交通事故のお詫びの重要性とは?示談をこじらせないために
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
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交通事故を起こしてしまった場合は、速やかに誠心誠意の気持ちでお詫びすることが重要です。
ベストロイヤーズ法律事務所は、交通事故の被害者側からのご相談、ご依頼のみをお受けしていますが、加害者側の誠意や常識のない態度によって、被害者の方が怒ってしまい、円滑な示談が難しくなってしまったケースを何件も見てきました。
「保険会社に任せっぱなしでよい」、「お詫びの仕方は自己流で良い」という考えであれば、それは不十分な態度です。
交通事故の被害者は、ある日突然事故に巻き込まれ、それまで普通に送ってきた日常生活が困難となります。被害者の被害感情は、想像以上に強いものがあります。お詫びを怠ったり、誤った方法で謝罪をしてしまうと、相手が感情的になってしまい摩擦が生じてしまうことは容易に想像がつくでしょう。
交通事故後の対応において、お詫びの意思を示すことはとても重要なことです。被害者や関係者との信頼関係を構築することで、問題解決がスムーズに進みやすくなります。
この記事では、交通事故の被害者側の弁護士の視点から、交通事故のお詫びについて、謝罪の仕方や注意点について解説していきます。
1 交通事故後のお詫びの重要性
交通事故において、過失がある加害者の立場の人が行うべきお詫びの重要性は誰しもが理解していることでしょう。
過失のある交通事故を起こしてしまい、お詫びを全くしなかった場合は、感情的なこじれが生じ、迅速かつ円満な示談が難しくなる可能性があります。
交通事故によって生じた被害や損害に対して、お詫びの言葉と行動を通じて責任を認め、被害者や関係者と良好な信頼関係を築くことが非常に重要です。
真摯にお詫びをすることで、被害者の負の感情を癒すことができます。被害者との対話を通じてコミュニケーションをとることが求められます。これにより、円滑な解決に一歩近づくことができます。
被害者に謝罪をすることは気が重い行動の一つですが、謝罪をすることが求められます。今後の展開にも大きく作用する大事なことです。
もっとも、お詫びの仕方や内容によっては、問題解決につながらず、反対に被害者の感情を逆なでしてしまうリスクもあります。交通事故の被害者にとって、誠意や常識が感じられる方法でお詫びを行う必要があります。
自動車保険で弁護士特約(弁護士費用等補償)の契約をしている場合は、交通事故の状況によっては早めに弁護士に相談してもよいでしょう。
【関連記事】「弁護士特約の利用は保険会社が嫌がる」ことなの?3つの理由と対応方法
2 交通事故の謝罪の事前準備
謝罪をする際には、必ず事前に準備をしましょう。ここを冷静に行うことで、謝罪をスムーズに進めることができます。相手の連絡先を把握し、適切な謝罪のタイミングを選ぶことが最初のポイントです。
2-1 事故現場で相手の連絡先を聞いておく
交通事故後の現場では相手の連絡先を確認することが重要です。
ここで連絡先を交換するのが理想的ですが、できなかった場合は警察に連絡して交通事故証明書で連絡先を知るか、保険会社を通じて相談しましょう。
相手の連絡先を知ることで、謝罪の準備を進めることができます。
【関連記事】(保存版)交通事故に遭ったらまずどうする?事故現場、事故直後に行うべき8つのこと
2-2 適切なタイミングで謝罪する
相手の感情を確認しつつ、適切なタイミングを見定めてから謝罪をすることが重要です。
相手が事故後に冷静でない状況の下では謝罪を行うのは控えた方がよいかもしれません。ある程度落ち着いた状態、または一定の期間が経過した後に、相手が謝罪を受け入れられる状態になったと判断してから、お詫びする機会を設けることが望まれます。
ただし、謝罪が遅すぎると相手が不快に感じる可能性もあるため、適切なタイミングを見計らうことが必要です。
3 訪問して謝罪する場合の事前準備
訪問して直接、謝罪する場合は、事前に保険会社への連絡、アポイントメントの取得などをしなくてはいけません。
実際に訪問する場合は以下の5つのポイントに注意してください。
3-1 事前に保険会社に連絡
保険会社によっては、被害者とのやりとりを控えるようにと言われるケースもあります。独断で物事を進めず、まずは保険会社に連絡をして相談してからにしてください。
3-2 必ずアポイントメントをとる
訪問する前は必ずアポ(約束)を取りましょう。日時は相手の都合を最優先にしてください。円滑な対話ができる環境を整えることが重要です。
3-3 訪問の申し入れが拒否された場合
相手が訪問を拒否した場合は、無理強いをせず、相手の意向を尊重し、他の謝罪方法を検討する必要があります。日にちをおいて電話や手紙を送って謝罪するのも一つの方法です。
3-4 謝罪文は必要?
訪問時に謝罪文は必ずしも必要ではありません。もっとも、言葉での謝罪が苦手で相手に上手に伝わらない場合は、手紙を添えて手渡すことで、自分の気持ちを素直に伝えることができます。
3-5 お詫びの品物
訪問時は手ぶらではなく、お詫びの品物を持参した方が望ましいです。もっとも、現金そのものや、高額なものではなく、常識的な金額の菓子折りが一般的な選択肢です。
被害や損害に見合った品物を慎重に選ぶようにしてください。ただし、お詫びの品物には「のし」をつけないようにしてください。のしは主に慶事に使用されるものとなります。のしがついていただけで激怒されることがあります。
のしやその他のことで、迷ったらお店の店員に確認しながら選ぶことも検討してください。
4 訪問謝罪時の注意点
訪問してお詫びをする際は相手の立場や感情を考慮し、丁寧な態度で真摯な気持ちで謝罪しましょう。また、訪問時には示談に関わる話し合いを避け、相手との信頼関係の修復に専念しましょう。もちろん、無理にへりくだったりする必要はありません。
4-1 清潔で控えめな服装を選ぶ
お詫びに向かう際は、フォーマルな服装としてスーツが一般的・無難ですが、必ずしもスーツを着用する必要はありません。カジュアルすぎず、清潔で控えめな服装が好ましいです。謝罪の意味を込めて行うため、派手な服装や装飾品を身に着けることは避けましょう。
4-2 誠実な言葉遣いをこころがける
謝罪の際は、誠実な言葉使いを心がけましょう。心からのお詫びの気持ちを持つことが重要です。即座に言葉が浮かばないこともありますが、事前に家で何度もシミュレーションすることも有効です。
4-3 誠心誠意謝る
相手に対して真摯な謝罪を伝えることが求められます。謝罪を受ける側は、その謝罪の本気具合をすぐに感じ取ることができます。誠意を持った態度を示すことが重要です。
4-4 その場で示談しない
訪問謝罪の目的は、相手との関係を修復し信頼を回復することです。保険会社を通さず、示談の話し合いを行わないよう注意しましょう。
相手がまだ感情的だったり、必要な情報が揃ったりしていない場合もあります。当日は謝罪だけにしてください。
5 その他の謝罪方法
謝罪の方法は訪問以外にもいくつかあります。
以下で電話をする、手紙を書く、メールでの謝罪について説明します。
5-1 電話をする
電話を通じて直接謝罪を伝えることも可能です。相手の都合を確認した上で電話をし、明確に謝罪の気持ちを伝えましょう。話す内容を事前にメモしておくことで、会話の途中で言葉に詰まったりすることを避けることができます。
もっとも、訪問して謝罪を行う場合と比較して、やはり真摯さ、誠実さは劣ると評価されてしまう可能性があります。
5-2 手書きで手紙を書く
手紙は謝罪の感情を込めて伝える手段です。手紙を書く際には、誠実な言葉を使い、お詫びをしましょう。言い訳ばかりの文章にならないよう注意してください。また、手書きの手紙であれば、相手に対する思いやりと真摯さが伝わります。
5-3 メールやLINEでメッセージを送る
現代のコミュニケーションツールとして重宝されているメールやLINEを利用する手もあります。ただ、どうしても真剣さが伝わりにくい特徴があります。基本的には謝罪にはふさわしい媒体ではなく、他の手段を検討することが望ましいです。
6 謝罪は一度でいい?
謝罪の回数に決まりはありません。相手の感情や状況に応じて対応を検討しましょう。
とくに、死亡事故や高次脳機能障害などの重度の後遺障害が残った重大事故の場合には、複数回の謝罪が望ましいケースが多いと思われます。
【関連記事】交通事故と被害者参加制度|死亡事故や高次脳機能障害で参加
7 謝罪によって得られる効果
謝罪は交通事故の解決で重要な役割を果たします。以下に、謝罪がもたらす利益について解説します。
7-1 示談交渉がスムーズにいきやすい
謝罪は加害者が被害者に誠意を示すことができる最大の行為です。誠心誠意お詫びすることで、相手が謝罪の意思を受け取ってくれます。
怒りの感情が減ることで、示談交渉が円滑に進む可能性が高まります。その結果、和解の道を模索しやすくなります。
7-2 刑事事件の場合の責任が軽くなる
刑事事件において謝罪は非常に重要な要素です。
示談を通じて謝罪と賠償を行うことで被害回復を図ることができ、その内容によっては告訴を回避することも期待できます。
また、告訴された場合でも、裁判所は反省の姿勢を評価し、情状として刑の減軽を考慮することがあります。
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。