禁錮(禁固)刑とは?懲役刑との違いや執行猶予を得るためのポイントについて弁護士がわかりやすく解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

交通事故について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。

交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。

全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。

日常生活ではあまり耳にしないかもしれませんが、「禁錮(禁固)刑」と「懲役刑」は、法律上の刑罰として重要な位置を占めています。

これらのキーワードはニュースなどで時折耳にすることがありますが、その具体的な内容や、お互いの違いについて詳しく知っている方は少ないかもしれません。

本記事では、禁錮刑と懲役刑の基本的な定義から、それぞれの刑罰がどのような犯罪に適用されるのか、執行猶予を得るためのポイントに至るまで、具体的かつ詳細に弁護士の視点からわかりやすく解説していきます。

1 禁錮(禁固)刑とは?懲役刑との違いは?

1-1 禁錮(禁固)刑とはどんな罪なのか

禁錮刑とは、刑務所に収容されるものの、懲役刑と異なり労務作業を伴わない身柄拘束刑のことを指しています。

つまり、禁錮刑を受けた人は、刑務所内で特定の仕事を強いられることなく、刑期を過ごします。

これが懲役刑との大きな違いであり、懲役刑では犯罪者に対して強制的に労働が課せられます。

禁錮刑は、有期と無期の二つに分けられます。

有期禁錮の場合、刑期は最大で20年までと定められており、複数の犯罪で裁かれる場合、その刑期は最長で30年になることがあります。

無期禁錮の場合は、刑期に終わりが設けられていませんが、主に重大な犯罪、例えば内乱罪などに限られ、無期禁錮刑が実際に言い渡されることは稀です。

禁錮刑は「働かないで刑期を過ごす」刑罰でありますが、拘留(短期間の身柄拘束)とも異なり、長期間の身柄拘束が特徴です。

禁錮刑は、刑罰として比較的軽いと見なされることが多いですが、それでも社会から一定期間隔離されるという点では、犯罪者にとって重大な影響を持ちます。

1-2 懲役刑とはどんな罪なのか

懲役刑は、犯罪者を受刑施設、つまり刑務所に収監し、その間、労務作業の実施が義務づけられる刑罰を指しています。

労務作業の義務が、懲役刑と禁錮刑の最も顕著な違いとなります。

懲役刑を適用された人は、刑務所でさまざまな労務作業に従事することになります。

木工、炊事、掃除、工場労働、衣類や靴の製造などが含まれ、これらの作業によって生産された品物は市場で販売されることもあります。

懲役刑下の労務作業は、土日祝日を休日とし、1日8時間の労働が基本とされていますが、実際の労働時間はこれより短くなることが一般的です。

運動や入浴の時間も設けられており、これらを含めると作業時間はさらに短縮されます。

労務作業に対しては報酬も支払われ、その金額は一般的に月数千円程度、具体的には約5,000円とされています。

この報酬は、刑務所内での嗜好品の購入や、出所後の交通費や一時的な生活費などに使われることが想定されています。

懲役刑の期間を終えた際には、受刑期間中に働いた分の報酬を受け取り、刑務所を出所することになります。

懲役刑の特徴は、犯罪者に対する更生と社会復帰の支援を目的とした労務作業の義務付けにあります。

このようにして、懲役刑は犯罪者に対する教育と改善の機会を提供しつつ、社会への貢献を促すことを目指しています。

1-3 禁錮(禁固)刑と懲役刑の目的

禁錮刑と懲役刑の適用は、犯罪者に対して異なる目的で行われることがありますが、基本的にこれらの刑罰が持つ主要な目的はいくつか存在します。

最も直接的な目的は、犯罪者を一時的に社会から隔離することにあります。これは、犯罪者が再び犯罪を犯すリスクを減少させ、社会の安全を保護するためです。

例えば、放火犯や盗撮犯、詐欺師などが再度犯罪を犯す可能性を減少させるために、これらの犯罪者を受刑施設に収容します。

窃盗など、社会に戻るとさらに危険をもたらす可能性のある犯罪に対しては、懲役刑などのより厳しい刑罰が選択されることがあります。

犯罪に対する刑罰の存在は、社会全体に対する抑止効果を持ちます。

懲役刑のように、長期間自由を奪われることは誰にとっても望ましくないため、「犯罪を犯せば刑務所に行く」という認識が犯罪の抑止につながります。

このような抑止効果により、人々は犯罪を犯すことを避けるようになります。

また、犯罪者を刑務所に収容することで、規則正しい生活を強制し、犯罪者の社会復帰を目指す矯正が行われます。

懲役刑では、労働を通じて労働倫理を学び、社会で健全な生活を送るためのスキルを身につけることができます。

この矯正の過程によって、犯罪者の生活習慣の改善、体調の向上、そして再犯率の低下に繋げていきます

これらの目的は、犯罪者を社会から一時的に隔離し、犯罪の抑止と矯正を通じて、犯罪者自身の改善及び社会全体の安全を確保するために設けられています。

懲役刑の場合、労働を通じた矯正効果が特に強調され、犯罪者に労働の重要性を教え、更生の機会を提供することが目指されています。

1-4 禁錮(禁固)刑と懲役刑どちらが重い刑罰なのか

法律における刑罰の重さに関する規定では、懲役刑が禁錮刑よりも重い刑罰とされています。

具体的には、日本の刑事罰体系において、刑罰の重さは死刑が最も重く、その次に懲役刑、禁錮刑、罰金刑、拘留、科料、そして没収の順になっています。

この順序は、刑罰を科す際に、犯罪の重大性に応じて適切な刑罰が選択されるための基準となります。

例えば、ある犯罪に対する刑罰が懲役刑から禁錮刑や罰金刑に減刑される可能性があり、犯罪の情状に応じて行われます。

しかし、無期禁錮と有期懲役の場合には無期禁錮が重い刑罰とされ、また、有期禁錮の上限期間が有期懲役のそれを2倍以上超える場合、有期禁錮がより重い刑罰と見なされる例外もあります。

これらの規定は、刑罰の適用における柔軟性を持たせるために設けられています。

禁錮刑が適用される犯罪は通常、懲役刑が適用される犯罪よりも軽いと見なされます。

例として、自動車の運転による人身事故を引き起こした場合の刑罰を考えると、過失運転致死傷罪には懲役刑だけでなく禁錮刑や罰金刑の適用が可能ですが、故意に近い重過失による危険運転致死傷罪では、より重い懲役刑のみが規定されています。

重大な犯罪、例えば殺人罪や強盗罪には懲役刑のみが適用され、禁錮刑は設けられていません。

これは、これらの犯罪の重大性を考慮した結果、禁固刑では刑罰として不十分であると判断されるためです。

1-5 禁錮(禁固)刑と懲役刑を兼ねた『拘禁刑』とは

従来、禁錮刑と懲役刑は異なる特徴を持つ刑罰として区別されてきましたが、これらの区分に新たな変化がもたらされました。

2022年6月13日、日本の参議院本会議で、禁錮刑と懲役刑を統一し、新たに「拘禁刑」という刑罰を設けることを定める改正刑法が成立しました。この新しい制度の施行は2025年を予定しています。

禁錮刑では、刑務作業が強制されていないものの、実際には多くの受刑者が自発的に作業を行っている現状があります。

これにより、禁錮と懲役の間の区別が実質的に意味をなさなくなってきました。

一方で、懲役刑では、受刑者が刑務作業に従事することで、更生教育に充てるべき時間が制限されてしまうという問題が指摘されています。

このような背景から、禁錮刑と懲役刑の枠組みを超え、受刑者一人ひとりの特性に応じた適切な処遇を提供することの重要性が認識されました。

この考えに基づき、禁錮刑と懲役刑を一本化し、「拘禁刑」という新たな刑罰を創設することが決定されたのです。

拘禁刑の導入により、刑務作業の強制有無という従来の区分けを超えて、受刑者に対してより柔軟かつ個別化された処遇が可能となることが期待されています。

これにより、受刑者の更生支援と社会復帰の促進がより効果的に行われることを目指しています。

2025年の施行に向けて、新たな刑罰制度の具体的な運用方法や影響について、引き続き注目が集まっています。

2 禁錮(禁固)刑と懲役刑のどちらもある犯罪も

2-1 禁錮刑が定められている犯罪

禁錮刑は、主に意図的ではない、あるいは比較的軽微な犯罪に適用される刑罰です。この刑罰は、特に政治犯や過失による犯罪(交通事故を含む)で用いられることが一般的です。

例えば、内乱罪や騒乱罪、公務員が職権を乱用した汚職、名誉毀損、交通事故による過失運転致死傷罪などが禁錮刑の適用対象となります。

これらの犯罪は、過失や政治的な動機に基づくものであることが多く、その性質上、意図的な悪意を伴わないケースが含まれます。

禁錮刑が設定されているこれらの犯罪に対しても、場合によっては懲役刑や罰金刑が選択されることがあります。

これは、刑罰を決定する際に、犯罪の具体的な事情や社会への影響、再犯の可能性など多岐にわたる要素が考慮されるためです。

禁固刑を受けた受刑者の中には、自ら刑務作業を希望する者も多いとされます。

これは、刑務作業を通じて何らかの生産活動に参加することで、受刑期間中の自己改善や社会復帰に向けた準備を行いたいと考える受刑者がいるためです。

しかしながら、禁錮刑の必要性については議論があり、2020年10月には懲役刑と禁錮刑を統合する答申が提出されたのです。

2-2 懲役刑が定められている犯罪

懲役刑は、多種多様な犯罪に適用される刑罰であり、その範囲は極めて広いです。

実質的に、比較的軽微な罪を除くほとんどの犯罪に懲役刑が規定されていると言えます。

具体的には、

  • 身体に対する罪(暴行罪や傷害罪)
  • 財産に対する罪(窃盗、詐欺、横領)
  • 信用に対する罪(名誉毀損、信用毀損)
  • 住居侵入、薬物関連の犯罪、通貨偽造、殺人、強盗、性犯罪(強制性交等罪、わいせつ罪)
  • 公共の安全を害する罪(放火)
  • 経済犯罪(脱税、著作権法違反)

など、幅広い犯罪に懲役刑が設けられています。

懲役刑の位置づけは、禁錮刑と比較してより厳しい罰則とされています。

重大な犯罪や再犯のリスクが高い場合、裁判所は自由を奪う形の刑罰として懲役刑を選択することが多いです

実際に、殺人や傷害、詐欺、窃盗など、社会的に認知度の高い犯罪における法定刑は、多くの場合懲役刑のみが設定されています。

ただし、懲役刑が規定されているからといって、すべてのケースで懲役刑が適用されるわけではありません。

禁錮刑と懲役刑、または懲役刑と罰金刑が両方とも適用可能な場合、裁判所は犯罪の性質や犯罪者の背景、更生の可能性などを総合的に考慮して、最も適切な刑罰を選択します。

このため、同じ種類の犯罪であっても、具体的な事情に応じて異なる刑罰が適用されることがあります。

懲役刑の適用範囲の広さは、法律が犯罪に対して厳格に対処する意志を反映しており、同時に裁判所に刑罰を適切に選択するための柔軟性を与えているのです。

3 禁錮(禁固)刑によってどんな生活になる?

3-1 禁錮(禁固)刑は刑務所に入る?

禁錮刑や懲役刑を受けた場合、原則として刑務所に収監されることになります。

この点において、禁錮刑と懲役刑は同様の処遇を受けることになりますが、全ての状況で直ちに刑務所生活が始まるわけではありません。

具体的には、執行猶予が付された場合、受刑者は直接刑務所に入ることはありません。

裁判所が犯罪者に一定期間、再犯しないことを条件に自由を与える判断を下した場合に執行猶予付されます。

執行猶予期間中に再犯などの問題がなければ、実際には刑務所での刑期を服さずに済むのです。

ただ、刑の一部に執行猶予が付された場合は、執行猶予に該当しない残りの期間については刑務所に入る必要があります。

例えば、3年の懲役刑に対して1年の執行猶予が付された場合、実際に刑務所で過ごすのは2年間となります。

3-2 禁錮(禁固)刑での生活はつらい

禁錮刑が懲役刑に比べて軽い刑罰とされることはありますが、それでも刑務所での生活は決して容易ではありません。

禁錮刑を受けた場合、刑務所内での生活を余儀なくされますが、懲役刑と異なり、刑務作業の義務がありません。

そのため、日中は比較的自由な時間が多くなるかもしれませんが、実際には限られた空間での過ごし方に大きな制約があるのが事実です。

刑務所では、受刑者は厳格な規則に従った生活を送ることになります。

禁錮刑の場合でも、運動時間以外では自由に行動することができず、大部分の時間を収監されている室内で過ごすことになります。

そのため、受刑者はしばしば、何もすることがない状況に直面し、精神的な苦痛を感じることになります。

さらに、家族や仕事など外部の世界との関係が途絶えることによる心配や不安も、受刑者にとって大きな精神的負担となります。

このような状況下で、多くの受刑者は自ら希望して請願作業に従事し、刑務作業を行う選択をします。

実際に、禁錮刑を受けている受刑者の約80%が自発的に刑務作業に参加しており、「何もできない状態よりも、何か作業をする方がましだ」と感じる受刑者が多いことがその背景にあるのです。

このようなことから、禁錮刑と懲役刑の間には、実質的な差がほとんどないと言っても過言ではありません。

従って、禁錮刑の受刑生活は懲役刑とほぼ同じ程度につらいと考えるのが妥当でしょう。

3-3 『禁錮3年執行猶予5年』の意味について

『禁錮3年執行猶予5年』という判決は、判決を受けた人が実際には直ちに刑務所に収監されず、代わりに5年間の刑が執行されない期間を与えられることになります。

この期間中に新たに犯罪を犯さなければ、3年間の禁固刑は実際には執行されません。

言い換えれば、この判決は、有罪と認定されたにも関わらず、受刑者に再犯を犯さないことを条件に自由を与える、つまり執行猶予を適用する制度なのです。

この制度の目的は、比較的軽微な犯罪者や更生の見込みがある犯罪者に対し、刑務所に入る代わりに社会内での更生を促すことにあります。

執行猶予期間中には、犯罪を犯さないことが求められるだけでなく、場合によっては裁判所から特定の条件(例えば、薬物治療プログラムへの参加、定期的な裁判所への報告など)が課されることもあります。

したがって、『禁錮3年執行猶予5年』の判決は、受刑者に対して一定期間、犯罪から遠ざかることを義務付けることで、再犯のリスクを低減し、社会復帰の機会を提供することを意図しています。

この期間を無事に過ごせば、刑務所での服役は免れることになります。

3-4 禁錮(禁固)刑で執行猶予が付きやすいケース

執行猶予が適用されるのは、比較的軽微な犯罪に限られます。これは、重大な犯罪に対して執行猶予を付与することが公正ではないと考えられるためです。

具体的には、3年以下の懲役または禁固刑、または50万円以下の罰金刑に対してのみ執行猶予が適用されることになります。

軽度または中等度の犯罪に対して更生の機会を与える意図を持ちつつ、より重大な犯罪に対しては厳しい対応を取るためのものとなっています。

また、執行猶予期間は1年以上5年以内に設定されます。

実際に執行猶予を付ける際には、元の刑罰期間の1.5倍から2倍程度の猶予期間が設定されます。

執行猶予期間が実際の刑期より短く設定されることはほぼなく、受刑者に再犯をしないようにという社会復帰の機会を与えているのです。

3-5 禁錮(禁固)刑で執行猶予を得るために

禁錮刑で執行猶予を得るためには、裁判過程で裁判官に対して、被告人が直ちに刑務所に収監される必要がないと考えさせることが重要です。

犯罪の事実は変えられませんが、さまざまなアプローチを通じて執行猶予の可能性を高めることができます。

まず、被害者との間で示談交渉を進め、可能な限り被害の解決を図ります。

被害者との和解は、裁判官に対して責任を取ろうとする姿勢を示すことになり、有利に働くことがあります。

また、被告人自身が犯した罪に対して深く反省していることを示し、今後再犯の可能性がないことを明確にすることが求められます。

口頭での陳述や、場合によっては書面での反省文の提出などによって行われます。

個々の状況に応じた適切なアドバイスを受けるためには、専門家である弁護士に相談することが不可欠です。状況に応じた最善の対応策を模索し、執行猶予を得るための戦略を練ることが可能です。

4 交通事故での禁錮(禁固)刑・懲役刑はどのくらい?

4-1 交通事故で禁錮(禁固)刑になるケース

交通事故による死亡や負傷事故が発生した場合、それが過失によるものであれば「自動車運転過失致死傷罪」として処罰の対象となります。

この犯罪に対する刑罰として、最大で7年以下の懲役または禁固刑、あるいは100万円以下の罰金刑が科されます。

この罪による刑罰は、交通事故を引き起こした運転手の過失の程度や事故の結果、被害者への影響の大きさを考慮して決定されます。

4-2 交通事故で懲役刑は何年くらいになる?

交通事故に関連する犯罪には主に「自動車運転過失致死傷罪」と「危険運転致死傷罪」があり、それぞれに対する刑罰の厳格さは、事故の原因となった運転行為の危険性によって異なります。

自動車運転過失致死傷罪は、運転中の不注意や過失によって人身事故を引き起こした場合に適用されます。

この罪に対する刑罰は、上記でもお伝えした通り、最大で7年以下の懲役または禁固刑、あるいは100万円以下の罰金刑とされています。

一般的な注意義務違反や安全運転義務の怠慢が原因で事故が起こった場合に適用されるものです。

一方、危険運転致死傷罪は、飲酒運転や薬物使用、速度超過など、より重大な危険行為によって死亡または負傷事故を引き起こした場合に適用される罪です。

この罪に対する刑罰はより厳しく、最大で懲役15年以下または100万円以下の罰金とされています。

危険運転致死傷罪は、社会的にも大きな非難を受ける重大な違反行為が原因で事故が起こった場合に適用されます。

近年、自動車による人身事故に対しては、社会全体で厳罰化の傾向が強まっており、特に危険運転による事故には、より重い刑罰が求められるようになっています。

これは、交通安全意識の向上とともに、重大な違反行為に対する抑止効果を高めるための措置として捉えられます。

4-3 死亡事故で執行猶予がつく可能性は?

交通事故を起こし、その結果として人の死亡に至った場合でも、加害者が初犯である際には執行猶予が付与される可能性があります。

執行猶予は、事故の具体的な状況や加害者の事後の対応、反省の態度など、多くの要因を考慮して裁判所が決定します。

例えば、事故後に被害者側との積極的な示談交渉、誠意ある対応、深い反省の姿勢などが、有利な判決を受けるための重要な要素となります。

裁判官が被告人に対して社会内での更生の機会を与えることが適切であると判断するための根拠となるからです。

ただし、懲役や禁錮刑が選択された場合、事故の悪質性が比較的高いと見なされていることを意味するため、初犯といっても楽観的な見方は避けるべきです。

5 まとめ

この記事では、禁錮(禁固)刑と懲役刑の違いについて、その適用条件、生活の実態、執行猶予の可能性に至るまで、詳しく解説しました。

特に、交通事故が引き起こす刑事責任は、事故の重大性や運転者の過失の程度に応じて異なりますが、主に「自動車運転過失致死傷罪」と「危険運転致死傷罪」の二つの罪が中心となります。

「自動車運転過失致死傷罪」は比較的軽微な過失による事故に適用され、最大で7年以下の懲役または禁錮刑、または100万円以下の罰金が科されます。

「危険運転致死傷罪」はより重大な危険行為による事故に適用され、最大で懲役15年以下または100万円以下の罰金が科されます。

しかし、初犯である場合や事後の対応が適切であれば、執行猶予が付与される可能性があります。執行猶予を得るためには、被害者との示談、誠意ある反省の態度、そして早期の弁護士相談が重要です。

もし、交通事故による死亡事故で加害者となってしまった場合、刑事訴追を受ける可能性があるならば、できるだけ早期に交通事故を専門にした弁護士に相談することが重要です。

 

監修者

ベストロイヤーズ法律事務所

代表弁護士 大隅愛友

詳しくはこちら
交通事故について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。

交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。

全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。

地図・アクセス

千葉事務所

千葉駅徒歩3分

千葉市中央区新町1-17
JPR 千葉ビル12階
詳しく見る

ご予約
相続・交通事故に関するご相談については、まずはお気軽にご連絡ください。弁護士との相談日時を調整し、ご予約をお取り致します。

面談の際にご準備いただく書類がある場合には、合わせてご説明致します。

※お電話・メールで回答のみを求めるお問い合わせには応じておりません。