ながらスマホ罰則の違反点数や罰金とは|定義や防止策もご紹介
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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「運転中に電話がかかってきてうっかりスマホで話したら、警察に捕まってしまった」
「カーナビを見ていて事故を起こしてトラブルになった」
そんな経験はありませんか。
運転中にスマホで通話をすれば、道交法違反となり罰則を受けます。またカーナビなどを注視することも違反です。
スマホの普及率が上がり、事故が増え続けてきたため、その罰則は強化されました。
この記事では、ながらスマホの罰則について紹介します。
1 ながらスマホの罰則とは
ながらスマホで捕まると、罰則があります。罰則のポイントは以下のとおりです。
- 2019年(令和元年)の改正で罰則が強化された
- 道交法71条5の5
- 罰金は30万円または10万円
- 違反点数は6点または3点
それぞれ説明していきましょう。
1-1 2019年(令和元年)改正「ながら運転」罰則強化
ながらスマホの罰則は、2019年(令和元年)12月1日、道路交通法により罰則が強化されました。
スマホや携帯電話の普及率が上がるにつれて、それらを使用したことが原因の悲惨な事故がどんどん増えてきたからです。
引用元:警察庁公式サイト「携帯電話使用等に係る使用状況別交通事故件数の推移」「死亡事故率比較(令和4年)」
上のグラフを見ると、令和元年まではスマホ使用などによる事故が増加していましたが、令和元年に厳罰化されたことにより、事故の件数は減っていることがわかります。
しかし、令和4年でもスマホなどを使用していないときと比較して、約2.4倍も死亡事故率が高いことで、まだまだながらスマホによって悲惨な事故をまねいていることは明らかです。
1-2 道路交通法 第71条5の5で禁止
ながら運転の罰則は、道路交通法 第71条(運転者の遵守事項)5の5により決められています。
“自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。”
引用元:e-GOV法令検索
車を運転して走行中に、スマホなどを通話のために使ったりカーナビなどを注視したりしてはいけない、と規制されているのです。
1-3 運転中にスマホや携帯電話使用の罰金は30万円以下または10万円以下
運転中にスマホや携帯電話を使用した場合の罰金罰則は、以下のとおりです。
違反の内容 |
携帯電話等使用等(交通の危険)違反 |
携帯電話等使用等(保持)違反 |
罰金罰則 |
1年以下の懲役または30万円以下の罰金 |
6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金 |
反則金 |
対象外 |
大型車:25,000円 普通車:18,000円 二輪車:15,000円 原 付:12,000円 |
「交通の危険」を生じさせた場合と、手に「保持」して通話などで使用した場合により、罰金罰則は異なります。
道交法改正前には、交通の危険、保持ともに5万円以下だったため、厳罰化されたことは明らかです。
1-4 運転中にスマホや携帯電話使用の違反点数は6点または3点
運転中にスマホや携帯電話を使用した場合の違反点数は、以下のとおりです。
違反の内容 |
携帯電話等使用等(交通の危険)違反 |
携帯電話等使用等(保持)違反 |
違反点数 |
6点 |
3点 |
「交通の危険」と「保持」により、違反点数は異なります。
道交法改正前には、交通の危険で2点、保持で1点だったため、じつに3倍もの違反点数へと厳罰化されました。
1-6 ながらスマホは一発免停もあり!免停になる点数は何点?
ながらスマホは、スマホを使ったことで交通事故を起こすなどした場合には、一発免停となります。
免停となる違反点数は6点です。
絶対に、ながらスマホはやめましょう。
2 そもそも「ながらスマホ」の定義とは?
ここからは、ながらスマホの定義について紹介します。
どんなことはダメで、何をしなければ大丈夫なのかを、しっかりと確認しておきましょう。
2-1 運転中にスマホを使いながら運転すること
ながらスマホの定義は、スマホを使いながら運転することです。
運転とは、以下のものが該当します。
- 自動車
- 二輪車
- 原動機付自転車
また、自転車や歩行者でもながらスマホによって相手にケガをさせた場合には、罪に問われたり賠償金の対象となったりします。
2-2 カーナビを凝視したり操作したりしながら運転も該当
ながら運転に該当するのは、スマホだけではありません。
カーナビを凝視したり操作したりすることも該当します。カーナビを見るのは、車を停止させている間にしなければなりません。
3 ながらスマホで罰則を受けないための防止策
ここからは、ながらスマホで罰則を受けないための防止策を紹介します。
3-1 運転中はスマホの電源を切る
運転中はスマホの電源を切ることを徹底すれば、ながらスマホで罰則を受けません。
今やスマホは生活の一部となっている人も多いでしょう。ついつい手に取り見てしまいます。
スマホの電源を切ってさえおけば、不意にかかってきた電話にも対応する必要はありません。
運転中は意識を切り替えて、スマホの電源を切るようにしましょう。
3-2 携帯携帯電話をドライブモード(運転・公共モード)にしておく
携帯電話のドライブモードを活用するのもおすすめです。じつはスマホには運転中の危険を防ぐために便利な機能がありますので、ぜひ活用しましょう。
- iPhone:「集中モード」の「運転」
- Android:「公共モード」
それぞれの設定方法は以下のとおりです。
①iPhoneは「集中モード」の「運転」
iPhoneの「集中モード」の「運転」への設定方法は、次の手順でおこないます。
- 設定
- 集中モード
- +ボタン
- 運転をタップ
- 集中モードをカスタマイズをタップ
- 適宜オプションの設定をする
②Androidは「公共モード」
Androidの「公共モード」への、設定方法手順の一例を紹介します。
- 設定→接続済みのデバイスをタップ
- 接続の設定
- 運転モードをタップ
- 適宜項目を変更する
※機種によりできなかったり、操作方法が異なったりしますので、それぞれご確認ください。 |
3-3 スマホをバッグの中などにしまう
運転中は、スマホを見えるところに置かず、バッグの中などにしまうこともおすすめです。
助手席にポンッと置いたスマホの通知が鳴り出すと、ついつい気になってしまうもの。
「誰からの連絡か、ちょっとだけ確認しよう」と、その一瞬が大きな事故につながったり、警察に見つかったりするものです。
バッグの中など見えないところにしまっておけば、そのような事態は未然に防げます。
3-4 ハンズフリーやスピーカーホンで話す
運転中に、ハンズフリーやスピーカーホンで話すことは、即座に罰則の対象にはなりません。
スマホのハンズフリーやスピーカーホンであれば、スマホを手に持たなくてすみます。
そのため走行中にどうしても通話をしなければならないときには、ハンズフリーやスピーカーホンで話すのもひとつの方法です。
3-5 車を安全な場所に停車してから電話に出る
もしもスマホが鳴ってしまい、どうしても電話に出なければならないときには、必ず車を安全な場所へ停車してから電話に出ましょう。
電話が切れてしまっても、停車してからかけ直せばすむことです。
まずは安全な場所に停車する、これが最優先になります。
4 ながらスマホの罰則【疑問質問】
ここからは、ながらスマホの罰則について、疑問質問を紹介します。
4-1 運転中に携帯を持っただけでも罰則を受ける?
運転中に携帯を持っただけで、即座に罰則となることは考えにくいですが、たまたまそのタイミングを警察官に見られたとしたら捕まる可能性もあるでしょう。
スマホをバッグなどにしまっておくのが、より安心です。
4-2 運転中にスマホを膝の上に置いていたら罰則にはならない?
運転中にスマホを膝の上に置いておくこと自体は、即座に罰則の対象にはならないでしょう。
ただし、膝の上のスマホを注視するなどした場合には、捕まり罰則となる可能性はあります。
また膝の上に置いておくと、そのスマホが気になってしまうもの。
できれば体から離れた、目に入らないところへしまっておくのがおすすめです。
4-3 運転中に携帯を使って捕まるのは現行犯のみ?
ながら運転は、基本的にはスマホを使っている現場を警察官の目視によって見つかると、捕まります。
つまり警察官の確認が証拠となり、現行犯での検挙となるのが通常なのです。
しかし、必ずしも現行犯だけとは限りません。
たとえば事故を起こした場合、後々ドライブレコーダーや防犯カメラにスマホで通話している場面が確認されたとしたら、現行犯ではなくても逮捕にいたる可能性はあります。
事故を起こしたわけでもなく、運転中にスマホで話していたことが、ドライブレコーダーや防犯カメラ、誰かの目撃証言によって警察にバレたとしても、検挙にいたることはないといえるでしょう。
だからといって、ながらスマホをすることは危険ですので絶対にやってはいけません。
4-5 信号待ちにスマホを見るのもながらスマホに該当するの?
信号待ちで車が停止している際にスマホを見たり通話したりすることは、罰則の対象にはなりません。
道交法では「停止しているときを除き」とされています。
しかしながら、信号待ちでスマホを見ていると、青信号に変わったときの対応が遅れて後続車に迷惑をかけたり、周囲の歩行者などへの注意が散漫になったりするものです。
たとえ信号待ちでも、スマホを見るのは控えると安心でしょう。
4-6 ながらスマホで免停になったらいつから運転できない?
ながらスマホで免停になった場合には、出頭した日から停止期間の満了日まで運転ができません。
免停の期間は、違反点数や前歴によって異なります。
4-7 ながらスマホで自転車に乗ったら罰則となる?
ながらスマホで自転車に乗ることも、道路交通法違反で以下の罰則があります。
- 5万円以下の罰金
自動車と同じように、自転車の場合もスマホや携帯電話を手に持ち使用などすることは、道交法で禁止されているのです。
自転車に乗りながらスマホを使い、誰かにケガをさせた場合には、さらに大変なことになります。
- 重過失傷害罪に問われる
- 損害賠償請求をされる
自転車だからと、軽い気持ちでスマホを使ってはいけません。もしも必要な場合には、自転車を止めて安全な場所で操作しましょう。
4-8 歩きスマホで事故にも罰則はある?
歩きながらスマホを使用して事故を引き起こしてしまった場合の罰則は、今のところありません。
しかし、市町村では条例で禁止しているところも増えてきました。
条例での規制があるかないかではなく、歩きスマホは危険な行為なのでやめましょう。
4-9 運転中の食事やメイクはどうなる?
道交法では、運転中の食事やメイクへの罰則は明記されていません。
しかしながら、食事やメイクをすることは、運転への注意力が散漫となり危険です。車を停止しておこなうのが望ましいでしょう。
5 運転中の携帯使用で捕まれば言い逃れはできない
運転中にスマホで通話したりカーナビを注視したりして、警察に捕まれば、もう言い逃れはできません。
警察官の目視は証拠となるからです。
「耳に当てていただけで通話はしていない」などと言い張っても、聞き入れてはもらえません。
6 ながらスマホは絶対にダメ!ながらスマホの事故でトラブルなら弁護士へご相談ください
ながらスマホの罰則は厳罰化されたことにより、以前より事故の件数は減りました。
しかし、ながらスマホによる事故は今でも起こっています。
運転中のながらスマホやカーナビの注視は、絶対にやめましょう。
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
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