交通事故のむちうちを弁護士へ依頼する6つのメリット
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。
この記事でわかること
- むちうちの症状の特徴
- むちうちの場合、治療中から弁護士へ相談・依頼がベスト
- むちうちで3か月の場合の慰謝料
- むちうちの慰謝料を最大化する方法
- むちうちの場合に後遺障害の認定を受けるためのポイント
交通事故の被害に遭われた方の中には、「むちうち程度だから大袈裟にしたくない」、「相手側からある程度治療費を支払ってもらえるようだから悪くないかな」と考えている方が多くいます。
しかし、相手方が最小限の支払額しか払っていないことが分かった、後遺症があるのに十分な慰謝料をもらえないという現実が突きつけられたときどう思うでしょうか。
むちうちは、症状に幅があり、また、目に見えない痛みやしびれという症状のため、後遺障害や休業損害、慰謝料が限定されがちという特徴があります。
本記事では、むちうちと慰謝料などの賠償金、弁護士への相談に関する内容を解説します。
1 交通事故のむちうちを弁護士へ依頼するメリット
交通事故のむちうちで弁護士に依頼するメリットは、慰謝料の増額や保険会社との交渉や裁判手続きを被害者に代わって行ってもらえることことです。
それ以外にも、休業損害の請求や治療の打ち切りへの対応、後遺障害申請(被害者請求)をサポートしてもらうことで適切な等級の後遺障害の認定を受けられることが挙げられます。
以下では、それぞれの内容を詳しく解説していきます。
1-1 慰謝料の大幅な増額が見込める(むちうち3か月、6か月)
交通事故のむちうちに関して、弁護士に依頼して得られるもっとも大きなメリットのひとつが、慰謝料の大幅な増額です。
①慰謝料の3つの基準
交通事故の被害に遭った場合、慰謝料などの損害賠償金が加害者の任意保険会社から支払われます。
もっとも、保険会社も営利企業であるため、できるだけ支出となる費用はおさえて手続きを進めたいのが本音です。その際に保険会社側が金額の根拠とするのが、「自賠責基準」や「任意保険基準」です。
もっとも、これらの基準は、裁判所で認められる正当な金額である「裁判基準(弁護士基準)」と比べて低いという問題があります。
慰謝料の3基準
- 自賠責基準:自動車損害賠償保障法に基づいた支払い基準
- 任意保険基準:自動車保険会社が独自に設定した基準
- 裁判基準(弁護士基準):示談交渉など裁判でも利用される基準
弁護士が交渉にあたり、交渉が決裂すると速やかに裁判手続きを起こすことが通常です。
裁判になると裁判基準(弁護士基準)が採用され、高額な慰謝料の支払いが発生するため、保険会社は示談交渉の際に賠償金の増額を受け入れやすくなります。
②むちうちの場合の入通院慰謝料の目安
慰謝料には、①入通院慰謝料・②後遺障害慰謝料・③死亡慰謝料の3つがあります。
むちうちの場合は、交通事故によって生じた精神的・身体的苦痛や治療・手術への苦痛に対して支払われる入通院慰謝料が該当します。
むちうちであれば治療は通院のみで3か月から6か月程度が多いです。3か月の場合、保険会社の提示する慰謝料は25万円程度になります。
ただし、弁護士基準を採用すれば、通院6かヶ月で軽傷の場合は53万円が相場となる金額です。弁護士に交渉を依頼することで、受け取れる慰謝料の金額が18万円増額されます。
6か月場合は弁護士基準では89万円となり、より増額の幅が大きくなります。
【関連記事】(交通事故)慰謝料請求に重要な入通院日数の数え方と計算方法を弁護士が解説!
1-2 休業損害の獲得ができる
交通事故による治療や通院で仕事を休まざるを得ない場合は、本来であれば得られたはずの収入相当額を休業損害として相手側の保険会社に請求できます。
休業損害にも自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準が存在するため、弁護士に依頼したほうがより多くの賠償額を受け取れる可能性があります。
最も低い自賠責基準の日額は6,100円が定められていますが、弁護士基準であれば、事故前の収入の日割り相当分を請求することになります。
主婦や学生の方も請求できるため、収入がないからと諦める必要はありません。
【関連記事】主婦(主夫)でも休業損害を受け取れます|損をしない3つのポイントを弁護士が解説
1-3 治療費の打ち切りへの対応ができる
交通事故でむちうちの治療をしている場合は、相手側の保険会社は3ヶ月前後を目処に治療費の打ち切りを打診します。
会社として支出をおさえるため、保険金詐欺の防止のためですが、3か月は治療の平均的な期間でもあるからです。
ただし、治療が完了していないことを証明できれば期間の延長は可能です。また、治療後の後遺症認定のために6か月は治療をしたほうがよいという理由もあります。担当医、弁護士に相談して、最善の方法で手続きをしてもらいましょう。
【関連記事】交通事故の「治療費の打ち切り」とは?不払いへの3つの対応方法を弁護士が解説
1-4 適切な後遺障害の獲得をサポートできる
むちうちは後遺症が残る可能性のある重大な症状であるため、後遺障害の認定を受けて適切な賠償額を請求してください。
①むちうちの後遺障害
むちうちによる後遺症は痛みや、しびれが治療をしても完治しないことです。
症状が続いていることを診断書などで証明し、後遺障害等級に該当すれば、慰謝料を増額して請求することが可能になります。
むちうちの症状として認定される等級は、神経症状が残っていることを示す12級13号もしくは14級9号です。
②被害者請求による手続き
後遺障害に認定され賠償金を請求するためには、医師が作成した後遺障害診断書と検査結果画像を提出し、手続きをおこないます。
診断書作成には、骨折など骨の異常を特定するためのレントゲン検査、骨折の詳しい状況を診断するためのCT検査、靭帯や筋肉の異常を確認するためのMRI検査が必要です。
また、しびれや痛みなどの神経症状を確認するために、各種神経学的検査をおこない、検査結果を診断書に記載します。
必要な検査を確実に受けるために、後遺障害認定の申請に精通した弁護士に依頼することが大切です。
1-5 保険会社とのやり取りを全て弁護士へ任せられる
これまで解説してきたとおり、交通事故のむちうちで適切な賠償金・慰謝料請求をおこなうためには多くの専門知識が必要で、しっかりとした対策を練ることが欠かせません。
それでいて相手側の保険会社と交渉するとなると、交通事故の苦痛があるにも関わらず、さらに大きな心労を抱えることになります。弁護士に一任することで、かなりの負担を減らせるはずです。
【関連記事】交通事故で保険会社が嫌がること6選|保険会社と対等にやり取りを行うためのポイント
【関連記事】「弁護士特約の利用は保険会社が嫌がる」ことなの?3つの理由と対応方法
1-6 非該当など後遺障害の結果への異議申し立てのサポートができる
むちうちは検査結果を画像から判断するのが難しく、後遺障害の認定は難易度の高い手続きです。
ただし、想定した結果が得られなくても、異議申し立てが可能です。等級によって賠償額が大きく変動するため、弁護士のサポートを受けて粘り強く進めていきましょう。
【関連記事】後遺障害の異議申し立てについて~具体的な流れや成功するためのポイントを解説
2 むちうちで後遺障害等級認定を獲得するための4つのポイント
次に、むちうちで後遺障害等級認定を獲得するためのポイントについて紹介します。
後遺障害が認定された場合、入通院慰謝料や休業損害に加えて、後遺障害分の賠償金も加算されるため、後遺障害の等級認定は、賠償金額に大きく影響する手続です。
なお、冒頭でもお話ししたように、むち打ちの症状は、いわゆる神経学的症状である痛みやしびれが主なものであり、目に見えないため、変形や喪失の障害と比べて、後遺障害が認められにくい傾向があります。
2-1 整形外科中心の治療
後遺障害等級認定を獲得するには、整形外科中心の治療が条件となります。
具体的には、整形外科などの機関に6か月以上通院すること、治療中に4週間以上中断されていないことです。
また、自覚症状があり、症状を根拠とする画像や神経学的な所見があることも、認定を獲得するためには欠かせません。
2-2 適切な頻度、期間の通院
認定に必要な条件が6か月以上の通院と、4週間以上の中断がないことであれば、実質2週間から1か月に1度程度の通院でよいとも思われます。
しかし、それは必要な最低条件ということであり、確実性の高い十分な条件ではありません。
担当医の指示に従い、実際には週に1〜2回の通院をおこなうことが、現実的な通院頻度となるでしょう。
2-3 過不足のない後遺障害診断書の記載
作成する後遺障害診断書では、必要な検査結果を過不足なく記載することが大切です。画像診断では、十分な解像度のある機器の使用、症状から推測できる適切な撮影部位の検討をおこないます。
むちうちでは神経学的所見が重要視されるため、担当医に、スパーリングテストや筋萎縮検査など複数の検査結果を記載してもらいます。
【関連記事】後遺障害診断書のもらい方~手続きや獲得のポイント
2-4 むちうちで12級の場合・適切な検査結果や画像の提出
むちうちの後遺障害等級は12級13号、もしくは14級9号になりますが、12級の方が支払われる賠償金が高額になります。
両者の違いは神経症状が「頑強」であるかどうかです。
14級の場合は症状が説明できればよいのですが、12級の条件となる頑強な症状に該当するには、検査結果や画像によって後遺症の存在が証明される必要があります。
3 むちうちを弁護士へ依頼する場合の弁護士費用は?
交通事故のむちうちで弁護士へ相談・依頼する際の費用は、相談料1万円または無料、着手金20万円前後または無料、成功報酬10%~20%前後が相場です。
たとえば交通事故の賠償金の総額が300万円であった場合、相談料1万円+着手金20万円+成功報酬45万円で合計66万円になる計算です。300万円から66万円を差し引くと234万円になり、事故から手続き完了まで8ヶ月間とすると、月額にして29.25万円を受け取る計算です。
そこからさらに治療費や、診断書発行料などが差し引かれることになります。
ただし、加入している保険に弁護士費用特約がある場合は、66万円の弁護士費用は実質無料になるため、ぜひ活用してください。相談料は10万円まで、1つの交通事故に対して最大300万円の保障を受けられます。
4 むちうちで弁護士へ依頼するベストタイミングは治療中
むちうちの場合、骨折の場合と比較して、保険会社から治療の打ち切りが早い段階で求められることが少なくありません。
また、後遺障害の認定の際は通院治療の状況、検査の状況が重要となります。そのため、治療中の段階から弁護士への依頼を始めるのがベストタイミングといえます。
【関連記事】交通事故を弁護士へ相談するベストのタイミングは?
5 まとめ:交通事故のむちうちは弁護士へ相談しましょう!
本記事では、交通事故のむちうちで弁護士へ依頼する6つのメリットについて解説しました。
むちうちに軽傷のイメージをお持ちの方もいますが、事故の賠償となると適切に対処しなければ大きな損をすることになりかねません。
知らなくて損をしたとならないよう、本記事をお役立ていただき、不安や問題があればお気軽に弁護士へご相談ください。
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