【民事裁判での証人尋問】当日の流れや注意点を弁護士が解説!

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

相続について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

使途不明金や不動産の評価等の専門的な遺産調査や、交渉・裁判に力を入れて取り組んでいます。

相続の法律・裁判情報について、最高品質の情報発信を行っています。

ご相談をご希望の方は無料相談をお気軽にご利用ください。

【民事裁判での証人尋問】当日の流れや注意点を弁護士が解説!

民事裁判では争点がある場合、証拠調べの場面で証人尋問当事者尋問が行われることもあります。

証人尋問は裁判を左右することもあり、裁判の心証を決定づける可能性があるのです。

裁判所で証人尋問を受ける機会は人生でそう多くはありません。自分がいざ、証人尋問を受けることになると緊張する人は非常に多いです。尋問は事前の準備によって結果が大きく変わります

本記事では、民事裁判での証人尋問について確認しておくべきこと、当日の流れや注意点について解説します。

1 民事裁判における証人尋問とは?

裁判所|民事裁判における証人尋問とは.jpg

民事裁判における証人尋問、当事者尋問とは、訴訟の当事者や関係者へ行われる質問のことで、その結果は人的証拠として扱われます。

民事裁判における証拠は、人的証拠と物的証拠に分かれますが、基本的には、人的証拠よりも物的証拠(契約書やメッセージの履歴など)が重視されます。

そのため、証人尋問は物的証拠の整理が一通り済んだ後に行われるのが通例です。証人尋問の段階では、裁判所の心証は固まっていることも多いです。

しかし、物的証拠だけでは判断できないような場面もあり、証人尋問での証言が決定的な証拠になり、裁判官の心証を左右することもあります

1-1 証人尋問がない裁判もある

証人尋問は、原告と被告の間で争点があり、事実確認のため必要となります。そのため、被告が原告の主張を認めており、争点がない裁判では証人尋問がないケースもあります。

また、被告が裁判に出廷しないような場合にも、尋問手続は実施されません。

2 証人尋問の事前段階

証人尋問の事前準備.jpg

裁判で証人が証言を行うためには事前に決められた手続を行う必要があります。証人の申請から、裁判期日までにどのような事前準備があるか解説します。

2-1 証人の申請

裁判に証人が必要な場合は、裁判所に対して証拠申出書を提出することで証人を申請できます。証人候補の選定については、証人として協力してくれる人物かどうかが非常に重要です。

証人に採用された場合には、出廷しなければならず、時間や精神的な負担をかける可能性があります。証拠申出書には下記のような事項を記載します。

  • 誰を証人とするのか
  • 証人にどのような尋問を行うのか
  • 尋問の予定時間

申請の際には、証人候補者より陳述書を提出します。陳述書には、証人候補者が事件に関して経験した事実や、どのような証言を行う予定かを記載し、署名・押印をします。

2-2 証人の採用

裁判官は証人による証言が必要かどうかを検討し、必要と判断した場合に証人が採用されます。

また、申請されたなかから誰を証人とするのか決めるのも裁判所です。証人が複数人採用された場合は、どのような順番で証言を聞いていくのがよいか、証人のスケジュールも裁判所によって決定されます。

2-3 証人尋問のシミュレーション

裁判前には証人尋問のシミュレーションを入念に行います。尋問手続は裁判所で行われる公的手続であり、独特の緊張感の中で行われます

証人尋問では、実際にどのような内容を質問するのか、どのように答えるのかを打ち合わせするものです。相手の弁護士から予想される尋問(反対尋問)に対しても、どのように回答するか練習することもあります。

3 証人尋問の流れ

証人尋問の流れ.jpg

期日には裁判所へ行き、法廷で証言をしなければなりません。基本的に、当事者以外の証人は当事者よりも先に尋問を受けるケースが多いです。

証人尋問は、主尋問・反対尋問・補充尋問の流れですすんでいきます。弁護士がいる横から質問をされ、裁判官がいる前に向いて答えなければなりません。主尋問と反対尋問の目安時間は事前に決められており、時間になると裁判官によって尋問が打ち切られることもあります。

証人尋問の内容は全て録音され、その後、裁判所で反訳(文字起こし)されます。

3-1 主尋問

主尋問は、証人を申請した側が行う尋問のことです。

多くの場合は代理人弁護士から立証したいことについて質問を受けます。提出した陳述書やシミュレーションした内容に沿って答えていけばよいため、事前準備をしっかりと行うことで落ち着いて回答できるでしょう。

3-2 反対尋問

反対尋問は相手の代理人弁護士から受ける尋問のことです。

反対尋問は、主尋問に関してその信憑性を問うために行われます。主尋問で立証しようとした内容について裁判官に疑問の目を向けさせることが目的です。そのため、主尋問での証言内容に関して不自然な点や矛盾点について質問を受けます。反対尋問と主尋問は、繰り返されることもあります。

3-3 介入尋問

主尋問と反対尋問が行われるなかで、裁判官が突然質問をしてくる介入尋問があります。

たとえば、主尋問と反対尋問のなかで、あいまいな返答をしてしまった場合に、裁判官が「~については、~ということですか?」など、事実を明確にするための尋問を行います。介入尋問の有無や頻度は裁判官によって変わります。

3-4 補充尋問

補充尋問は、主尋問と反対尋問が終わった後に裁判官から尋問を受けるものです。裁判官が重要と考えている点が質問されるため、補充尋問から裁判官の考えが見えてくることもあります。

4 証人尋問での持参物・持ち物

持参しなければならないものは、印鑑のみです。

裁判がはじまる前には、嘘の証言をしないことを約束する宣誓書に署名と押印をします。宣誓書は、読み上げるよう裁判官から指示されます。もし、嘘の証言を行った場合は偽証罪が成立することになり、刑罰の対象になります(刑法169条)。服装については法律による決まりはありません。

迷った場合は、裁判官から不利な印象を受けにくいスーツが無難でしょう。

【関連記事】相続の調停を有利にする服装・持ち物とは?配偶者や子どもの付添いは可能?

5 証人尋問における注意点

証人尋問の注意点.jpg

証人尋問を受ける際の注意点について4つ解説していきます。

5-1 前の証人の証言は聞けない

証人が複数人いる場合、自分より前の順番になっている証人の証言は聞けません。証人には控室が用意されており、自分の番になったら呼ばれて証人台に立ちます。

ただし例外もあり、裁判所が認めた場合は前の人の証言を聞けることもあります。証言が終わったら、傍聴席へ行き、そのまま裁判を聞くことも帰宅することも可能です。当事者は、証言の順番が後であってもすべての証人から証言を聞けます。

5-2 発言は一問一答

尋問は限られた時間のなかで行われるため、聞かれたことだけに対して事実を一問一答で簡潔に答えていきましょう。

回答の際には、陳述書やメモなどを見れません。基本的には、記憶のみにもとづいて回答をしていきます。ただし、「~を見れば思い出せる。」といった場合には、裁判官にその旨を伝えることで、証拠品を見て回答できることもあります。

5-3 質問は最後まで聞いてから発言しましょう

証言のタイミングは、尋問を行う人の発言を最後まで聞いてからです。

質問の途中で回答を行うことはできません。証人尋問は録音などで記録されています。質問している途中で遮るように証言をしてしまうと、質問のすべてを記録できなくなってしまいます。

また、質問の意図と異なる回答をしてしまい、尋問がうまく進まなくなる原因ともなります。

5-4 答えない方がよい場面もある

質問された内容について、事実や記憶が確かでない場合は答え方に注意が必要です、内容や程度によっては答えないこともありえます。

あいまいなまま答えてしまい、内容が事実と異なることが発覚すると偽証罪に問われる可能性があります。反対尋問でも指摘されやすくなり、証言の信用を失ってしまいかねません。

また、反対尋問では下記のような尋問は禁止されています。

  • 誘導尋問(「はい」を引き出すような質問)
  • 誤導尋問(前提が間違っている質問)
  • 重複尋問(何度も同じことを質問)
  • 事件の争点に関係のない質問

こういった尋問を受けた場合には、安易に答えないようにしましょう。答える前に目配せなどで裁判官や弁護士のフォローを待つのも手です。

6 弁護士に依頼するメリット

証人尋問を弁護士へ依頼するメリット.jpg

証人が事前に作成する陳述書ですが、弁護士が作成サポートすることも可能です。専門的な視点から、主尋問でより主張しやすく、反対尋問で突っ込まれにくい内容になるようにサポートしてもらえます。

また、反対尋問でどのような質問がされるか、弁護士ならある程度予想ができるでしょう。どのような質問が想定されるか、どのように答えるべきなのかを事前に相談しておくことで回答への準備ができます。

しっかりと準備をしておくことで裁判を有利に進めることができたり、反対に、不利になったりすることを防げます。

7 まとめ:証人尋問は結果に影響する重要手続き!徹底したシュミレーションを

弁護士 大隅愛友 民事裁判 証人尋問.png

証人尋問は民事裁判における争点の行方を決めることもあり、証人台に立つ場面は非常に緊張するものです。

証人尋問には経験した事実を記憶どおりに回答していきますが、事前にしっかりと準備をしておくことが何より大切です。

証人尋問や民事裁判そのものに不安がある場合は、弁護士に相談しておくことで、見通しをもって裁判にのぞめます。

監修者

ベストロイヤーズ法律事務所

代表弁護士 大隅愛友

詳しくはこちら
相続について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

使途不明金や不動産の評価等の専門的な遺産調査や、交渉・裁判に力を入れて取り組んでいます。

相続の法律・裁判情報について、最高品質の情報発信を行っています。

ご相談をご希望の方は無料相談をお気軽にご利用ください。

地図・アクセス

千葉事務所

千葉駅徒歩3分

千葉市中央区新町1-17
JPR 千葉ビル12階
詳しく見る

ご予約
相続・交通事故に関するご相談については、まずはお気軽にご連絡ください。弁護士との相談日時を調整し、ご予約をお取り致します。

面談の際にご準備いただく書類がある場合には、合わせてご説明致します。

※お電話・メールで回答のみを求めるお問い合わせには応じておりません。