相続財産の調査とは?相続不動産の調査を弁護士が徹底解説!

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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相続財産の調査とは?不動産についても弁護士が徹底解説!

遺言がある場合は、通常目録に記載されている財産を遺言に沿って分配すれば問題ありません。

しかし、遺言がない場合は故人の財産がどれほどあるのか見当がつかず困っている人もいるでしょう。

とくに、不動産についてはどこにどのような不動産を所有していたかを把握している相続人がいないケースも多いです。

本記事では、不動産を中心に相続財産の調査方法について解説していきます。

【関連記事】亡くなった人の財産を調べる方法とは?相続財産調査の手順や費用を解説

1 相続財産を調査する理由

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相続が発生したら最初に行うべきことが財産調査です。

財産調査が確実に行われるかどうかは、その後の相続に大きく影響します。

どのような理由で財産調査が重要なのか3つ解説します。

1-1 遺産分割協議をスムーズに行うため

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相続が発生したら、誰がどの財産をどれほど受け取るかを相続人同士で決める遺産分割協議が行われます。

この遺産分割協議を行う前提として、具体的にどのような財産があるかを確認しておかなければなりません。

あわせて財産内容を漏れなく確認するために財産調査を行います。

もし、遺産分割協議のあとに新たに財産が発見された場合は、協議のやり直しやトラブルのもとになります。

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1-2 財産を隠されている可能性があるため

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相続人同士が不仲で、故人の財産を管理している相手がいるような場合は財産内容を開示してくれない可能性があります。

たとえば、不仲の兄弟で兄と同居していた父が他界した場合、兄が弟に対してどういった財産があるかを開示しないようなケースも考えられます。

父と兄とは離れて暮らしており、疎遠になっていた場合、弟が兄と同様に父の財産を把握するのは難しいでしょう。

1-3 相続放棄の可能性もある

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相続財産は預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借入金や未払い金などマイナスの財産も存在する可能性もあります。

プラスよりもマイナスが多い場合は相続放棄も検討していかなければなりません。

そのため、財産の全体が見えない際には必ず財産調査をして、相続するか相続放棄するのかを判断します。

2 相続財産調査の方法・費用・期間

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相続財産の調査は、遺産の手がかりを探していき、各機関にかけよって財産の額を把握していきます。

方法としては、自分で行うか、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するかです。

費用の目安は、自分で行うか専門家に依頼するかで大きく変わりますが、自分で行う場合は書類の発行料や照会手数料などで数千円〜数万円でしょう。

調査機関の目安としては1か月〜2か月です。

3 不動産の調査方法

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不動産の調査方法は、故人の自宅や市町村役場法務局不動産会社国税庁のホームページ等あたって探していきます。それぞれの場所でどのような書類を集めるか解説します。

3-1 故人の自宅を調べる

故人の自宅には、役所などから届いている固定資産税などの税金関係の書類を見つけていきます。具体的には下記です。

・固定資産税の納税通知書

・権利証

・登記識別情報

上記のような書類から登記情報を集め、法務局で不動産の登記簿謄本を取得できます。

①固定資産税の納税通知書 

固定資産税の納税通知書は、毎年役所から4月頃に通知されているため自宅にある可能性が高いです。

課税されている不動産一覧が記載されているため、登記されていない不動産も含めて故人が所有していた不動産が一目でわかります。

ただし、非課税の不動産や、共有名義になっている不動産は記載されていないため注意が必要です。

②権利証(登記済証)

「権利証」には、故人名義の不動産が記載されています。

「権利証」は平成17年に改正された旧不動産登記法の時代に法務局より登記印が押された書類であり、登記されている不動産なら非課税のものも確認できます。

不動産を購入したり譲り受けたりなど登記した際に取得する書類であったため、故人が自宅で保管していた可能性が高いです。

ただし、ひとつの土地を複数に分ける「分筆」や、複数の土地を合わせてひとつにする「合筆」があった場合は、現在の番地と異なる記載となっていることもあるため注意が必要です。

また、売却されているにも関わらず権利証のみが残っているケースもあります。そのため、権利証のみで不動産を故人が所有していたかどうか確実な判断はできません。

③登記識別情報通知書

平成17年の法改正後はコンピューターによって登記情報が管理されるようになり、「権利書」の代わりに「登記簿識別情報通知」が発行される仕組みになりました。

役割としては権利書と同じです。

登記識別情報通知書には、12ケタの英数字からなるパスワードが記載されています。

3-2 役所で「名寄帳」の申請

故人の自宅で固定資産税の納税通知書、権利書が見つけられなかったとしても、市町村役場で「名寄帳」を申請して調べることが可能です(「名寄帳」は固定資産台帳とも呼ばれます)。

「名寄帳」は、故人名義の不動産が一覧になったものです。

相続人であれば、役所で発行してもらえます。

ただし、役所の管轄地域にある不動産しか調査ができないため、どの地域に不動産を所有している可能性があるか予め目星をつけておく必要があります。他の市区町村の不動産についてはわかりません。

また、非課税の不動産は記載されていません。

3-3 法務局で調べる

法務局では登記簿謄本や公図を取得して不動産の財産調査を行っていきます。登記簿謄本にて故人の名義を確認できれば、不動産の財産調査は終了です。

①登記簿謄本と共同担保目録

自宅に保管してある不動産関係の書類や名寄帳を確認することで、地番や家屋番号など登記簿謄本の取得に必要な情報を集めたら、管轄する法務局で登記簿謄本を取得しましょう。

登記簿謄本を見た際に、故人が所有している(故人の名義になっている)不動産かどうかを確認できます。

インターネットからでも「登記情報提供サービス」を活用すれば不動産登記情報を集めることも可能です。

また、登記簿謄本のなかに記載される共同担保目録を確認することで、その他の不動産も確認できます。

共同担保目録は、登記簿謄本の不動産を担保にした際に一緒に担保として設定されている不動産のリストです。

②公図

公図は、地図に準じた図面になった書類で、土地の所在番地や形状を表しています。

公図をとり、対象不動産に隣接している道路などの登記簿謄本を確認しましょう。

隣接している道路などの持ち分がある可能性があり、持ち分があった場合には相続の対象になり遺産分割協議にかけられます。

4 不動産の評価方法

不動産を調査したのち、遺産分割協議を行うためには調査した不動産を評価してもらい、価格を決める必要があります。

遺産分割協議における不動産の評価については、原則相続人全員の同意で自由に設定できます。

たとえば、預貯金の額と不動産の額を同価値とみなして、一方が預貯金を受け取り、もう一方が不動産を受け取るなどが可能です。

しかし、実際には客観的な視点から参考価格をだすことが多いでしょう。相続人で同意する以外の評価方法としては、「鑑定評価」が最も厳密です。

もっとも、鑑定評価は不動産鑑定士への高額な報酬が発生するため、下記のような簡易な方法で調査することも可能です。

  • 時価評価(実勢価格)
  • 固定資産評価
  • 路線価

それぞれの評価方法について解説します。

4-1 時価評価(実勢価格)

時価評価実勢価格)は、不動産業者に査定を依頼して算出した評価額です。

裁判や法律の場面では時価評価(実勢評価)が利用されます。この後解説する「固定資産評価」や「路線価」と比較して高額になり、実際に売買で取引される価格です。実際にその不動産を売却した際の価格ともいえます。時価評価(実勢価格)であれば、預貯金や株などの金融資産との比較も可能です。ただし、不動産業者に査定してもらうには不動産の売却が前提となるため、単に遺産分割協議のためだけに査定を依頼するのは注意が必要です。

4-2 固定資産評価

固定資産税を算出する基準となる金額です。

上述した「固定資産税の納税通知書」の「評価額」の欄に記載されています。

建物に関する相続税申告上の財産評価についてはこの「固定資産評価」が使われます。固定資産評価は不動産売買で取引される価格よりも低いことが多いです。

一般的には、時価評価(実勢価格)の70%ほどになっているケースが多いです。不動産同士の価値を比較する場合は参考になりますが、不動産を預貯金などの現金と比較する場合は注意が必要です。

4-3 路線価

路線価は、国税庁が毎年定めるもので、道路に面した1㎡あたりの土地価格を指します。

路線価をもとに、不動産価格の決定が可能です。

たとえば、路線価20万円と定められている道路1つに面している400㎡の宅地は、単純計算で8000万円です(正確には奥行きなど他の要素も考慮されます)。

路線価は定められていない地域もあり、「倍率地域」と呼ばれます。倍率地域については、国税庁の「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」の倍率を使って評価額を下記のように算出します。

【固定資産税評価額×倍率】

路線価は固定資産評価よりも、実際に流通している価格に近くなります。なお、土地に関する相続税申告上の評価は路線価を使います。

5 弁護士に依頼するメリット

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財産調査を自分で行うのと費用は安くおさえられますが、手がかりからしらみつぶしに調査をしなければならず、時間と労力がかかります。

はじめてで慣れない手続きが重なり、精神的な負担も大きいです。

しかし、弁護士などの専門家に財産調査を依頼することで、負担を軽減しながらより精度の高い調査が実現できます。

弁護士であれば、弁護士照会という権限があり、受けた依頼に応じて公的書類などの開示請求が可能なので安心して任せられます。

6 まとめ

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不動産の財産調査は、自宅にある「固定資産税の納税通知書」や「権利証」などの書類を探すところからはじまり、その後は役所や法務局で「名寄帳」と「登記簿謄本」を取得していく流れとなります。

相続財産の調査は自分で行うこともできますが、地道な確認作業と多くの手続きが必要なため、家族を失った悲しみのなかでは精神的な負担が非常にかかります。

弁護士などの専門家に依頼すると、確実かつスムーズな調査の進行と相続に関する適切な判断ができるようになるため、遺族は安心して遺産分割協議に望むことが可能です。

監修者

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代表弁護士 大隅愛友

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