ネットに写真を晒された!対処法や訴える方法を弁護士が解説!
SNSや匿名掲示板などは情報収集に便利な反面、自分の写真や住所、氏名などを晒されて困ってしまう人もいます。
どのように対応してよいかわからず、泣き寝入りする人も少なくありません。
しかし、裁判所で適切に手続を行うことで、投稿の削除を要請したり、悪質な場合には損害賠償を請求したりすることも可能です。
本記事では、ネットに写真を晒されたときの対処方法や、晒した相手を訴える方法などについて解説します。
現在、相続・交通事故以外の受付を停止しております
ただいま鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
1 ネットで写真を晒されたときの対処方法
ネットに写真を晒されるのはいい気分ではありません。誰が見ているか、悪意のある利用がされないか不安になると思います。
まずは晒された事実を証拠として残しましょう。そして、サイトの運営者へ削除要請を行っていきます。
1-1 晒された証拠を確保
まずは、自分の写真がネットに晒されていることの証拠をおさえておきましょう。運営者に削除依頼を行ったり、その後損害請求をしたりする際に証拠が必要になってきます。自分が晒されている画面や、晒した人のアカウントなどをスクリーンショットしておきます。
下記の情報がわかるように、スクリーンショットをして証拠を確保しましょう。
- 投稿日時
- 投稿者のアカウント名・ID
- 投稿内容
- サイト(URL含む)
1-2 サイト運営者へ問合せる
証拠を確保したらサイトの運営者へ削除依頼を行います。
SNSや匿名掲示板では、不適切な投稿に対して問合せや通報ができる仕様になっていることがほとんどです。
たとえば、Twitterではヘルプセンターという窓口が設けられており、ここから運営者へ報告できます。ただし、削除依頼に応じてもらえるかどうかは運営者次第です。ケースによっては、対応が遅れたり無視されたりすることもありえます。
【Twitterヘルプセンター https://help.twitter.com/ja】
1-3 裁判所に仮処分の申立をする
運営者が削除依頼に対応してくれない場合は、裁判所から削除命令を出してもらうように仮処分の申立ができます。
仮処分とは、通常の裁判で判決が出る前に、勝訴の状態にする手続です。通常の裁判はある程度の期間が必要なため、迅速に削除を要求する場合は仮処分が一般的です。ただし、裁判所へ申立をするには、肖像権侵害などの被害を立証する必要があり、法律など専門的な知識が不可欠になってきます。不安な場合は弁護士などに相談しながら申立の準備をすすめましょう。
2 ネットに写真を晒した相手に成立する罪
写真を晒す行為は、下記のような罪が成立します。
- 肖像権侵害
- 名誉毀損
- 著作権侵害
ネットに写真を晒された場合、どういったケースで、どのような罪になるのか解説していきます。
2-1 肖像権侵害
肖像権侵害とは、他人の肖像(顔写真など個人が識別できる写真や映像)を、本人の許可なく使用したり公開したりすることです。
SNSや匿名掲示板などに本人の許可なく、個人が特定できる状態で写真をアップすると、肖像権侵害に該当する可能性があります。ただし、ただ写真がアップされただけで肖像権侵害を追及するのは難しいケースもあります。
肖像権侵害に該当するかどうかは、弁護士などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。なお、肖像権侵害で民事の損害賠償を請求する場合の目安は10万円〜50万円です。
2-2 名誉毀損
写真とともに個人が特定できる状態で、社会的評価を下げるような内容が投稿されていた場合は名誉毀損が成立します。
名誉毀損は内容の事実は問いません(刑法第230条)。つまり、投稿内容が本当であったとしても、晒された側の社会的評価が下げられた場合は成立します。たとえば、顔写真とともに「〇〇さんは会社で上司と不倫をしているらしい!」「〇〇さんは、実は過去に犯罪で捕まったことがある!」といった内容は名誉毀損に該当する可能性が高いです。
なお、名誉毀損が成立した場合、請求できる損害賠償の目安は10万円〜50万円です。
2-3 著作権侵害
写真も著作物であるため、顔写真に限らず自分の写真を許可なく誰かが引用して投稿をすると著作権侵害に該当する可能性があります。
たとえば、自分が撮影した写真を誰かが無断転記してSNS上にアップした場合は、著作権侵害に該当するかもしれません。著作権法には刑罰があり、被害にあった際は損害賠償請求・刑事告訴が可能です。
3 ネットに写真を晒した相手を訴えるには?
ネットに写真を晒される被害にあった場合、削除要求だけでなく相手を訴えて損害賠償を請求したいと考える人も多いでしょう。
ここでは、写真を晒した相手を訴える手順について紹介します。基本的には、①投稿者の特定を行い、②その後、裁判を起こす流れです。2022年10月以降、プロバイダ責任制限法の改定が行われ、より簡単でスピーディーに被害者が投稿者を特定できるようになりました。
3-1 発信者情報開示請求
まずは写真を晒した投稿者の特定を行います。発信者情報開示請求とよばれ、SNSや匿名掲示板の運営者(コンテンツプロバイダ)へ発信者のIPアドレスの開示を要求します。
その後、開示されたIPアドレスをもとに通信事業者などのアクセスプロバイダに対して、契約者の氏名・住所の開示を請求することで投稿者の特定が可能です。プロバイダは個人情報保護の点から、基本的に裁判所の命令がなければ開示の要求に応じません。そのため、裁判所からプロバイダに対して情報開示を命令してもらえるよう、「発信者情報開示仮処分命令申立」という裁判手続を行います。従来までは、コンテンツプロバイダとアクセスプロバイダに対し、それぞれ裁判手続が必要でした(計2回)。
しかし、2022年10月のプロバイダ責任制限法の改定以降は、1回の裁判手続で各プロバイダに発信者情報の開示を要求できるようになりました。
プロバイダの情報保存期間は3か月程度
プロバイダがIPアドレス情報を保存しているのは、3か月程が目安といわれています。
つまり、晒し行為があってから3か月以上が経過してしまうと、投稿者の特定はできなくなる可能性があります。そのため、弁護士に依頼するなどしてスピーディーに手続をしていかなければなりません。
3-2 損害賠償請求
発信者の特定が行えたら、損害賠償請求・刑事告訴や民事訴訟を行います。裁判で損害賠償請求を行うには法律の知識も必要なため、弁護士をつけておくとよいでしょう。
4 警察では対応が難しいケースもある
ネットでの晒し行為について、警察への対応を期待する人もいるでしょう。
警察が動いてくれるかどうかは、晒された内容や程度によって変わります。
警察が動いてくれるのは、事件性があり、刑法で処罰対象になるケースが多いです。ネットでの晒し行為でいえば、名誉毀損や侮辱、脅迫などが該当するでしょう。また、リベンジポルノも警察の捜査が期待できます。
一方で、アップされた写真にたまたま自分が写っていただけなど、肖像権侵害は刑罰がないため警察が動いてくれないこともあります。しかし、刑法での処罰が難しく警察の捜査も期待できない状況であっても、民事訴訟で損害賠償請求ができることもあります。警察への相談とあわせて、弁護士に相談してみるのもよいでしょう。
5 まとめ:ネットで晒され不安な場合は弁護士へ相談しましょう!
自分の写真がネット上に晒されたとき、運営者への問合せをしたり、裁判所で削除命令の仮処分申立の手続をしたりすることで投稿の削除を要求できます。
裁判所で手続をすることで、投稿者に対して慰謝料などの損害賠償請求も可能です。
警察へ連絡を行ったとしても、すべてのケースに対応してもらえるわけではないため、確実に準備をすすめたいのであれば弁護士への相談もあわせて行うことをおすすめします。裁判所での手続などについても適切なアドバイスをもらえるので、安心して対処や訴訟準備を行えますよ。
現在、相続・交通事故以外の受付を停止しております
ただいま鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。