墓じまいで起こるトラブルと解決策とは?遺骨の取り出しや工事の注意点も紹介
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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さまざまな理由で検討される「墓じまい」ですが、思わぬトラブルが発生してしまうことがあります。
トラブルの中には、事前に準備しておけば避けられるものから、対策のほどこしようがないものまでさまざまです。
そして墓じまいで起こりうるトラブルのほとんどが、墓石にかかわる人たちとの間に起こります。
この記事では、墓じまいで起こりうるトラブルや解決策を、相続に詳しい弁護士が解説します。
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1 墓じまいとは?
墓じまいとは、今まで利用してきたお墓にある墓石を撤去し、墓所をまっさらな更地に戻すことを意味します。
お墓に埋葬されている遺骨は取り出してから、墓所を返却しなくてはいけません。自分で勝手に工事をしてよいものではなく、費用もかかります。
・お墓の撤去
・遺骨の納骨
・行政手続き
上記だけで30万円〜300万円ほどかかることが多いです。
さらに永代供養を希望する場合には、新たに30〜100万円ほどの費用が必要になります。
費用がかなりかさむものですが、それでも墓じまいがベストな選択肢にもなるときもあるでしょう。
たとえば、下記のような理由で墓じまいを考える人が多いです。
・後世に負担をかけたくない
・残しておいても家系が途絶える
・家の近くに墓を移したい
どのような理由がある場合にも、トラブルに発展することがあります。
なお、墓じまいは、生前に考えて遺言で指定したり、遺産分割と同時に行われることもありますが、切り離して別のタイミングで行われることもあります。
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トラブル例について、詳しくご紹介します。
2 墓じまいで起こるトラブルとは?
墓じまいをするときに起こりうるトラブルのほとんどが、人との間に生じています。
トラブルを抱えうる相手には、おもに下記があげられます。
・親族
・寺院
・石材店
墓じまいをするということは、今まで先祖代々継承されてきたお墓をなくしてしまうということです。
お墓に関わってきた親族とはもちろん、お墓をずっと管理してきた寺院、墓石を扱う石材店とのトラブルは、避けられないこともあります。
ここからはトラブルになりやすい相手それぞれと、どのようなトラブルが起こりうるのかを、具体的にご紹介していきます。
3 【親族】墓じまいで起こるトラブル例と解決策
お墓は親族にとって、先祖が安らかに眠る大切な場所とされています。
ずっと継承されてきたお墓をなくしてしまうということは、お墓参りができなくなってしまうということです。
墓じまいは親族全員にとって大きな影響をおよぼすものだからこそ、トラブルに発展してしまうケースもあります。
①勝手に墓じまいをしてしまう
②墓じまいに対して猛反対される
③費用負担の押し付け合い
上記のようなトラブルになることが多いです。
トラブルになる理由や解決策をご紹介します。
3-1 勝手に墓じまいをしてしまう
親族になんの説明もなく墓じまいをしてしまうのは、間違いなくトラブルのもとになります。
たとえ祭祀承継者が費用や管理をすべておこなっている場合にも、親族への相談なく勝手に墓じまいをするのは、その後の関係性を悪くしてしまうのでおすすめしません。
たとえば墓じまいをして合祀墓に移した場合には、もう二度と遺骨が戻ってこないことがあります。
墓じまいをされたことを知った親族が、万が一後から他の親族が墓の継承を名乗り出たとしても、すでに尽くせる手がないかもしれないということです。
墓じまいをしたあとの供養方法についても意見が割れることはありますが、まずはしっかりと話し合いましょう。
全員の意見を取り入れた上でどうすべきかを判断することが、最大のトラブル予防策です。
【関連記事】遺骨トラブルはどうやって防ぐの?祭祀財産の承継について弁護士が徹底解説!
3-2 墓じまいに対して猛反対される
墓じまいの相談をしたところ、そのものについて猛反対をされるケースは珍しくありません。
先祖や一族としてのあり方に対する想いは人それぞれ異なるので、墓じまいをよく思わない人がいることも理解できるものではないでしょうか。
しかし、墓じまいを検討するということは、それなりの理由があるはずです。
・墓を継ぐ子供がいない
・墓守りの費用が負担になっている
・管理自体が負担になっている
上記のような場合には、墓じまいに反対する親族に墓地使用者の代行を依頼することを検討してみてはいかがでしょうか。
もし親族が継承を拒否し、負担だけ押し付けてくる場合には、祭祀承継者が墓じまいを強行することじたいは可能です。
法律としてはお墓をどうするかの権限は祭祀承継者にあり、その他の親族の同意が必要などの決まりはないため、トラブルになることを理解した上で墓じまいをすることはできます。
3-3 費用負担の押し付け合い
墓じまいをするためには、30〜300万円ほどの費用がかかります。
そこで、墓じまいをするための費用を誰がどれだけ負担するのかについて、トラブルになることは多いです。
かといって墓じまいをしなければ、その後も墓守りをするのが難しい場合には、墓じまいをする必要があります。
たとえば、親族の希望で永代供養墓に改葬したにも関わらず、親族は一切負担をしてくれないなどのケースでは不満を持つのも当然でしょう。
しかし法律としては、費用の負担義務があるのは祭祀承継者とされており、親族に費用負担を求めることは難しいことがあります。費用負担については行動をする前に話し合い、納得できる場合に動き出すのがおすすめです。
墓じまいでは大きな費用が動くので、できれば口約束ではなく、書面にて内容を残しておけると◎。
4 【寺院】墓じまいで起こるトラブル例と解決策
墓じまいをするときには、寺院の墓地管理者による承諾が必要です。
寺院には「檀家」という制度があり、檀家はお墓の管理をしてもらうかわりに寺院へお金を払うことで、お寺の経済を手助けしています。
しかし墓じまいをすると、檀家を離れる「離檀」にあたり、寺院にとってはお金を払ってくれる人を失うことに直結します。
そこで寺院は離檀を嬉しく思わないため、費用にかかわるトラブルが起こりやすいです。
①墓じまいで高額な費用を請求される
②閉眼供養をしておらず話が進まない
③指定される石材店が高額
それぞれのトラブル例と解決策を、詳しくお伝えしていきます。
4-1 墓じまいで高額な費用を請求される
墓じまいにあたり、今まで寺院がお墓を管理をしていたことに対するお礼として「離檀料」を請求されることが一般的です。
離檀料は明確に決められていませんが、相場は数万円〜20万円ほどと言われています。
しかし、寺院にとって離檀をされることは、貴重な収入源が減るということなので、異常なまでに高額な離檀料を請求されることがあります。
ひどい場合には、離檀料を払わない場合は遺骨を渡してもらえない、などのトラブルが発生することも。
離檀料の支払いは法律で決められているものではないですが、寺院との2者間で話がつかないというケースでは、弁護士をたてる必要があるかもしれません。
あくまで「感謝の気持ち」としての離檀料であることを忘れず、もし納得のできない額を請求された場合には、その場で取り合わずに話し合ってみてください。
4-2 閉眼供養をしておらず話が進まない
墓じまいをするときには一般的に、お墓から魂を抜く「閉眼供養」をします。
お墓を撤去する際に寺院に依頼をしますが、費用が3〜10万円ほどかかるものです。
魂は目に見えないものかもしれませんが、お墓には先祖の魂が住んでいるとされているからこそ、しっかりと閉眼供養をしてあげることは大切かもしれません。とはいえ閉眼供養は義務ではないので、不要と思えば依頼する必要がないものです。
ただし、閉眼供養をしていない場合、墓じまいの撤去作業をしてくれない石材店も存在します。
寺院にも批判されてしまいやすいので、閉眼供養の必要性は総合的に考えた上で判断するとよいですね。
4-3 指定される石材店が高額
墓石を取り壊す工事は、寺院が指定した石材店でなくてはいけないと決められていることがあります。
そこで、指定の業者が相場とかけ離れた高額を請求してくるというトラブルが発生することも。
なお、寺院にあるお墓は寺院の私有地にあたるため、許可なく業者を入れることは許されず、勝手に工事を始めることはできません。指定の石材店がある場合には言い値となるため、相場より高額になる可能性は高いです。
まずは内容を聞いて、納得ができない場合には寺院に相談し、ほかの業者で見積もりを取らせてもらえないか確認してみるのがよいでしょう。
寺院としては、信頼がおける業者にしか依頼をしたくない、などの理由があるかもしれないので、まずは話をすることが大切です。
5 【石材店】墓じまいで起こるトラブル例と解決策
墓じまいをする場合には、石材店に工事を依頼することになります。
墓石の撤去を依頼した業者とのトラブルも起きているため、選ぶ際には慎重になる必要があるでしょう。
①相場より高額だった
②ずさんな工事をされた
それぞれのトラブル例と解決策をご紹介します。
5-1 相場より高額だった
墓じまいの工事費用は、石材店によって異なるものです。
1箇所にのみ依頼をしてしまうと、相場を知らないまま高額の請求をされ、後々トラブルになることがあります。
見積もりはかならず複数の業者に依頼をし、内容を確認しましょう。
寺院により石材店が指定されていることがありますが、まずは費用感を確認し、納得できなければ寺院や石材店との話し合いが必要になります。
5-2 ずさんな工事をされた
安く工事をしてもらえるからと依頼をすると、ずさんな工事をされる可能性があります。雑にあつかわれるだけでなく、不法投棄などの倫理的に疑問を抱くような対応をされる可能性も。
長くにわたりお世話になってきたお墓を雑に扱われるのは、撤去をしているとはいえ心が痛むものです。
自分で業者を選ぶときには、近隣の友人・知人から話を聞いたり、ネット上でレビューを確認してから依頼をしましょう。
6 まとめ:墓じまいのトラブルは日頃から予防しておこう
墓じまいのトラブルを防ぐためには、日頃から親族やお寺などとよい関係を築いておくことが大切です。
しかし、たとえよい関係を築いていたとしても、墓じまいをめぐって不仲になってしまうケースはあります。
墓じまいをするときには必ず、下記を忘れずに対処することが大切です。
・勝手に決めずに相談する
・費用の説明と理解を得る
・その後の供養について話し合う
・費用感は確認してから実行する
墓じまいのトラブルは、今から回避できることもありますが、どうやっても回避できないこともあります。
関わる人たち全員が納得できるよう、まずは相談をして、現状への理解を深めてみてはいかがでしょうか。
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