ドアパンチは後日でも必ず警察へ|トラブルと対処法を弁護士が解説
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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いつの間にか「ドアパンチ」をされていて、ショックを受けた。
うっかり「ドアパンチ」をしてしまい、どう対処したらいいのかわからない。
そんな経験はありませんか?
ドアパンチはいつでも誰でも、被害者にも加害者にもなり得る車同士の事故です。
対処法を間違えると大きなトラブルに発展してしまうことも……。
この記事では、ドアパンチとそれにまつわるトラブルについて交通事故に詳しい弁護士が解説します。
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何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
1 ドアパンチとは?
「ドアパンチ」とは、車のドアを開けたときに隣の車にぶつかることをいいます。
せまい駐車場などでありがちなトラブルです。場合によっては車体にキズがつくこともあります。ドアがぶつかることで「ドアパンチ」と呼ばれています。
1-1 ドアパンチがおこる原因
ドアパンチは以下のような原因が多いです。
・せまい駐車場で隣の車と距離が近い
・ドアを開けたときに予期せぬ突風にあおられて勢いよくドアが開いてしまった
・子どもがドアを無造作に開けてしまった
・傾斜があり思いのほかドアが開いた
同じ状況であっても、自分自身が運転をする人は、ドアの開け閉めに気をつけるものです。しかし子どもや免許を持たない人は、そのあたりまでなかなか配慮ができません。
そのため、運転者以外の同乗者がうっかりドアパンチをしてしまうことも、ありがちです。
2 【被害者側】ドアパンチを受けたときの対処法:すぐに警察へ連絡
ドアパンチを受けた際の対処法を紹介しましょう。
自分がドアパンチを受けたときに、現場にいたかどうかでも対処法が変わることもあります。
2-1 ドアパンチに気がついたらすぐに警察へ連絡する
ドアパンチされたことに気がついたら、すぐに警察へ連絡をします。
ドアパンチも交通事故として扱われますので、できれば気がついた時点から車は動かさないようにしましょう。
また被害の状況をスマホで写真を撮っておきます。
なお、すぐに警察へ連絡をしなかった場合は、後日、必ず警察へ連絡しましょう。
警察への連絡を行わなかった場合、「交通事故証明書」が発行されなかったり、保険金の支払いがなされない可能性がありますので、注意が必要です。
【関連記事】交通事故証明書は後日でも受け取れる?申請方法や注意点について解説
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2-2 加入している保険会社へ連絡する
自分が契約している自動車の保険会社へ連絡をします。
ドアパンチの瞬間に自分が現場にいなかったため相手がわからない場合でも、あきらめることはありません。
まずは自分が加入している保険会社へ連絡をして、どのような対応をしてもらえるか相談をしてみましょう。
また車を修理する際に、車両保険を使うことで等級が下がり翌年以降の保険料が上がる可能性もあります。保険を使った方がいいのか、使わない方がいいのかも保険会社へ確認しましょう。
2-3 駐車場の管理会社や車のドラレコを確認する
もしも加害者がいなかったりわからなかったりするときには、事故の状況を確認する必要があります。
車にドライブレコーダーがついていれば、それを調べましょう。
また、駐車場には監視カメラがついているところも多々あります。駐車場の管理会社に監視カメラを確認してもらうことで、加害者の車が判明することもあるでしょう。
3 【加害者側】ドアパンチをしてしまったときの対処法:警察へ連絡とお詫び
次に、自分がドアパンチをしてしまったときの対処法を紹介します。相手がその場にいるかいないかで、対処法が変わりますがトラブルが大きくならないように、適切に対処することが大切です。
3-1 相手がいる場合は直ちにお詫びをする
ドアパンチをしてしまった相手がその場にいるときには、すぐに謝罪をします。まずは、誠意をもって謝罪することが重要です。
その後、相手と車のキズを確認しましょう。キズの度合いを確認し、相手と話し合ったうえで警察へ連絡をします。
もしも目立つキズがなく、相手から「大丈夫です」といわれたら、その場で終わりとなるケースもあるでしょう。
逆に「ぶつかっていない」などといって謝らなかったときには、相手の感情を逆なですることにもなりかねません。その際には、たとえキズがごくわずかであっても、大きなトラブルに発展する可能性もあります。
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3-2 警察へ連絡する
所有者へのお詫びと合わせて警察へ連絡をしましょう。ドアパンチも交通事故です。警察へ連絡を怠ると後日、様々な問題が生じる可能性があります。
また相手の車にキズが付いている場合には、スマホで写真を撮っておきます。
3-3 加入している保険会社へ連絡する
次に、契約している保険会社へ連絡をします。
相手の車にキズが付いた場合には、保険の契約によっては賠償される可能性もあります。
また保険の等級が下がることを気にして、保険会社を通さず直接相手に修理費を払うのは、後々トラブルになりかねませんので避けましょう。
【関連記事】交通事故でその場で示談してはいけない理由|事故後の対処法も弁護士が解説
4 ドアパンチをふせぐ対策
自分の大切な車がドアパンチに遭ってしまったら、大変悲しい思いになりますよね。それは相手にとっても同じです。損害賠償や警察への対応を行わなくて済むように注意しましょう。
ドアパンチはちょっとした配慮で、事前にふせげる可能性があります。
4-1 ドアパンチを未然に防止する方法
ドアパンチを未然に防止する方法を以下にまとめました。日ごろからドアパンチをしない、ドアパンチに遭わないように心がけましょう。
①駐車スペースがせまいところにとめない
隣の車との駐車スペースがせまいところには、駐車をしないようにします。十分な車間があれば、たとえドアを勢いよく開けてしまっても、ドアパンチには至りません。
②強風のときは風向きに注意する
風の強いときには、風向きに注意してドアを開けます。
ドアを開けた瞬間に後ろから風にあおられると、思いのほかドアが開いてしまうからです。
③坂道など傾斜のあるところでドアを開けない
前方が下がっている傾斜のあるところでは、ドアを開けないようにしましょう。傾斜があることにより、ドアが勢いよく開いてしまいます。
④隣の車種を確認する
自分が駐車をする際に、隣の車種を確認してから駐車します。
磨きあげられた超高級車の隣へ駐車するのは避けたいものです。車を何よりも大切にしている人だとしたら、ちょっとしたキズも許せないでしょう。
また、スライドドアの隣に駐車するなどで、ドアパンチの被害をふせげる可能性は高まります。
⑤小さな子どもには車のドアを開けさせない
小さな子どもが車に乗っているときには、ドアを開けさせないか、またはその都度ドアの開け閉めに注意するように言葉をかけます。
しかし子どもの力は弱いため、急に突風がふいたりすると制御しきれません。
そのため子どもにはドアを開けさせない、などのルールづくりをしておくこともお勧めです。
⑥長いドアの車の隣にとめない
ドアが長い車の隣には、駐車しないようにします。ドアの長さがあると、それだけ大きく開きますから、ドアパンチの確率も高くなるはずです。
⑦傷だらけの車の隣にはとめない
キズだらけの車の隣には駐車しないようにしましょう。
キズが多い車の持ち主は、車を大切にする意識が低いと考えられます。そのためドアの開け閉めの際も、繊細な配慮をしないケースが多いといえるでしょう。
⑧なるべく隣がいないところへ駐車する
たとえば一番端に駐車したり壁際に縦列駐車をするなど、なるべく隣に車がいないところへ駐車をするように心がければ、ドアパンチの確率は下げられます。
4-2 ドアパンチを予防グッズを利用する
ドアパンチのキズを極力予防できる、予防グッズを使用するのもおすすめです。
・ドアガード
・ドアエッジプロテクター
・ドアエッジモール など
自分が加害者となったときに、ドアがぶつかる衝撃をやわらげてくれます。
5 ドアパンチが原因でおこりうるトラブル【被害者側】
ドアパンチは人身事故ではないため、とかく軽視されがちです。しかし対処法を間違えると、思いもかけないトラブルへと発展してしまいます。
ここからは、ドアパンチが原因でおこりうるトラブルをいくつか紹介しましょう。
5-1 相手が保険に入っていなかった
ドアパンチを受けて車にキズがついたものの、相手が保険に入っていない場合には、トラブルになりかねません。ドアパンチは基本的に物損事故になります。
そもそも加害者が加入している自賠責保険の対象は、人損にかぎられるため物損は対象外です。また、任意保険に入っていない運転者であれば、加害者自身に賠償してもらうことになります。
しかし元来、任意保険に加入せずして運転をしている人なので、すんなりと賠償金を払ってくれない可能性も高いものです。
そのため被害を受けたにもかかわらず、修理代金を払ってもらえなかったなどのトラブルになってしまいます。
【関連記事】交通事故の加害者が無保険で事故してしまったら|リスクと対処法を解説
5-2 当て逃げされた相手がわからない
ドアパンチに気がついたのが後日で、いつどこで被害を受けたのかがわからない状況です。
とくに運転席と反対側のドアにドアパンチされた場合などは、すぐに気が付かないことも多いでしょう。
そのためいったいいつどこでドアパンチの被害を受けたのかもわからず、もちろん相手も誰だかわかりません。
しかし気がついた時点でできる手立ては打ちます。
・警察へ連絡をする
・ドアパンチされた箇所の写真を撮る
・心当たりのある駐車場を思い出して書き出してみる
・ドラレコを確認する
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5-3 ドアパンチされた部分の塗装が剥がれ修理費用が高額に
当初はそれほどひどいキズだとは思わずに、ドアパンチされた部分を放置していたら、やがて塗装がはがれて修理費が高額になってしまった、というトラブルです。
どんなに小さいキズでも、そのまま放置するとやがてはサビるなど被害が拡大することもあります。
そのときになって加害者や保険会社へ修理費を請求するのは非常に難しくなりますので、気がついた時点で適切な行動をとることが大切です。
なお小さなキズであれば、タッチペンなどを塗っておくことで被害を最小限に食い止められるでしょう。
6 ドアパンチが原因でおこりうるトラブル【加害者側】
次に、加害者側に起こりうるトラブルです。
6-1 警察を呼ばないでいたら後日連絡がきた
ドアパンチをした覚えもないのに、忘れたころに警察から連絡がきたケースです。
そのときには気がつかなかったり、気がついたもののそのまま立ち去ったりした場合には、このようなケースも考えられます。今はドラレコや防犯カメラも広く使われていますので、後から連絡がこないとも限りません。
そんなことにならないように、その場で警察や保険会社へ自分から連絡を入れることが大切です。
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6-2 ばれて捕まるかも?と逃げたことを後悔している
自分がドアパンチをしてしまったにもかかわらず逃げてしまった場合、その罪悪感だけがいつまでも残ってしまい苦しい思いをすることです。
気がついているのに立ち去れば当て逃げになり、ずっと警察がくるかもしれない恐怖に怯えながら生活することになります。
つねに「ばれるかも?」と、追い詰められたような気持ちになり、いつまでも後悔は消えません。
6-3 示談金を払ったのに後日相手から高額な修理代を請求された
ドアパンチをした際にその場で示談金を払い、事なきを得たと思っていたところ、後日被害者から思いもかけない高額な修理代を請求されるケースです。
このようなケースもありますので、警察や保険会社へ連絡をするなど適切な段階をふみましょう。
事故現場で示談を行うことは避けることが賢明です。
7 ドアパンチで慰謝料はどうなる?
ドアパンチは物損事故なので、基本的には慰謝料の対象とはなりません。慰謝料は、人が死亡やケガをした際に精神的な苦痛を受けた際に生じる賠償金となります。
8 まとめ:ドアパンチは速やかに警察へ連絡しましょう!
ドアパンチは人身事故ではないため、とかく軽視されがちです。しかし対処法を間違えると、思いもかけないトラブルへと発展してしまいます。
ドアパンチを未然に防ぎ、ドアパンチ事故が起きてしまった場合には、速やかに警察や保険会社へ連絡にしましょう。
また、仮に、直ちに警察へ連絡しなかった場合には、必ず、後日、連絡しましょう。
本記事がドアパンチでお困りの方のお役に立てば幸いです。
現在、ドアパンチの相談受付を停止しております
ただいま鋭意準備中です。
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慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
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