【自転車と歩行者の事故】警察への連絡は?流れや注意点を弁護士が解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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自動車同士の事故はもちろん、自転車と歩行者の事故でも警察への連絡はしなければなりません。
もし警察への報告義務を怠ると、とくに被害者はあとから取り返しのつかないことになる可能性があります。
本記事では、自転車と歩行者の事故が起きた際に警察へ連絡すべき理由や、注意点などについて歩行者=被害者の視点から解説していきます。
1 自転車と歩行者の事故でも警察へ連絡すべき理由
自転車は軽車両であるため、事故を起こしてしまった場合はケガ人の有無に関わらず警察への報告義務があります。
もし届出を怠ったら道路交通法違反となり、「3か月以下の懲役または5万円以下の罰金」となる可能性があります。
自転車同士はもちろん、自転車と歩行者の事故の場合も警察への届出をしなければなりません。
自転車事故で歩行者にケガをさせたとなれば、刑事上の責任も発生して逮捕される可能性もあります。
たとえば自転車の危険運転によって歩行者がケガをした場合、刑法209条過失傷害罪が適用され、「30万円以下の罰金または科料」となります。
また警察へ連絡することで交通事故証明書の発行や、実況見分調書の作成をしてもらえます。
1-1 交通事故証明を発行してもらえる
交通事故が発生したことを客観的に証明できるのが「交通事故証明書」です。
交通事故証明書は、警察から提供された事故に関する資料をもとに自動車安全運転センターが発行します。自動車事故だけでなく、自転車事故でも発行が可能な書類で、保険金を請求したり裁判を起こしたりする際に必要になります。
もし警察へ連絡をしなかった場合は、交通事故証明は当然発行されないため、あとから症状や損害がでた際に保険金を請求できなくなります。
【関連記事】交通事故証明書の取得方法!取得場所や申請方法、日数など弁護士が解説!
1-2 実況見分調書を作成してもらえる
人身事故が発生すると、警察が事故について捜査したことを実況見分調書にまとめます。実況見分調書には下記のような内容が記載されており、警察が作成する信頼性の高い書類です。
事故現場の状況(天候や路面の状態など)
事故発生時の状況(ブレーキをかけた地点や接触した地点等)
運転車両の状態(ブレーキの効きなど)
実況見分調書は示談や裁判、過失割合を決める際に証拠となりうる重要書類となります。
2 警察へ連絡したあとの流れ
事故にあったら現場から110番で警察へ連絡しましょう。頭を打っているといったケガが明らかな場合は119番通報も必要です。
基本は加害者側=自転車運転者が報告をしますが、被害者側=歩行者がしても構いません。警察へ連絡をしたあとの流れについて順に解説します。
2-1 人身事故の届出
警察から人身事故にするかどうか聞かれるので、人身事故扱いにしてもらうように診断書を提出しましょう。
詳しくは後述しますが、人身事故として処理してもらい、あとからスムーズに損害賠償を請求できるようにしておくことが大切です。
事故後はすみやかに病院受診をして診断書をもらいましょう。また人身事故にすることで、上述した実況見分調書や、後述する供述調書を作成してもらえます。
【関連記事】人身事故へ切り替えるべき6つの理由とは?切り替える手順を弁護士が解説
2-2 告訴
事故を起こした相手に対し「許せない!」と処罰感情が強いのであれば、過失傷害罪などで告訴できます。
告訴は警察署で手続きができ、告訴したい旨を伝えると告訴調書を作成してもらえます。ただし告訴したからといって必ず相手が起訴されるわけではありません。また6か月以内という期間が定められている点も注意しましょう。
2-3 実況見分
警察と事故現場で実況見分が行われます。
事故直後に警察が駆けつけた際に行われることもあれば、後日改めて日程調整して実施されることもあります。加害者と一緒になることもあれば、別々のこともあります。
事故が起きた経緯や状況を説明していきますが、警察に尋ねられたことについては記憶のとおりに話すようにしましょう。実況見分の結果にもとづいて実況見分調書が作成されます。
2-4 事情聴取
警察は実況見分だけではなく、加害者・被害者それぞれのいい分を「供述調書」にまとめていきます。
事情聴取も記憶のみにもとづいて事実のみを話すようにしましょう。事情聴取では「自分の落ち度」や「相手の落ち度だと思うこと」などについて尋ねられることもあります。
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3 自転車と歩行者の事故で注意すべきこと
事故にあった際、注意しておくべきことがいくつかあります。取り返しがつかないことにならないよう、下記の点をおさえておきましょう。
3-1 その場で示談をしない
「◯万円で許してほしい。」など相手から交渉があっても、事故現場で示談をしてはいけません。
示談は治療費など損害が確定してから行わなければ、大きく損をする可能性が高いです。一度示談をしてしまうと、あとから撤回したり症状など状況がわかったことによる交渉ができなくなったりします。すでに示談をしてしまい、困った状況になった場合は弁護士に相談することをおすすめします。
【関連記事】交通事故その場で示談してはいけない理由|事故後の対処法も弁護士が解説
3-2 人身事故扱いにする
加害者側に治療費や慰謝料を請求していくためには人身事故として処理してもらわなければなりません。
物損事故として届けが出されると、「物損事故報告書」という簡易的な書類しか作成されません。
損害賠償を請求できなくなる可能性があったり、過失割合で争うことになった際に不利になったりするため、警察に診断書を提出して確実に人身事故となるようにしましょう。
3-3 連絡先を確認しておく
事故の相手の連絡先を必ず控えておくようにしましょう。必要な情報は、氏名・住所・電話番号です。
免許証を写真撮影させてもらう方法がスムーズでおすすめです。連絡先がわからないと、相手が特定できないため最悪のケースでは損害賠償の請求ができなくなります。
4 警察への届出は後日でもOK
事故当日に警察への届出をしていなかった場合でも、後日必ず連絡するようにしましょう。
報告義務違反で罰則が科される可能性はゼロではありませんが、ほとんどのケースでは受け付けてもらえます。
もちろんなるべく早く行うに越したことはありません。早期であれば交通事故証明書も発行してもらえる可能性が高いです。
事故発生日から日にちが経過するほど、事故現場の状況が変わったり、事故と症状の因果関係が証明しづらくなったりし、損害賠償の請求にも影響する可能性があります。
【関連記事】交通事故証明書は後日でも受け取れる?申請方法や注意点について解説!
5 弁護士に依頼するメリット
自転車事故はいつどこで起きるかわかりません。困った際は弁護士に依頼するのも手の一つです。示談の代理を行ってくれたり、適正な過失割合をだしてもらったりできます。
また保険会社と交渉して適正額での損害賠償請求を行うことが可能です。
【関連記事】交通事故で保険会社が嫌がること6選|保険会社と対等にやり取りを行うためのポイント
自転車と歩行者の事故は自動車の事故とはまた異なる注意点やポイントもあるため、後遺障害認定や損害賠償請求を検討していくうえでは弁護士が味方になってくれると心強いです。
【関連記事】交通事故で弁護士に依頼する9つのメリット|デメリットや慰謝料増額も徹
6 まとめ
自転車と歩行者の事故でも警察への連絡は義務であり、怠ると道路交通法違反となり罰則があります。
しかしそれ以上に、交通事故証明書が発行されない、実況見分調書が作成してもらえないなど被害者にとっては非常にデメリットが大きいです。
もし事故の被害者になってしまったらその場で示談をせずに、必ず病院受診をして人身事故扱いにしてもらいましょう。
【関連記事】【交通事故】痛くないのに通院・検査してよいの?不正請求を疑われない注意点
弁護士に依頼することで、適正額の損害賠償を請求できたり、告訴する際もサポートをしてもらえたりするため、事故被害者になった際は弁護士に一度相談してみましょう。
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
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