民事裁判での反対尋問は重要?心構えや対策を弁護士が徹底解説!

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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民事裁判では当事者尋問や証人尋問をされることがあります。

弁護士など専門的な知識がある人を除いて、一般の方が尋問に臨む場合、相手の代理人である弁護士から反対尋問をされると思うと、うまく回答できるか不安を感じる方も多いでしょう。

本記事では、民事裁判における反対尋問の重要性や質問を受ける際の注意点、困った際の対処法等について解説します。

【関連記事】【民事裁判での証人尋問】当日の流れや注意点を弁護士が解説!

1 民事裁判における尋問

民事裁判では、争いが拮抗している場面で証人尋問当事者尋問が行われます。

尋問はあくまでも「証拠調べ」のひとつです。証人尋問は、名のとおり証人として呼ばれた第三者に対して行う尋問のことで、当事者尋問は事件の当事者に対して行う質問です。

一般的には、証人尋問のあとに当事者尋問が行われます。証人尋問も当事者尋問も流れとしては、主尋問→反対尋問→補充尋問とすすんでいきます。

1-1 主尋問

主尋問は申請した側が行う尋問で、立証したい事項について問われたことに回答します。代理人弁護士から質問を受けるため、事前にシミュレーションが可能です。

【関連記事】民事訴訟での証人尋問とは?主尋問や反対尋問の目的・ポイントを解説

1-2 反対尋問

反対尋問は主尋問のあとに、相手の代理人弁護士から受ける尋問です。反対尋問はどのような質問がくるか予想できないため、事前に対策するのはなかなか難しいです。

1-3 補充尋問

主尋問と反対尋問を終えると裁判官から重要なポイントについて質問されます。これが補充尋問です。補充尋問の内容から裁判官が重視している点を推測していけます。

補充尋問の内容は、判断権者である裁判官が確認の必要があるとして、特別に行うものであるため非常に重要です。

【関連記事】補充尋問とは?重要性や準備の仕方、証人尋問の流れまで詳しく解説

2 反対尋問の目的

反対尋問の目的は相手の主張について、その信用性や矛盾点を問うために行います。

主尋問で発言した内容に対し、矛盾点や合理性に欠けるような点がある場合、有効な反対尋問を行うことで相手の証言には信用性が足りないことを証明できます。有効な反対尋問ができるかは弁護士の腕次第です。

3 民事訴訟における反対尋問の重要性

民事裁判では、勝訴の望みを反対尋問のみにかけるケースはあまり多くはありません。民事裁判で最も重視されるのは、裁判前に提出してある証拠書類です。

証拠書類がかなり有力な場合、証人尋問そのものがあまり重要視されないこともあります。被告が原告の主張を認めているようなケースだと、そもそも証人尋問が行われないケースもあります。

つまり、証拠書類だけで立証できるパターンが最も勝訴の可能性が高いのです。反対尋問で相手から自分に有利になるような証拠を積極的に引き出さなければならない状況は、そもそも勝訴の可能性が低いことを意味しています。

とはいえ矛盾点から嘘の証言を発見できるような有効な反対尋問が行われれば、勝訴できるはずの裁判がひっくり返ることもあります。

4 民事裁判で反対尋問を受ける際の注意点

当事者や証人として裁判に立つ際、相手の弁護士から反対尋問を受けることもあります。どういった点に注意して反対尋問に回答していくのがよいか注意点を5つ紹介します。

4-1 誘導尋問に応じない

反対尋問のよくあるテクニックに、「~ではないですか。」と「はい」「いいえ」で回答できる質問を繰り返す誘導尋問があります。

誘導尋問を行う側は、回答しやすい質問を繰り返すなかで、タイミングを図って相手の回答と矛盾する証拠を提示し、証言の信用性を下げることをねらいます。

回答しやすい質問を連続して問われる場合、どこかのタイミングで自分にとって不利になる証拠を突きつけられるかもしれません。「はい」「いいえ」以外の回答をしていくことで誘導尋問の流れを崩せます。

4-2 自分の記憶のみを話す

反対尋問を含めて証人尋問では自分が経験した記憶にもとづいて事実のみを話すようにしましょう。

「~かもしれない。」など、憶測や事実ではない可能性がある表現で答えてはいけません。

上述したように、反対尋問は発言の信用性を下げるために行われます。そのため記憶にもとづいた事実に沿って発言を行う限りは、相手も矛盾点や合理性について突いていくのが難しい状況になります。

4-3 判断を問われても答えない

反対尋問のなかで「~についてはどう思いますか?」「~だとは思いませんか?」など意見を尋ねるような質問に回答する必要はありません。

そもそも証人尋問のなかでは意見の陳述を求める質問をしてはいけません。

意見は事実とは異なる可能性があるため、事実が重要視される裁判ではあまり意味をなさないからです。こういった反対尋問に対しては、代理人の弁護士から質問を止めてもらうのも方法のひとつです。

4-4 議論に応じない

反対尋問のなかで、相手の弁護から「先ほどの証言は~の点で矛盾しませんか?」などのような議論を投げかけられることもあります。

こういった議論を含んだ反対尋問には安易に答えないようにしましょう。

裁判は議論ではなく事実を確認していく場です。議論を含んだ反対尋問を受けた場合は、上述したように記憶にもとづいた事実のみを話すようにしましょう。「~についてはわからないですが、私の記憶では~です。」といったいいまわしがよいでしょう。

4-5 提出書類を事前に読んでおく

提出した書類や証拠を事前にしっかりと読み込んでおくことは、反対尋問に備えて有効です。

どういった経緯で、何を主張しているのかを頭の中で整理しておくだけでも、反対尋問に対して冷静かつ記憶にもとづいて回答できる心構えができます。相手からの質問に動揺して、今まで主張してきた内容とズレた回答になるのを防げます。

5 反対尋問への回答に困った際の対処方法

反対尋問では予想外の質問で回答に困ってしまうケースが多々あります。どのように回答すればよいか迷った際は、対処方法が2つあります。

5-1 聞き直す

質問が聞こえなかったり、内容が曖昧でよく理解できなかったりした場合は、質問をもう一度してもらいましょう。

反対尋問は相手も事前に準備ができないため、整理された文言で尋ねられるとは限りません。「すみません。もう一度教えてください。」などといえば問題ありません。

また質問を聞き直すのは、回答を考える時間稼ぎの手段としても有効です。質問内容が理解できたとしても、自分のなかで整理できていない回答をすべきではありません。そういった際も、質問を聞き直すことで、少しの時間をつくって回答の文言を整理ができます。

5-2 回答しない

記憶が定かでない場合は焦って回答する必要はありません。

むしろ曖昧な記憶のまま回答をしてしまうと矛盾点が生じやすく、相手にとって有利になるような状況にもなり得ます。事実がわからない質問に対しては「記憶がありません。」「思い出せません。」などと回答するようにしましょう。

6 まとめ

民事裁判においては、一方に有力な証拠がある場合、反対尋問の重要性はそこまで高くありません。

しかしお互いに決定打となる証拠を持ち合わせていないような争いでは、ときに反対尋問が判決の行方に影響を与えることもあります。

反対尋問は代理人弁護士の腕の見せ所といえるでしょう。反対尋問を受ける際は、経験したことや記憶にあることのみを話すことが重要です。

誘導尋問に応じたり、憶測の内容を話したりすると不利な状況に追い込まれる可能性があります。回答に困った際は、聞き直したり回答そのものを控えたりすることもよい手段です。

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