野生動物と事故での対処法とは|やるべきことや使える保険を詳しく解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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野生動物と事故での対処法とは|やるべきことや使える保険を詳しく解説

野生動物との事故は、どう対処すればいいの?」

「野生動物と事故で、請求できる保険はある?」

などとお悩みではありませんか。

道路を走行中、突然野生動物が飛び出してきて事故になったらと考えるだけでぞっとしますよね。

しかし野生動物と事故になっても、焦らずに落ち着いて対処することが大切です。

この記事では、野生動物と事故での対処法や使える保険を詳しく解説します。

野生動物との事故を防ぐ対策も紹介しますので、最後までお読みください。

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1 野生動物(イノシシ、鹿、たぬき、野良犬・猫など)との交通事故をロードキルという

野生動物との事故(ロードキル).jpg

ロードキルとは、道路上で野生動物が車両に轢かれたり衝突したりして死亡することです。

広義では、野生動物が側溝で溺れて死ぬなど道路に起因する死亡事故や、生死にかかわらず車両と衝突する事故そのものを呼ぶこともあります。

野生動物との交通事故(ロードキル)で、動物が死んでしまっても故意でなければ罪に問われません

しかしロードキルを起こしてしまったときには、適切な対処をすることが必要です。

2 野生動物と事故での対処法とは

野生動物との事故での対処法.jpg

野生動物と事故を起こした際の対処法には、以下の5つがあります。

  1. 安全な場所に車を停める
  2. 警察に連絡する
  3. 道路緊急ダイヤルに連絡する
  4. 車で轢いた野生動物への対処
  5. 保険会社に連絡する

順に解説していきましょう。

2-1 安全な場所に車を停める

安全な場所に車を停めるjpg

普通の交通事故と同じように、安全を確保して車を停車させます。とくに高速道路では、急停車や急ハンドルは大変危険です。

動物を轢いたことでパニックにならないように落ち着いて、自分や周りの安全に気を配ることが大切です。

【関連記事】高速道路で事故に巻き込まれた!事故後の対処法を弁護士が解説

ドライバーや同乗者が負傷していれば、まず負傷者の救護をしてから救急車を呼ぶなどの措置をとりましょう。

2-2 警察に連絡する

警察へ電話.jpg

安全な場所に停車した後、警察に連絡しましょう。

ロードキルも交通事故ですから、事故状況を報告する義務があります。

警察に伝えることは以下の通りです。

  1. 事故が発生した日時・場所
  2. 負傷者の有無および負傷の程度
  3. 車両損傷の有無および損傷の程度
  4. 事故の状況(ガードレールや電柱の損傷、他の車を巻き込んでいないか)など

警察に通報しないと、たとえ負傷者がいなくても「報告義務違反」になり、「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」に科せられます。

【関連記事】事故報告義務違反は後日連絡してもダメ?後日でも必ず警察へ連絡を!

また保険金請求に必要な事故報告書・交通事故証明書は、警察に届け出をしないと発行されません。

【関連記事】交通事故証明書は後日でも受け取れる?申請方法や注意点について解説!

事故後は、速やかに警察に通報しましょう。

2-3 道路緊急ダイヤルに連絡する

道路緊急ダイヤル・#9910.jpg

次に道路緊急ダイヤルに連絡しましょう。

道路緊急ダイヤルとは、道路の異常を発見したときに通報するための緊急ダイヤルです。

  • 全国共通【#9910】
  • 24時間無料で通報できる

通報を受けると、道路管理者がすぐに現場へ駆けつけて道路の復旧に当たってくれます。

(注)道路上で死亡している野生動物を見つけたときにも、道路の安全確保のため道路緊急ダイヤルに通報しましょう。

2-4 車で轢いた野生動物はどうすればいい?

車で轢いた野生動物はどうすればよい?.jpg

車で轢いた野生動物は、どう対処すればいいのかわかりませんよね。

野生動物が生きているときと死んでいるときに分けて解説します。

①車で轢いた野生動物が生きているとき

車で轢いた野生動物が小型で生きているときは、保護して近くの動物病院に運ぶ選択肢もあります。

衛生面や安全面を配慮して、素手ではなくビニール手袋などで触り、段ボールなどに入れて運ぶことが重要です。

また、動物が暴れていたり大型で危険な動物だったりする場合は、近寄らず動物病院や道路緊急ダイヤルで相談しましょう。

治療費は基本的にはドライバーの負担になります。

しかし野生動物の治療費は無料にしている動物病院もあるので、連絡時に確認しておくと安心です。

②車で轢いた野生動物が死んでいるとき

道路に動物の死骸を放置しておけば、後続車にとっても大変危険です。道路緊急ダイヤルに連絡すれば、動物の死骸を処理してくれます。

担当者が到着するまでの間に、可能なら死骸を道路わきに移動しておきましょう。

この場合も安全面、衛生面からマスクをして素手で触らずにビニール手袋などを使って、交通状況に注意しながら移動することが大切です。

感染症の恐れもあるので対処法がわからなければむやみに触らず、警察や道路緊急ダイヤルの通報時に指示を仰ぎましょう。

2-5 保険会社に連絡する

保険会社へ電話.jpg

野生動物との事故も交通事故のひとつです。自動車保険が使える場合もあるので、保険会社に連絡をしておきましょう。

【保険会社に伝えること】

  • 事故の場所と状況
  • 契約している自動車保険の証券番号
  • 運転していた人の氏名、生年月日、連絡先電話番号、免許証番号、契約者との関係
  • 事故が発生した車両のナンバープレート番号
  • ドライバーや同乗者のけがの状況および車両の損傷状況 など

3 野生動物との事故で使える保険

野生動物との事故で使える保険.jpg

野生動物との事故で使える保険は、おもに以下の2つです。

  1. 車両が損傷したときの修理代
  2. 野生動物との事故でけがをしたとき

順に解説していきましょう。

3-1 車両が損傷したときの修理代

車両保険.jpg

野生動物との事故で車両が損傷したときの修理代は、任意保険のなかの車両保険で請求できます。

しかし車両保険は【エコノミー型】と【一般型】にわかれています。

エコノミー型は、保険料が安く制限が多い保険です。おもに車との事故で修理代が請求できるものです。

野生動物との事故で車両が損傷した場合に補償を受けるには、一般型に加入しておく必要があります。

(注)保険会社によって細かな違いがありますので、加入している保険会社に確認が必要です。

3-2 野生動物との事故でけがをしたとき

人身傷害保険・搭乗者保険.jpg

野生動物との事故でドライバーや同乗者がけがをしたときは、任意保険の以下の保険で補償されます。

  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険
  • 自損事故傷害特約

野生動物との事故の場合、法律上損害賠償責任を負う相手がいません。そのため自損事故扱いになり、強制保険の自賠責保険では請求できません。

任意保険に加入しておく必要があるのです。

4 野生動物との交通事故(ロードキル)を防ぐ対策

ハイビーム.jpg

野生動物との交通事故を防ぐために、各自治体ではさまざまな対策がとられています。

【例】

  • 野生動物が道路を横断しなくてすむように、吊り橋状などで動物専用の通り道を作る
  • 野生動物が侵入しないように、道路への動物侵入防止柵を作る
  • センサーで動物を感知するとランプで知らせる、動物感知システムを作動する など

またドライバー自身が、野生動物との交通事故(ロードキル)を防ぐ対策には以下の3つがあります。

  1. ライトのハイビームを使用する
  2. 道路標識を確認し野生動物に注意して走行する
  3. 自治体の野生動物に関するお知らせを確認する

順に解説しましょう。

4-1 ライトのハイビームを使用する

夜間や早朝は、ライトをハイビーム(上向き)にすると遠方で野生動物の目が光り、見つけやすくなります。対向車がいないなど、状況に応じて積極的にハイビームを使うようにしましょう。

またハイビームとロービームをこまめに切り替えて走行することで、光をチカチカさせ動物に車の存在を知らせることも可能です。

夜間に山道などを走行する際は、ライトに気を配ったうえで、スピードを落として注意深く運転しましょう。

4-2 道路標識を確認し野生動物に注意して運転する

道路の管理者(国が管理する国道では国)が、ひし形で黄色の動物注意の標識を設置しています。

標識は注意すべき動物の絵が描かれているものです。地域特有の希少種が高い絵柄のものもありますよ。

動物注意の標識は、動物が飛び出す注意が必要な地点の、手前30~200mの地点左側の道端に設置されています。

「動物注意」の道路標識を見つけたら、スピードを落とし野生動物に注意して運転しましょう。

4-3 自治体の野生動物に関するお知らせを確認する

野生動物の多い場所へ出かける前には、自治体のお知らせを確認するのがおすすめです。

ロードキルが多い場所が、マップに表示されている自治体もあります。

事故の多い道路を通行する際には、速度を落として注意深く運転しましょう。

5 野生動物との事故は落ち着いて対応を!

野生動物との交通事故|大隅愛友弁護士の解説.png

この記事では、野生動物と事故を起こした際の対処法や、請求できる保険などの解説をしました。

野生動物との事故は、轢かれた動物がかわいそうというだけではなく、轢いたドライバーにとっても心に傷を負うような不幸な出来事です。

事故の状況によっては、車両が損傷したりドライバーや同乗者がけがをしたりすることもあります。後遺障害が残ってしまうような大けがをしたり、死亡したりすることもあるのです。

野生動物との事故でお困りの方にとって、本記事がお役に立てば幸いです。

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