交通事故でむちうちに!後遺障害認定の慰謝料や認定のポイントを解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

交通事故について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。

交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。

全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。

交通事故によるけがのなかでも多いのがむちうちです。

むちうちは一見大きな外傷ではないものの、頭痛や吐き気、しびれなどが長期間続き、生活に支障をきたす可能性もあります。

交通事故によるむちうちが続く場合は、後遺障害認定を受けることで慰謝料を請求できます。

本記事では、交通事故のむちうちで後遺障害の認定を受けるポイントや、どのような慰謝料が受け取れるのかを解説します。

1 交通事故のむちうちの症状とは?

交通事故で前後から強い衝撃を受けると、頭が大きく揺さぶられます。

その際に首に大きな負担がかかり、痛みなどの症状が出るのがむちうちです。

むちうちの症状や首の痛みのほか、以下のようなものがあります。

  • 首から肩のしびれ
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 耳鳴り
  • 関節の痛み

事故直後ではなく数日してから症状が現れることも多いです。

交通事故後にこれらの症状が出ている場合は、むちうちかどうか病院で診断してもらいましょう。

むちうちは一般名称で、病院では頚椎捻挫や腰椎捻挫と診断されます。

1-1 通常は治療で完治できる

むちうちは、病院で治療を続けることで完治するのが一般的です。

交通事故後数日で症状が現れ、すぐ二病院に行くことで数か月程度で完治します。

ですが、なかには半年から数年と治療が長引くケースもあります。

1-2 症状固定に留まることもある

むちうちのなかには、症状が完治せずに症状固定という状態に留まるケースもあります。

症状固定とは、完治しておらず症状が残っているものの、これ以上池沼を続けても完治が期待できない状態のことです。

病院での治療やリハビリを長期間続けてもなかなか回復しない、改善の兆しが見られない場合は、症状固定と判断されることが多いです。

半年から1年経っても症状が改善しない場合、症状固定とされるケースが多いです。

交通事故によるむちうちの症状が症状固定と判断された場合は、後遺障害等級認定を行いましょう。

後遺障害のレベルに応じて、慰謝料を請求できるようになります。

2 むちうちで後遺障害認定を受けると賠償金がもらえる

交通事故によりむちうちになり、後遺障害の認定を受けると加害者の保険会社や加害者本人、または自分が加入している保険会社から賠償金を受け取れます。

後遺障害認定で受け取れる賠償金には、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益があります。

それぞれの違いを確認しましょう。

2-1 後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、後遺症が残ったことによる精神的苦痛への賠償金です。

あとで紹介する障害認定等級によっても相場が変動し、受け取れる金額も100~300万円と大きな違いがあります。

保険会社は低めの金額で交渉してくることが多いため、しっかりと根拠を持った主張をすることが大切です。

後遺症に見合う金額の慰謝料を受け取れるよう、弁護士に相談してみることもおすすめです。

2-2 後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益は、後遺障害のせいで従来と同じように働けなくなった人が、本来なら労働で得られるはずだった金額のことです。

むちうちの症状によって長時間立ちっぱなし、座りっぱなしの姿勢を維持できなくなった、これまでの肉体労働が難しくなったなど、さまざまなケースがあります。

なかには労働時間の短縮や転職により、年収が大きく下がってしまう人もいるでしょう。

これまでの仕事を続けられても、症状のせいで昇給や昇格が難しくなるケースもあります。

そのような、後遺症が残らなければえられた収入に見合う金額を後遺障害逸失利益として請求することも可能です。

3 むちうちで慰謝料はもらえる?金額相場は?

むちうちで後遺障害認定を受けると受け取れる慰謝料の詳細や、金額の相場を解説します。

慰謝料の内訳を確認し、どれくらい受け取れる可能性があるのかをチェックしてみてください。

3-1 入院慰謝料

むちうちのほかにも交通事故によるけがが原因で入院した場合は、その入院にかかった費用を慰謝料として請求できます。

治療期間、入院期間などを用いて計算されることが多く、入院期間や症状によっては全額は受け取れないケースもあります。

保険会社との交渉が必要になることもあるので、入院時の領収書などを残しておくことが大切です。

3-2 治療費・通院交通費・付き添い看護費など

入院費のほか、治療費や通院にかかった交通費、付き添いの看護にかかった費用などを請求することも可能です。

交通費は、電車やバスなどの交通機関の利用は可能、タクシー代や車のガソリン代は不可とされることもあるため、事前に保険の内容を確認したり、専門家に相談したりしておくことをおすすめします。

電車の場合はICカードなど履歴がわかるものがあるといいでしょう。

3-3 休業損害

むちうちなど交通事故後の症状によって働けなくなった場合、その期間の収入に応じた金額を慰謝料として請求できます。

休業していることを証明し、月額の報酬を一日で割った金額と休業日数をかけ、さらに各保険会社の規定にのっとった金額が慰謝料になります。

休業損害は一般的な会社員のほか、飲食店経営者など個人事業主が請求するケースもあります。

3-4 物的損害

交通事故によって車が損壊した場合、修理代や代車の費用などを請求することも可能です。

相手が一方的に悪い場合は相手が加入している保険会社に請求しますが、事故の内容によっては自分が加入している保険会社に請求することもあります。

また、金額も全額の場合と一部のみの場合があります。

4 むちうちの後遺障害等級認定を受けるメリット

上記でむちうちで請求できる慰謝料を紹介しましたが、後遺障害慰謝料や後遺障害遺失利益を受け取れるのは後遺障害等級認定を受けた場合のみです。

後遺障害等級認定を受けなかった場合、治療費など一般的な費用のカバーをすることは可能ですが、後遺障害慰謝料、後遺障害遺失利益を受け取れないので注意しましょう。

後遺障害等級認定の申請などは大変ですが、認定されることで得られるメリットも多数あります。

4-1 後遺障害慰謝料を受け取れる

むちうちの症状が残ってしまった場合、精神的苦痛を負ったことへの補償として後遺障害慰謝料を受け取ることが可能です。

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定を受けた人が受け取れる慰謝料で、等級によって得られる金額が違います。

比較的症状が軽いとされる14級では、受け取れる慰謝料は100万円程度。

症状がやや重いとされる12級では、90~300万円程度の慰謝料がもらえます。

慰謝料の金額に幅があるのは、自賠責基準か弁護士基準かによるものです。

自賠責基準のほうが受け取れる慰謝料の金額は低くなり、弁護士に依頼するとより多くの慰謝料を受け取れます。

その分依頼費用がかかる、受け取り手続きの期間や手間がかかることは理解しておきましょう。

4-2 後遺障害遺失利益を受け取れる

後遺障害等級認定を受けると、後遺障害遺失利益ももらえます。

後遺障害遺失利益では上記で紹介したとおり、むちうちの症状が残ったことで働けなくなった、後遺症のせいで収入に大きな影響があった場合に、その分をカバーするだけの金額を請求できます。

現在の収入だけでなく、将来昇格、昇給するはずだった分の金額などを請求することも可能です。

4-3 示談が成立する前に示談金を受け取れる

後遺障害等級認定を受けると、示談が成立する前に示談金の一部を受け取れるメリットもあります。

一般的に、示談金を受け取れるのは示談が成立してからです。

ですが、後遺障害等級認定を受けることで、その通知とともに慰謝料などをすぐに振り込んでもらえます。

事故後に後遺症が残り労働がままならなくなると、治療費や生活費で貯金を切り崩さなければなりません。

万が一のときの備えをしていなかった人にとっては、すぐに示談金の一部を受け取れるのは大きなメリットといえます。

5 むちうちの後遺障害認定は難しい?

むちうちの後遺障害認定を受けるとさまざまなメリットがありますが、誰でも簡単に認定を受けられるものではありません。

目立つ外傷や大きな後遺症と比較すると、むちうちの後遺障害等級認定は難しいといわれています。

むちうちはレントゲンなどで判断できるものではなく、本人の申告のみで判断しなければならないためです。

そのため、症状がないにもかかわらず後遺障害を主張し、慰謝料を請求しようと考える人もいます。

このような人に不必要な慰謝料を支払わないためにも、むちうちの後遺障害等級認定は非常に厳しくジャッジされます。

なかには実際に痛みや違和感などが残っていても、場合によっては後遺障害の認定を得られない人もいます。

5-1 むちうちが後遺障害認定されないケース

むちうちが後遺障害と認定されないのはどんなケースかを紹介します。

以下に当てはまる場合は、認定を受けられない可能性が高いです。

  • 医師に症状が伝わっていない
  • むちうちである所見がない
  • 症状が連続していない
  • 診断書の内容が不足している
  • 通院の期間が短い
  • 事故が小規模すぎる
  • 事故とむちうちの関係性がない

反対に、上記に当てはまる部分があるもののきちんと事故とむちうちの関係を証明できる書類などがある場合は、しっかり主張することも大切です。

6 むちうちの後遺障害認定を受けるポイント

むちうちの後遺障害認定の基準は厳しく、なかには本当に症状があっても認定されないケースもあります。

その場合は慰謝料を受け取れず泣き寝入りすることになってしまいます。

きちんと症状を伝え、後遺障害認定を受けるためのポイントを解説します。

現在むちうちの症状がある、症状固定と診断された方は、以下の点をおさえて後遺障害等級認定を受けましょう。

6-1 後遺障害等級の基準を満たすか

以下でも詳しく解説しますが、後遺障害等級の認定を受けるには基準を満たしているかどうかが重視されます。

基準は以下のとおり4つあります。

  1. 事故による症状が続いている
  2. 症状固定と診断されている
  3. 医学的に証明できる
  4. 1~14級に該当する

大けがでも完治した場合は後遺障害認定は受けられず、医学的に説明できない症状でも認定は受けられません。

6-2 通院し続けているか

通院し続けている証拠があるかどうかも重要なポイントです。

交通事故に合ってから週に1回以上通院を続けている場合は、後遺障害の認定を受けやすくなります。

反対に、通院回数が少ない、現在通院していない場合、認定を受けるのは難しくなるでしょう。

通院回数が少ないと、後遺症が残るほどのけがではないと判断される可能性が高くなります。

また、通院回数が多くても症状や治療内容が適切ではないと判断されると、認定を受けられないこともあります。

6-3 事故が起きてから症状が続いているか

事故が起きてから症状が続いているかどうかも重視されます。

むちうちはある程度の治療やリハビリを続けると、完治する可能性が高いです。

そのため、医師から症状固定と診断されない限りは後遺障害認定を受けにくいです。

交通事故から半年~1年以上、痛みなどの症状が続いている場合は後遺障害認定を受けられる可能性が高くなります。

6-4 医学的に症状が証明されているか

むちうちの症状が医学的に証明できない場合、後遺障害認定を受けるのは難しいです。

根拠がなく、自分の主張だけでは後遺障害認定を受けられません。

レントゲン、MRIといった専門的な検査を経て、後遺障害が残っていることを証明する必要があります。

後遺障害認定を受けたいのであれば、医師に相談して適切な証拠となる写真や診断書を用意してもらいましょう。

診断書の内容も厳しくチェックされるため、不備があったり症状固定と断定できない場合は認定を受けられません。

6-5 証拠を残しておくことが大切

後遺障害認定を受けるために必要な証拠を残しておくことが、認定を受けるためには大切です。

通院していたことがわかる領収書や、電車で通院していたことがわかる履歴、治療にかかった雑費や通院のせいで働けなくなったこと、給与が下がったことなどがわかる書類はすべて保管しておきましょう。

けがだけでなく、車の損壊なども保険会社は詳しくチェックしています。

少しでも見落としがあるとその分の治療費、修理費などを請求できなくなるので、ささいなものでも証拠として提出できる可能性があるものは残しておきましょう。

7 むちうちには後遺障害等級が複数ある

むちうちの後遺障害認定を受ける際は、どの等級に該当するかも重要です。

後遺障害等級は1~14級があり、数字が低くなるにつれて症状が重いという意味を持ちます。

症状が重いほうが受け取れる慰謝料の金額も高くなります。

むちうちの場合、一般的に14級か12級に該当するケースが多いです。

それぞれの等級の基準を確認しましょう。

7-1 12級の基準と慰謝料額

12級はむちうちの症状のなかでも比較的重く、局部に神経症状が残っている状態が該当します。

レントゲンはMRIの画像で判断されることが多いです。

これらの証拠から後遺障害が残っていると判断された場合、12級に認定される可能性が高いです。

慰謝料額は、弁護士に相談することで300万円程度請求できます。

自賠責のみの場合でも100万円前後の慰謝料を請求することが可能です。

7-2 14級の基準と慰謝料額

一般的なむちうちの症状は、14級に該当することが多いです。

局部に神経症状が残っているという条件は12級と変わりませんが、提出する証拠が違います。

局部に刺激を与え、痛みがあるかどうかを判断する神経学的検査の結果を提出することで14級の認定を受けられます。

レントゲンなどで証拠が提出できないものの、神経学的検査によって症状が証明できる場合は14級に該当するケースが多いです。

神経学的検査の結果でも証明が難しい場合は、事故直後の症状が現在でも続いているという診断書があれば認定される可能性があります。

14級は、弁護士に依頼することで100万円程度の慰謝料を請求できます。

自賠責の場合は30万円前後に留まることが多いです。

7-3 認定に納得できない場合は異議申し立てを

重い後遺症が残っているにも関わらず、十分な認定を受けられない場合は異議申し立てを行うことも可能です。

14級すら認定されなかった、12級に該当するほど重い症状が残っているのに14級と認定された場合などは、異議申し立てを行いましょう。

異議申し立てをしても、等級が下がる心配はありません。

ただし、申し立ての内容が却下されるケースもあります。

その場合は最初の認定の結果の範囲内での慰謝料を請求することになります。

なぜその認定結果が出たのかをよく確認し、異議申し立てをする余地は十分にあるか、異議申し立てが通るだけの十分な証拠はあるかを考えましょう。

場合によっては弁護士に相談することもおすすめです。

適切な助言を得られるだけでなく、必要な書類の準備などもサポートしてくれます。

異議申し立てだけでなく、裁判でその等級にふさわしい金額以上の慰謝料を請求するために戦ってくれるケースもあります。

8 むちうちの後遺障害認定の被害者請求の流れ

交通事故によるむちうちの後遺障害認定は、被害者が自ら証拠を集めて申請する被害者申請と、加害者の保険会社を通して行う事前認定の2種類があります。

以下では被害者請求を行う一連の流れを解説します。

自分で書類を用意する必要があるので、正しい手順や必要書類を把握して、余計なストレスが増えないように進めていきましょう。

8-1 主治医から診断書を受け取る

後遺障害の申請をするために、まずはむちうちの症状が固定状態であることを証明しなければなりません。

そのために必要なのが、主治医からの診断書です。

診断書に症状固定と記載されていれば、後遺障害認定のための申請書類に使えます。

後遺障害診断書は医師が勝手に作ってくれるものではないので、自分から作成を依頼する必要があります。

主治医と今後について話し合い、認定のために必要な診断書を不備なく作成してもらいましょう。

8-2 必要書類を相手の保険会社に提出

主治医からの診断書を受け取ったら、ほかの必要書類を集めて事故を起こした相手側の保険会社に提出します。

必要な書類は保険会社や条件によって異なりますが、以下のものの提出を要求されることが多いです。

  • 後遺障害診断書
  • 住民票
  • 診療報酬明細書
  • 休業尊台証明書
  • 確定申告書
  • 事故の状況上告書
  • 交通事故証明書
  • 支払い請求書
  • 請求者の身分証明書

そのほかにも、通院にかかった交通費を請求できるものなどがあれば提出しましょう。

個人で集めるのが難しい、時間がかかる書類も多いですが、不備や漏れがあると受け取れる慰謝料の金額に大きく影響します。

保険会社はこれらの書類を受け取ったあと、書類の内容を損害保険料率算出機構へ提出して調査を依頼します。

損害保険料率算出機構は書類の内容をもとに、慰謝料の金額などを算出します。

8-3 損害保険料率算出機構からの通知を受け取る

慰謝料金額の算出が終わると、損害保険料率算出機構から保険会社に対して結果が通知されます。

その後、保険会社から事故にあった人に後遺障害等級が何級だったかが通知されます。

一度保険会社を挟む必要があるので、想定よりも時間がかかる可能性があることも考慮しておきましょう。

8-4 保険会社から賠償金が振り込まれる

後遺障害等級が認定された場合、保険会社から慰謝料が指定の口座に振り込まれます。

被害者請求を行うと、示談が成立する前に速やかに慰謝料を受け取れるというメリットがあります。

また慰謝料の金額や後遺障害等級に納得できない場合は、異議申し立てや訴訟の手続きを踏むことで次のステップにすすみます。

異議申し立て、訴訟を起こしたとしても等級が下がることはないので、結果よりもさらに重い障害があると思う場合はこれらの制度を活用してもいいでしょう。

9 むちうちの後遺障害認定を事前認定する流れ

むちうちの後遺障害の申請方法には、被害者請求のほか事前認定もあります。

事前認定は書類を集める手間など被害者の負担が少ないのが特徴です。

ただし、最低限の書類のみで判断されるため慰謝料金額が低くなる可能性があります。

示談成立までは慰謝料を受け取れない点にも注意し、自分にとって被害者請求と事前認定のいずれにメリットがあるのかを考えましょう。

9-1 主治医から診断書を受け取る

被害者請求と同じく、むちうちの後遺障害を証明するためには主治医の診断書が必要です。

主治医に症状固定状態であることを証明するための、後遺障害診断書を書いてもらいましょう。

後遺障害がどの程度残っているのかなど、詳細に書いてもらう必要があります。

事前認定ではこの診断書の記載内容によって、後遺障害等級が変わる可能性が高いため、しっかり現状を記載してもらうことが大切です。

9-2 相手の保険会社が書類を損害保険料算出機構に提出

そのほかに必要な書類は、事故を起こした加害者の保険会社が集めます。

必要な書類と主治医の診断書を損害保険料率算出機構に提出し、後遺障害等級や慰謝料の金額が決定されます。

被害者請求では事故後にかかった費用や将来得られるはずだった収入などを証明する書類を自分で集める手間がかかりますが、事前認定ではその必要はありません。

ただし、本来受け取りたい金額分の書類を提出してもらえないという点には注意しましょう。

9-3 任意保険会社に結果が通知される

後遺障害等級と慰謝料が損害保険料率算出機構の計算によって算出されます。

さらに自賠責損害調査事務所が審査を行い、最終的な等級と金額が決定されます。

その後被害者が加入している保険会社に結果が通知されます。

被害者が自分の後遺障害等級と慰謝料の金額を把握するのはこの段階です。

9-4 示談交渉または異議申し立て

保険会社からの等級や慰謝料金額の結果に納得できない場合は、示談交渉や異議申し立てを行います。

事前認定は被害者が書類を集める手間がかからない分、書類のクオリティを確認できないため思ったような結果にならない可能性が高いです。

むちうちの症状を明確に伝え、治療や通院にかかった費用、それによって働けなかった期間の損害などを証明できなければ、慰謝料の金額にも納得できなくなってしまうでしょう。

実際には通院にかかる交通費や入院に必要な日用品の購入、さらに家族の付き添いにかかった金額などもあります。

本来の損失に近い金額の慰謝料を請求するためには、被害者請求のほうがおすすめです。

むちうちの症状がひどくなかなか自分で書類を集められる状態ではないという場合を除き、被害者請求をおこなうことも考えてみてください。

10 弁護士に相談すればより高い慰謝料を受け取れる

むちうちの後遺障害の慰謝料は、一律ではありません。

弁護士に相談することで、より高額の慰謝料を請求することが可能です。

まずはむちうちの後遺障害で受け取れる可能性がある慰謝料の違いについて確認しましょう。

10-1 自賠責基準

自賠責基準は、慰謝料のなかでももっとも低い基準です。

被害者の治療費などを最低限カバーする程度の金額で、障害等級14級の場合は30万円程度が相場です。

12級の場合でも100万円に満たないケースが多いです。

通院や治療にそれ以上の金額がかかっている、書類を集めて提出する手間などを考えると、自賠責基準の金額では少ないと感じる方が多いでしょう。

10-2 任意保険基準

任意保険基準は、任意の保険会社が独自に定める基準によって決定される慰謝料の金額のことです。

任意保険基準は原則非公開で、被害者も加害者も何が基準に慰謝料金額が決定されているかわかりません。

金額としては、自賠責基準と弁護士基準の中間程度になることが多いです。

自賠責基準よりは多くの慰謝料を受け取れますが、少し上乗せされた程度に留まるケースも少なくありません。

10-3 弁護士基準

慰謝料のなかでも最も高額なのが、弁護士基準によるものです。

弁護士基準は、過去の判例から導き出された慰謝料金額を意味します。

三つの基準のなかて最も高く、後遺障害等級14級なら100万円以上、12級なら300万円近い金額を受け取ることが可能です。

また、入院や通院にかかった費用も上乗せして請求できるため、実際にはより多くの慰謝料を受け取れるでしょう。

弁護士基準の慰謝料を請求するには、弁護士に相談する必要があります。

慰謝料の金額から、弁護士に依頼する着手金や成功報酬などを支払わなければならないことも理解しておきましょう。

10-4 慰謝料は増額できる可能性が高い

交通事故によるむちうちなどに対する慰謝料の金額は、さまざまな基準で計算されます。

保険会社と弁護士とでは計算方法が違うため、上記のように慰謝料の金額に大きな開きが出ます。

保険会社では、自社の任意保険基準や自賠責基準などの基準に沿って慰謝料の金額を計算します。

弁護士は、過去の判例などに基づいて慰謝料の金額を計算します。

また、被害者の心理的な負担なども計算に加味してくれるため、自賠責基準に比べると最大3倍ほどの慰謝料を請求することが可能です。

弁護士に相談して慰謝料の金額を上げてもらうタイミングは、示談交渉のときです。

より多くの慰謝料を請求したい場合は、示談交渉のタイミングで弁護士に相談しましょう。

10-5 専門家目線で対策を考えてもらえる

弁護士に相談することで、専門家目線の対策を考えてもらえるというメリットもあります。

交通事故の後遺症のなかでもむちうちは見た目にはわかりにくく、症状も軽いものが多いです。

そのため、周囲に相談しても適切な助言をもらえないことも多いでしょう。

むちうちの症状が改善しない場合は通院期間も長くなり、保険会社から治療費の打ち切りを提案されることも少なくありません。

ですが、弁護士に相談すればどのように対策すれば治療費を受け取れるのか、慰謝料を高くできるのかをアドバイスしてもらえます。

提出すると有利になる書類を教えてもらえるだけでなく、場合によっては書類集めを代行してくれることもあります。

交通事故で後遺障害が残る経験をする人は少なく、自分自身も初めてのことばかりで戸惑うことも多いでしょう。

専門知識が豊富な弁護士に相談することで、心強い味方になってくれます。

10-6 保険に弁護士費用特約がついていれば負担を減らせる

自分が加入している保険に弁護士特約がついている場合は、弁護士に相談する負担を減らすことが可能です。

弁護士特約は保険の内容によって変動しますが、多くの場合は全額保険会社が負担してくれます。

「弁護士に相談するほどのお金がない」「受け取れる慰謝料よりも依頼費用のほうが高そう」と思っている方は、自分が加入している保険に弁護士費用特約がついていないか確認しましょう。

10-7 相談料や着手金が無料の弁護士サービスを利用するのもおすすめ

弁護士に依頼する費用は、どの法律事務所を選ぶかによって変動します。

なかには相談料や着手金が無料の、個人の小規模な相談でもしやすい法律事務所もあります。

ベストロイヤーズは、交通事故を専門とした法律事務所です。

相談料や着手金は無料で、依頼にかかるのは成功報酬のみです。

成功報酬は165,000円と回収できた金額の8.8%と最初から明確に記載されているため、「想像以上に高額だった」と後悔する心配もありません。

日本全国どこからでも無料でオンライン相談が可能です。

後遺障害による慰謝料について専門家のアドバイスを受けたい方は、相談料無料のベストロイヤーズ法律事務所を活用してみてください。

監修者

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代表弁護士 大隅愛友

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交通事故について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。

交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。

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