遺産分割調停に弁護士は必要?費用や流れ、よくある質問について弁護士がわかりやすく解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

相続について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

使途不明金や不動産の評価等の専門的な遺産調査や、交渉・裁判に力を入れて取り組んでいます。

相続の法律・裁判情報について、最高品質の情報発信を行っています。

ご相談をご希望の方は無料相談をお気軽にご利用ください。

故人の遺産をどのように分割するかについての協議が平穏に進まない場合、『遺産分割調停』という法的手続きが必要になることがあります。

遺産分割調停は自分で進めることが可能ではありますが、手続きは複雑であるため注意が必要です。では、弁護士の力を借りるべきなのでしょうか?

この記事では、相続問題に精通した弁護士が、遺産分割調停における弁護士の役割、費用、手続きの流れ、そしてよくある質問について、わかりやすく解説します。

1 遺産分割調停に弁護士は必要?

1-1 弁護士なしで自分で進めることは可能

遺産分割調停を自力で進めることは、法的に可能です。

この手続は、当事者間の協議によって進行するため、必ずしも弁護士の介入が必須ではありません。

しかし、自分だけで調停を進める場合、法律的な知識や交渉の技術に欠けるため、結果的に不利な立場に立たされるリスクが高まることは否めません。

遺産分割調停は、合意に基づいて進められる手続きではありますが、法的な論点が複雑に絡み合うことも少なくありません。

そのため、法律的な知識が豊富で、論理的に自己の主張を構築できる者が有利に進めることができるのです。

特に、調停が決裂し審判に移行する可能性を考慮するならば、初期段階から法律的視点を持ち合わせることが重要なのです。

1-2 遺産分割調停に行けないと不利になる?

遺産分割調停において、相続人全員の出席は理想的ですが、全員が参加できない場合でも、直接的に不利な状況を生むわけではありません。

ただ、調停は相続人全員の合意が必要であり、もし一部の相続人が欠席する等の理由で全員の同意が得られなければ、調停は成立しません。

調停が成立しない場合、次のステップとして遺産分割の審判へと移行することになります。

遺産分割調停は、調停委員会を介した話し合いの場であり、相続人同士の合意を目指します。

対照的に、遺産分割審判は裁判に類似した手続きで、相続人の主張や提出された証拠に基づき、審判官が最終的な決定を下します。

この段階でも、相続人は欠席することが可能ですが、審判においては欠席することが自らの主張や証拠を提示する機会を失うことを意味します。

したがって、審判において有利な判断を得るためには、出席して自己の立場を積極的に主張し、必要な証拠を提出することが重要なのです。

1-3 遺産分割調停は弁護士に相談すると有利?

遺産分割調停において弁護士に相談することは、相続人にとって有利に働きます。

弁護士は相続に関する深い知識を持ち、過去の事例にも精通しています。この専門知識を活用することで、相続人は自身の権利を適切に主張し、法的な落とし穴を避けることができます。

遺産分割においては、相続人間の意見の食い違いが発生することが一般的です。

弁護士は優れた交渉技術を持ち、クライアントの立場から最良の解決策を模索し、合意に至るためのサポートを提供できるのです。

また、遺産分割調停の手続きは複雑で時間がかかることが多いです。しかし弁護士は手続きの進行をスムーズにし、不必要な遅延を避けるための指導を行います。

これにより、相続人は精神的な負担を軽減し、手続きの流れを迅速に進めることができます。

さらに遺産分割調停には、適切な書類の準備が必要です。弁護士は必要な文書を正確に準備し、提出することで、調停や審判での主張を強化します。

しかも、弁護士が直接相手と話し合いを行うことができます。

感情的な対立が生じやすい交渉から解放され、精神的な負担を大幅に軽減することができます。

1-4 遺産分割調停がまとまらない場合は

遺産分割に関する協議が進展せず、相続人間の交渉だけでは解決に至らない場合、家庭裁判所へ遺産分割調停の申し立てを行うことになります。

この段階で、弁護士の役割は極めて重要になります。

弁護士は依頼人の主張を明確に書面化し、それを裁判所に提出することで、調停における議論の基盤を作りあげます。

この主張書面と証拠資料は、調停の方向性を大きく左右することがあり、調停における中核となるのです。

また、調停期日には、弁護士が毎回出席し、依頼人の立場を代弁します。

調停で提出された書面は、単にその場限りのものではなく、調停が合意に至らず不成立となった場合には、その後の審判手続きにおいても重要な資料として使用されることになります。

このため、調停での主張書面の内容は、今後の手続きを考える上で、非常に重要となります。

調停が不成立となった際は、遺産分割審判へと移行することになりますが、ここでも調停で提出された書面が基礎資料として活用されるため、初期段階から慎重に、かつ戦略的に書面を準備することが、有利な解決に繋がる鍵となります。

1-5 遺産分割調停を弁護士に相談しないデメリット

遺産分割調停において弁護士に相談しない場合、いくつかのデメリットが生じる可能性があります。

①手続きの準備に関わる手間と時間

調停を申し立てる過程は、複雑で時間を要するものです。必要な書類の準備や手続きの適切な進め方について、専門的な知識がなければ、時間と労力が大幅に増加する可能性があります。

また、調停には数ヶ月から1年程度の時間がかかることが一般的です。この長期間にわたる手続きは、相続人にとって大きな精神的な負担となります。

②裁判所へ出向く必要が

調停手続き中は、相続人が直接裁判所に出向く必要があります。これには、時間的な負担だけでなく、精神的なストレスも伴うことが多いです。

③相続人全員の合意が必要

遺産分割調停は、相続人全員の合意が得られなければ不成立となります。これは、全員が一致する解決策を見つける必要があるため、調整が難しくなる可能性があります。

④主張が通らない可能性が

自分で調停手続きを進める場合、法律的な知識の不足や交渉が感情的になってしまうことにより、自己の主張が十分に伝わらず、望む結果を得られない可能性があります。

これらのデメリットを踏まえると、遺産分割調停のプロセスをスムーズに、かつ効率的に進めるためには、弁護士の専門的なサポートを受けることが重要です。

1-6 遺産分割調停を弁護士に相談するメリット

遺産分割調停を弁護士に相談することは、多くのメリットをもたらします。

手続きの進行をスムーズにし、精神的な負担を軽減し、最終的な成果において有利な結果を導くことができるのです。

①手続きを任せられる

弁護士に相談することで、調停申し立てに関わる煩雑な手続きを専門家に任せることができます。これにより、適切な書類の準備や申し立てのプロセスが正確に、かつ迅速に進行します。

②調停での代理出席と発言が可能

弁護士は調停における依頼人の代理として出席し、発言することが可能です。法的な知識を基にした強力な代弁ができますので、依頼人の立場を有利に進めることができるのです。

③専門的な助言を提供できる

弁護士からは、遺産分割調停に関わるさまざまな局面での専門的な助言を受けることができます。これにより、戦略的な判断や、適切な交渉手法の選択が可能になります。

④遠方の裁判所への出席

遺産分割調停が遠方の裁判所で行われる場合でも、弁護士に依頼することで、地理的な制約を超えて適切な代理人が出席してくれます。これにより、依頼人は遠距離移動の負担や時間的な制約から解放されます。

弁護士に相談することのメリットはこのように、手続きの進行における効率化、法的な代理としてのサポート、専門的なアドバイスの提供、そして地理的な問題に対するサポートにまで及びます。

2 遺産分割調停を弁護士に依頼した場合の費用について

2-1 遺産分割調停の弁護士費用はいくらくらいですか?

遺産分割調停を弁護士に依頼する際の費用は、法律事務所によって大きく異なるため、具体的な金額を知るには事前の確認が必要です。

弁護士費用は主に相談料、着手金、報酬金、実費などから成り立ち、これらの費用はケースの内容や複雑性によって変動します。

①相談料

一般的に、弁護士との初回相談料は30分あたり5,000円程度が相場とされています。これは初期の相談にかかる費用で、ケースの概要を理解するために必要な費用です。

②着手金

弁護士が事件を引き受ける際に発生する費用で、経済的利益(遺産の総額やその他の経済的価値)の2〜8%程度が一般的です。着手金は案件に着手するための基本料金として設定されます。

③報酬金

調停やその後の手続きが成功した場合に支払う費用で、経済的利益の4〜16%程度が目安です。報酬金は、依頼した法律問題が解決した際に成果に応じて支払う費用です。

④実費

交通費や郵送費など、調停過程で実際に発生する費用です。これらは具体的な金額が事前には予測しづらい部分もあります。

⑤日当

調停や裁判所への出席が必要な場合に支払う日当があり、1日あたり3〜5万円程度が相場です。

弁護士費用は、遺産の総額、遺産の種類、相続人の数などの要因によって変動します。

また、法律事務所によっては、固定料金を設定している場合もありますが、ケースの複雑さに応じて、より高額な着手金が必要になることもあります。

費用は数十万円から一千万円前後と大きく変わることがありますので、依頼前には必ず複数の法律事務所に相談し、費用の見積もりを取ることが重要です。

2-2 遺産分割調停の費用は誰が払うのですか?

遺産分割協議に伴う仲介、調停、または審判に関する費用は、基本的に依頼者自身が負担することになります。

これは、遺産分割を巡る対立や協議において、弁護士のサポートを個別に求めた場合に特に当てはまることになります。

例えば、兄弟間で遺産の分割比率をめぐって意見が対立し、それぞれが弁護士に相談を持ち掛けた場合、それぞれの依頼者が自身の弁護士費用を個々に負担することになります。

一方で、遺産分割に関するトラブルが特に発生していない状況で、単に遺産分割に関する法的アドバイスを得るために弁護士に相談する場合、相続人間で事前に話し合い、費用の負担について合意を形成することが一般的です。

これにより、相続人全員が納得のいく形で費用を分担することが可能になります。

弁護士に遺産分割調停を依頼する際には、着手金を契約時に支払うのが通常です。この着手金は、弁護士が依頼された案件に取り組むための初期費用として設定されます。

そして、遺産分割の手続きが完了し、相続財産の分配が終わった後に、成功報酬として追加の費用を支払うことが一般的です。

手続きの成果に応じて弁護士へ報酬を支払うことになります

3 遺産分割調停の流れと弁護士のサポートについて

3-1 遺産分割調停の流れ

遺産分割調停の流れは、以下の通りに進行します。

①家庭裁判所への申立て

遺産分割調停を開始するためには、まず、被相続人や相続人の情報を含む必要書類(戸籍謄本、住民票、不動産登記簿謄本など)を準備し、相続人全員を相手方として、その住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行います。

相続人が複数いる場合は、管轄を選択することが可能です。

②調停の実施

調停は、裁判官1名と家事調停委員2名(通常は男女のペア)によって構成される調停委員会が主導します。

調停室で行われ、調停委員が相続人それぞれから意見や主張を聞き出しながら、問題点を整理していきます。

初回の調停期日では、手続きの概要説明の後に具体的な話し合いが始まり、相続人の範囲の確定、遺産の範囲と評価、特別受益や寄与分の確定、遺産分割方法の決定という順序で進められます。

③調停の成立

遺産分割調停は通常、一度の期日で終了することは稀で、合意に至らない場合は次回の期日が約1ヶ月後に設定されます。

この手続きは、相続人間で合意が形成されるまで続き、合意に至れば調停成立となります。調停が成立すると、手続きは終了し、多くの場合、数ヶ月から1〜2年程度の期間を要します。

④不成立の場合の審判手続きへの移行

話し合いによる解決が見込めない場合、例えば相手方が出頭しない、同じ主張の繰り返し等がある場合は、調停不成立となり、自動的に遺産分割の審判手続きに移行します。

審判手続きでは、裁判官が客観的な資料を基に、妥当な遺産分割方法を決定します。

3-2 遺産分割調停で聞かれること

遺産分割調停において、調停委員から主に問われる内容は、相続財産に関するものが中心です。具体的には、以下の点が重要視されます。

①遺産目録に記載されている相続財産について

調停委員は、遺産目録に記載されている相続財産について、全てがリストアップされているかを確認します。ここでは、漏れがないかどうかが問われるため、事前に遺産目録を慎重に作成し、全ての相続財産が含まれていることを確認することが重要です。

②希望する相続財産の内容

相続人各自がどの相続財産を取得したいかについても確認されます。この段階で、相続人間の希望や意向を明らかにし、遺産分割の基盤を築くことになります。

③価額の決定方法

不動産などの評価額について、どのように決定するかも重要な議論点です。市場価値、鑑定評価、または相続人間の合意に基づく評価など、評価額を決める方法について、調停委員は相続人の意見を聞きます。

④特別受益や寄与分に関する主張

特別受益や寄与分に関する主張がある場合、その額や内容についても確認されます。

特別受益とは、被相続人から生前に受けた贈与などがこれに該当し、寄与分は相続人が被相続人のためにした特別の貢献を指します。

これらの主張を行う場合は、法的な根拠と具体的な証拠を提出することが求められます。そのため、うまく弁護士のサポートを受けることがおすすめです。

3-3 遺産分割調停の呼び出しはいつ届く

遺産分割調停の申立てが家庭裁判所によって受理されると、次に行われるのは当事者全員への呼び出しです。

呼出しは、申立人自身と相手方全員に向けて送付され、申立て受理後約2週間程度で届くのが一般的です。

ただし、この期間は目安であり、裁判所の業務量やその他の事情によって前後する可能性があります。

呼出状には、遺産分割調停が行われること、調停の日時や場所、さらに調停に参加する際に持参する必要がある書類など、調停に関連する重要な情報が詳細に記載されています。

相続人は調停の具体的なスケジュールや準備すべき事項を確認し、調停に向けた具体的な準備を開始することになります。

そのため、呼出しを受け取った際は、記載されている日時と場所を確認し、必要書類を準備するなど、調停に参加するための準備を進めることが重要です。

弁護士に相談しておけば、調停における依頼人の代理として出席することが可能です。依頼人の立場を有利に進めることができますので安心です。

4 遺産分割調停とは?よくある質問と弁護士の必要性について

4-1 そもそも遺産分割調停とは?

遺産分割調停とは、相続に関して相続人間での協議を通じた合意が得られなかった際に、裁判所の仲介のもとで合意形成を図る手続きです。

具体的には、相続人同士の遺産分割に関する話し合いが平行線をたどる場合、家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が指名する裁判官と調停委員がその手続きをサポートします。

この手続きにおいて、相続人は直接対面して遺産分割について話し合うわけではなく、調停委員が両方の意見を聞き、双方の間で意見の橋渡しを行います。

この流れを通じて、相続人間での合意が目指されます。

遺産分割調停の申し立て自体にかかる費用は比較的低額(約1万円前後)で可能ですが、この手続きをスムーズに進めるために弁護士に依頼する場合、その費用は数十万円以上になることが一般的です。

4-2 遺産分割調停で合意しない場合どうなりますか?

遺産分割に関して相続人間での協議が成立せず、家庭裁判所で行われる調停を通じても合意に至らない場合、次に家庭裁判所による遺産分割審判が行われます。

遺産分割審判では、裁判官が遺産分割の方法を決定します。

調停での合意が得られない場合、裁判所は双方の主張、提出された証拠資料、法律的な見地を踏まえて、公平と考えられる遺産分割の方法を定めます。

遺産分割審判は、相続人間での合意が不可能と判断された場合の最終的な解決策であり、裁判官が客観的な立場から遺産分割を決定することになります。

弁護士は依頼人の主張を明確に書面化し、それを裁判所に提出します。

書面と証拠資料は、調停の方向性を大きく左右することになり、調停が合意に至らず不成立となった場合には、その後の審判手続きにおいても重要な資料として使用されることになります。

そのため、弁護士の役割は極めて重要になります。

4-3 遺産分割調停は何回くらいありますか?

遺産分割調停の実施回数に関しては、司法統計によれば、多くの場合で6回から10回程度の調停期日が設定されることが最も一般的です。

遺産分割調停は、申立てから1〜2ヶ月後に最初の調停期日が決定され、その後は大体1ヶ月ごとに調停期日が設けられ、相続人間での話し合いが進められます。

実施回数は、相続財産の規模、相続人の人数、相続に関する争点の複雑さなどによって左右されます。

調停期日の間隔は、当事者が準備する必要がある書類の量や、調停委員が詳細な情報を収集・検討するために必要な時間を考慮して決定されます。

また、相続人間での合意形成を促進するため、適宜調整が行われることもあります。

弁護士に依頼しておけば代理して法的な手続きを行うことができますので、直接的な対応から解放され、精神的な負担を大幅に軽減することができます。

4-4 遺産分割調停にかかる平均的な期間は?

遺産分割調停のプロセスにかかる時間について、最高裁判所が公表している資料によると、平均的な審理期間は約11〜12ヶ月とされています。

遺産分割調停の申立てから調停が成立し、問題が解決するまでの期間であり、多くのケースでは約1年程度を要することを意味します。

遺産分割調停がこのように比較的長期間を要する背景には、相続財産の内容や価値の特定、相続人間の利害関係の調整、特別受益や寄与分の計算など、解決すべき問題点が複雑で多岐にわたることがあります。

また、相続人それぞれの立場や意向を考慮し、全員が納得できる合意に至るまでには、時間と丁寧な調整が必要となるためです。

そのようなことから、手間や負担から解放されるために、うまく弁護士を活用することをおすすめします。

4-5 遺産分割調停は一部のみでもできますか?

遺産分割調停や審判においては、通常、遺産全体を対象に分割が行われるのが原則です。

しかし、すべての遺産を一度に分割することが困難または不適切な場合、遺産の一部だけを分割し、残りの遺産は分割せずにそのまま残しておく「一部分割」が可能です。

この一部分割を行うためには、相続人全員の合意が必要となります。

一部分割は、例えば特定の不動産や価値ある遺品については速やかに分割を決定し、残りの財産についてはさらなる議論や調査が必要な場合などに有効です。

この方式を選択することで、相続人間で合意が容易な財産については迅速に解決を図り、より複雑または議論が必要な財産については時間をかけて検討することができます。

一部分割を行う際は、その決定が相続人全員にとって公平であること、そして全員の合意に基づいていることが重要です。

合意が得られた場合、その部分に関する分割は調停や審判を通じて正式に決定され、相続財産の一部についてのみ分割が実施されます。

ただし手続きを適切に進めるためには、弁護士が持つ専門的な知識がなければ、時間と労力が大幅に増加する可能性があります。

4-6 遺産分割調停中にやってはいけないことは?

遺産分割調停中には、円滑な解決に向けて避けるべき行動がいくつかあります。これらの行動は、調停プロセスを妨げ、問題の解決をより困難にする可能性があります。

そのため、弁護士の専門的なサポートを受けることが重要です。

①調停期日への無断欠席

調停期日には、事前の通知なしに欠席することは避けるべきです。調停は相続人全員の協力と参加を必要とする手続きであり、無断で欠席することは調停を長引かせる原因となります。また、調停への参加意欲がないとみなされ、不利な印象を与えかねません。

②感情的な主張を繰り返す

遺産分割は感情的になりやすいテーマですが、調停中には感情に基づく主張を繰り返すのではなく、合理的かつ客観的な主張を心がけることが重要です。感情的な主張は、問題の解決を妨げ、相続人間の溝を深める可能性があります。

③他の相続人の主張を聞かない態度

調停は、相続人間の意見や主張を理解し、共通の合意点を見つけることを目的としています。他の相続人の意見や主張に耳を傾けることができなければ、調停を通じた合意形成は難しくなります。

④嘘をつく行為

調停中に虚偽の情報を提供することは、調停にとって非常に有害です。信頼関係を損ねるだけでなく、後に真実が明らかになった際には、あなたの立場を不利にする可能性があります。調停は公平な解決を目指す場であり、正直さが求められます。

4-7 遺産分割調停は自庁処理(自らが処理すること)はできますか?

家事事件手続法第9条に基づき、遺産分割調停の申立てを受けた家庭裁判所は、事件を適切に処理するために特別な必要性があると判断した際に、自庁処理(自らが処理すること)が許されています。

遺産分割調停を自分の住所地の家庭裁判所で行うことについては、特定の個人的事情が認められる場合に限り可能です。

弁護士は、書類の準備から裁判所への出向き、相続人間の合意形成、時間的・精神的負担の軽減、そして主張の適切な伝達に至るまで、遺産分割調停を有利に進めるためのサポートの提供が可能です。

4-8 遺産分割調停は録音や録画をしてもいいですか?

遺産分割調停をはじめ、審判、調査などを含む家事事件手続きについては、録音、録画、撮影行為は禁止されています。

そのため、手続き中における録音や録画は、参加者の信頼関係を損ない、手続きの進行に影響を及ぼす可能性がありますので注意が必要です。

弁護士に相談すれば、遺産分割調停に関わる専門的な助言を受けることができ、戦略的な判断や、適切な交渉手法の選択が可能になりますので安心です。

4-9 遺産分割調停の呼び出しを無視してもいいですか?

遺産分割調停の呼び出しを無視することは、法的に問題がある行為です。

調停の呼び出しを受けても、その期日に正当な理由なく出席しない場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。

調停手続きの進行を妨げ、他の相続人の権利を侵害する可能性があるため、法律で規制されています。

遺産分割調停は、相続人間の紛争を平和的に解決するための重要な手続きです。

調停期日への出席は、相続人各自が負う責任の一つであり、相続問題を適切に解決するためには、すべての関係者の積極的な参加が必要です。

もし調停の期日に出席できない場合は、無視をするのではなく、事前に裁判所へ連絡を取り、その理由を説明することが重要です。

弁護士は調停における依頼人の代理として出席できますので、負担なく手続きの進行に協力する姿勢を示すことができます。

5 まとめ

遺産分割調停は、相続人間で遺産分割に関する合意が得られない場合に、裁判所の仲介を通じて平和的な解決を目指す手続きです。

遺産分割調停は、相続問題を解決するための有効な手段ですが、成功するためには相続人の協力と積極的な参加、専門的な知識が求められます。

そのため、弁護士から法的なアドバイスを受けながら、相続人全員が納得できる解決策を目指すことが重要です。

監修者

ベストロイヤーズ法律事務所

代表弁護士 大隅愛友

詳しくはこちら
相続について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

使途不明金や不動産の評価等の専門的な遺産調査や、交渉・裁判に力を入れて取り組んでいます。

相続の法律・裁判情報について、最高品質の情報発信を行っています。

ご相談をご希望の方は無料相談をお気軽にご利用ください。

地図・アクセス

千葉事務所

千葉駅徒歩3分

千葉市中央区新町1-17
JPR 千葉ビル12階
詳しく見る

ご予約
相続・交通事故に関するご相談については、まずはお気軽にご連絡ください。弁護士との相談日時を調整し、ご予約をお取り致します。

面談の際にご準備いただく書類がある場合には、合わせてご説明致します。

※お電話・メールで回答のみを求めるお問い合わせには応じておりません。