料金を払わなければこれ以上の作業はできない」といわれることがあります。
依頼主は、作業を途中でやめられては困るので承諾するしかありません。
また安すぎる見積もり金額の業者は、作業の質が悪いことも。
他社と比べて、あまりにも安い金額を提示する業者は注意が必要です。
2-2 金品や貴重品を窃盗される
部屋に金品や貴重品が置いてあったとしても、亡くなった本人しか知り得ないことも多いでしょう。
悪質な業者の場合は、それを盗まれる可能性もあります。
特殊清掃は密室でおこなわれるため、人目につかず簡単に窃盗されてしまうことも。
とくに現金や貴金属などは、軽量で小さく気づかれにくいので盗まれやすいのです。
2-3 勝手に貴重品を処分される
貴重品や残してほしいと依頼していた遺品などをきちんと捜索することなく、不用品と一緒に処分されてしまうことがあります。
一度処分したものを取り返すことはできません。
「最初からありませんでした」といわれれば、それ以上の追及はできないのです。
あらかじめ貴重品があることがわかっているのであれば、できれば業者が入る前に持ち出しておくといいでしょう。
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2-4 掃除後もにおいがとれていない
適当な作業をされると、一時的ににおいがとれたとしても、後で再びにおいが出てくることもあります。
強烈なにおいの原因は、表面の汚れだけではなく床下や壁の石膏ボードにまでしみ込んでいることもあるのです。
そのような場合、表面の汚れやにおいをどんなに除去していても、時間がたてばまた床下や壁の奥からにおいは出てきてしまいます。
悪質な業者だとアフターケアもしてくれず、再度他の特殊清掃業者に依頼する必要が出てくることも。
2-5 特殊清掃業者がゴミを不法投棄する
悪質な特殊清掃業者にゴミを不法投棄されてしまうこともあります。
不法投棄する悪質業者にゴミの回収を依頼した場合、依頼者は不法投棄を疑われたうえに再度ゴミの処理料を負担させられる可能性があるのです。
不法投棄は犯罪ですので、処理を依頼した側にも罰則が科されることも。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」でゴミの不法投棄は禁止されており、個人の場合は5年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またはこれを併科と規定されています。
3 特殊清掃の作業内容
特殊清掃の作業内容は、業者や清掃する部屋の状況によっても変わります。
いずれの場合も過酷な現場で、高度な技術と豊富な知識、特殊な機器や薬剤などをもちいておこなわれる作業です。
ここでは、特殊清掃の一般的な作業内容を紹介しましょう。
3-1 孤独死やゴミ屋敷の部屋を消毒
孤独死やゴミ屋敷の部屋は、ただ汚れを落とすだけではなく消毒が必要です。
消毒薬を散布し、壁や天井、床、カーテン、家具など部屋中を消毒します。部屋の消毒は、単純に室内の消毒をすればいいわけではありません。
作業員の自己防衛や、感染症予防など近隣への配慮も必要です。
業者によって使用する消毒薬の種類が違うこともあり、料金や仕上がりの違いにつながることもあります。
3-2 不用品の処分および遺品や貴重品の整理
不用品の処分および遺品や貴重品を整理します。
遺族は事前に打ち合わせて、回収してもらいたい遺品や貴重品を伝えておきます。
業者と一緒に遺品の回収も可能ですが、悪臭などで部屋の状態がひどい場合はやめておいたほうが無難でしょう。
また遺品や貴重品などにも死臭がしみついてとれないことも多いです。しかし、遺族が望むものは消毒や消臭を十分施したうえで返してもらえます。
他の不用品は処分されます。
3-3 害虫や害獣の駆除
遺体の腐敗が進むと死臭をかいでハエが集まり遺体に卵を産み付けます。孵化した卵は大量のウジ虫になるのです。
他にもネズミなどの害獣が発生することもあるため、これらの害虫や害獣を駆除します。
人が出入りすることで、菌を持った害虫や害獣が外に出て二次被害を起こさないように、窓や扉などをすべて閉めての完ぺきな作業が必要です。
3-4 体液など汚染箇所の清掃または解体
遺体のあった場所の清掃をします。長い期間遺体が放置されていた場所には、体液が床や畳にしみこんでいる場合もあるので、徹底的ににおいの根源を除去しなければなりません。
場合によっては、壁を壊したり床板をはいだりしてのリフォームまで必要となります。
外観だけを掃除すればいいわけではないのです。
3-5 オゾン消臭や脱臭
最後にオゾンで消臭や脱臭することで、腐敗臭を消し去ります。
オゾンは化学記号ではO3と表され、酸素分子O2にもう一つ酸素原子Oがくっついた不安定な形です。単体の酸素原子Oは、離れて他の物質にくっつきやすくなりますが、この作用を酸化と呼びます。
オゾンは非常に強い酸化能力をもっているため、臭気物質を酸化することで消臭や脱臭ができるのです。
4 トラブルを防ぐ特殊清掃業者選びのコツ
特殊清掃でトラブルを防ぐためには、業者選びがとても大切です。
ここでは、トラブルを防ぐ特殊清掃業者選びのコツを解説します。
4-1 特殊清掃の実績や経験が豊富な業者を選ぶ
大切なのは、特殊清掃に特化した実績や経験が豊富な業者を選ぶことです。
ホームページで実績や事例の確認をしたり、口コミをチェックしたりします。
きちんとしたホームページがなかったり、住所や代表者名の記載がなかったりする業者は要注意です。
特殊清掃は、依頼ごとに異なる状況の部屋を清掃します。実績や経験のない業者では、適切な処理ができないために、においや汚れが取り切れないこともあるのです。
経験豊富な業者であれば、過去の事例で経験済みなため、どのような現場でも柔軟に対応できるでしょう。
4-2 希望する条件に合った業務内容の業者を選ぶ
こちらが希望する条件に合った業務内容の業者を選びましょう。
たとえば以下のように、清掃・消毒以外に何をどこまでしてほしいかを具体的に確認します。
- 遺品整理
- 不用品の処分や買取
- リフォームまでやってほしい
- 物件を買取ってほしい
- 即日対応できるか
- 支払い方法は何が選べるか? 現金やクレジットカードなど
疑問に思う点は、事前に業者へ質問するといいでしょう。
それらの質問に対して、真摯に答えてくれる業者なら安心です。
4-3 見積書の値段が明確で納得できる業者を選ぶ
見積書の値段が明確であり、納得できる業者を選びましょう。
見積書の値段が適正かどうかを調べるには、相見積をとって比較することが有効です。
また特殊清掃業者には、以下のような一連の作業をパックにしている業者もあります。
- 清掃
- 消毒
- 害虫駆除
- オゾン脱臭
パック料金であれば追加料金不要だったり、上限の金額が設けてあったりすることもあるでしょう。
このように作業内容と料金が明確であり、納得できる業者を選べば安心です。
4-4 担当者とのやりとりから信頼できる業者を選ぶ
特殊清掃のトラブルを防ぐために、担当者の対応が信頼できる業者を選ぶことが大切です。
ホームページ上ではいくら好感がもてて信頼できそうな業者に見えても、それだけでは判断できません。
実際に、見積もりを頼んだり作業内容を問い合わせたりすると、担当者の対応に不信感をもつこともあります。このような業者との契約は避けたほうが無難でしょう。
また質問しても納得のいく回答がなければ、安心して作業をまかせられません。
どんな質問にもこちらに寄り添って、真摯に回答をくれる業者であれば安心でしょう。
5 特殊清掃の費用相場|料金表
特殊清掃の大まかな目安を紹介します。
【作業内容別の特殊清掃料金例】
作業内容 |
料金の目安 |
床特殊清掃 |
30,000~100,000円 |
消毒剤の散布 |
10,000~25,000円 |
畳の撤去 |
3,000~9,000円(1枚当たり) |
オゾン脱臭 |
30,000~50,000円 |
害虫・害獣駆除 |
10,000円~ |
特殊清掃の料金は、部屋の状況によって大きく変わります。
とくに遺体が発見されるまでに時間かかってしまい、床下まで体液が浸み込んでしまった場合は料金も高額になりがちです。
フローリングの張替えや基礎部分までのリフォームが必要であれば、100万円を超えることも。
厚生労働省の平成20年「高齢者が安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」では、下記のように特殊清掃で80万円ほどかかったとの報告もあります。
引用元:厚生労働省公式サイト「高齢者が1人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議 平成20年」
6 特殊清掃のトラブルを防ぐには信頼できる業者へ依頼を
特殊清掃への依頼は、一生に一度あるかないかのことも多いはずです。
急な事態に、どうしたらよいかわからずパニックになることも。
そんなとき大切なことは、落ち着いて信頼できる業者に相談し特殊清掃を依頼することです。
しかし時間の経過とともに状況はどんどん悪化するので、迅速な対応も大切となります。
特殊清掃業自体が、まだまだ確立されていない部分も多い業種ですが、高い知識や技術が必要で、精神的にも肉体的にも過酷な作業です。
ホームページの実績や担当者の対応、見積書の内容などから信頼できる業者であれば、トラブルも防げるでしょう。
現在、特殊清掃のご相談は受付しておりません
ただいま鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
使途不明金や不動産の評価等の専門的な遺産調査や、交渉・裁判に力を入れて取り組んでいます。
相続の法律・裁判情報について、最高品質の情報発信を行っています。
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