脱輪で警察を呼ばないとどうなる?正しい対処法と法的責任の有無を解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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脱輪で警察を呼ばないとどうなる?正しい対処法と法的責任の有無を解説

起こると焦ってしまう「脱輪」ですが実は、ロードサービス業者がよく出動するトラブルのひとつです。

脱輪してしまったときには焦らず、今すべきことが何かを確認し正しい手順で対処すれば、大きな問題にはなりません。

では、脱輪した場合には警察を呼ばなければならないでしょうか?

結論、どのような場合でも脱輪したと判断したなら、警察に報告しておくべきです。

人が負傷した場合や、他者の所有物に損害を与えてしまった場合はもちろん、自分の車だけがダメージを負ったという場合にも、速やかに警察に報告しなければなりません。

この記事では、脱輪で警察を呼ばなくてはならない理由を詳しく解説します。

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1 脱輪とはどういう状態?定義を解説

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脱輪」と呼ばれる状態は、おもに2つ存在します。

①車体からタイヤが外れている

②道路を踏み外し動けない

おもに「脱輪」というと2つ目の例を意味することが多く、側溝にタイヤが落ちてしまった場合や、雪や泥によりスリップして動けなくなった場合も「脱輪」と言われることがあります。

1-1 脱輪した場合の正しい対処法とは?

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脱輪も事故と同一と考え、事故が起きた場合と同様の対処をする必要があります。

流れは下記の通りです。

①負傷者の救助

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もし負傷者がいる場合には、まず救急車に連絡をしましょう。

②二次事故の防止

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③警察に連絡

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それから二次事故の発生防止や、警察に連絡と、必要な対応をします。

1-2 【注意】「自損事故」でも警察への届出義務あり

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原則、自分の車にしか損傷がない「自損事故」でも警察への届出義務があります。

【関連記事】自損事故は警察を呼ばなくてもよい?対象保険も弁護士が解説

負傷者の救助が落ち着き次第、警察にもすみやかに連絡し、状況を報告しましょう。

脱輪により人や物に損害が出ていないのであれば、脱出する手段も考える必要があります。

任意の保険会社に入っていれば、付帯しているロードサービスを呼んで助けてもらえる可能性があるので、冷静に行動してください。

周囲の人に助けてもらうほか、自力で脱出できることもありますが、さらなるケガや損害が発生すると危険です。

状況が悪化してしまえば、車の修理代が高くなるほか、周囲に損傷を与えれば「物損事故」として賠償責任が発生することもあります。

事故の状況を大きくしないためにも、プロに救助されるまで大人しく待つのがおすすめです。

2 脱輪した場合の法的責任とは?免許の点数に影響はある?

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脱輪した際、ドライバーが気になる「法的責任」については、人が関わるかどうかで異なります

免許に違反点数がつくのは「人身事故」の場合であり、「物損事故」であれば点数加点もなくゴールド免許もそのままです。

具体的には、負傷者が発生した場合には「人身事故」扱いになるため、法的責任が問われ、違反点数がつく可能性が高いです。

一方で人が関わらないのであれば基本的には「物損事故」扱いなので、違反点数の心配は不要です。

しかし、人を傷つけていないからといって警察へしかるべき報告をしなかった場合、当て逃げなどの刑罰の対象となる可能性があります。

脱輪し警察を呼ばなかった場合のリスクについて、詳しくは下記でご紹介します。

3 脱輪したら警察へ連絡は必要?必要です

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脱輪したらまずは、警察に連絡をしましょう。

「これって連絡しないとまずい?」と思ったのなら、ひとまず警察に連絡しておくことが、後に自分を守るかもしれません。

具体的には、下記のような理由があります。

①当て逃げの罪に問われる可能性がある

②保険が適用できない

③警察からの信用を損ねる

それぞれについて、詳しく解説します。

①当て逃げの罪に問われる可能性がある

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物損事故は原則、行政処分や刑事処分の対象にはなりません。

しかし、物損があった場合にもしかるべき届出をしなければ、「当て逃げ」とされる可能性があります。

当て逃げとみなされた場合には、下記のような違反点数が付きます。

・当て逃げ違反:5点

・安全運転義務違反:2点

また、当て逃げは重い刑事罰の対象です。

懲役1年以下あるいは10万円以下の罰金がかせられるため、物に損傷が見られたのであれば警察へ連絡しておくのが自衛になるでしょう。

【関連記事】当て逃げはすぐに警察へ。法的な責任と賠償金を弁護士が解説!

②保険が適用できない

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(出典:自動車安全運転センター)

人が関わる場合・関わらない場合いずれにしても、警察を通さなければ保険会社が動いてくれません。

保険金などの支払いを請求するためには、事故発生の事実を証明する「交通事故証明書」が必要です。

交通事故証明書は、警察が所轄している「自動車安全運転センター」が発行します。

・事故を起こした当事者の氏名や住所

・事故の発生日時

・事故の発生場所

・事故を起こした車両番号

・事故の内容

上記が記載された交通事故証明書をもとに、保険会社が保険金を払ってくれるという仕組みです。

なお、任意の「車両保険」に入っていれば、自分の車に損傷があった「自損事故」の場合にも、修理代が補償される可能性があります。

✔️「物損事故」保険未加入でも警察に連絡しよう

すべての自動車の所有者が加入している「自賠責保険」は、人の関わる「人身事故」でない場合、保険の対象外となります。

つまりもし物損があった場合、任意加入保険がなければ自腹で損害賠償金を払わなければなりません。

「できればバレずに損害賠償を逃れたい」という気持ちが出てくるかもしれませんが、警察への報告は必須です。

上記でお伝えしたとおり、物損をして届出をしなかった場合には、当て逃げに該当し刑罰の対象になる可能性があります。

事故を起こす前に、物損事故が対象の保険に加入しておくことが大切でしょう。

③警察からの信用を損ねる

その場で届出を出さず後日にしてしまった場合、「なぜすぐに出さなかったの?」「出せない理由があったんじゃないの?」と、説教されるケースがあります。

たとえば、「飲酒運転をしていたんじゃないか」「居眠り運転がバレたくなかったんじゃないか」など、あらぬ疑いをかけられてしまったという人も。

多いケースとしては、自損事故で自分の車にだけ損害があり修理に出した結果、修理費用が想像以上に高くなり車両保険を利用することにした、などの例です。

また、同乗者がむち打ちになっていることに後々気づき、通院費用を保険で払いたいとなったケースでは、人身事故として警察に認めてもらわなければなりません。

車両保険によっては警察からの「交通事故証明書」を不要としていることもありますが、万が一必要になったときのことを考えて、すみやかに警察へ報告しておくことをおすすめします。

車でなんらかのトラブルがあった場合には、ひとまず警察に報告をしておくべきだと考えるようにしましょう。

4 脱輪で警察を呼ばなかったらどうなる?後日でも連絡すべき理由

「人身事故」や「物損事故」など事故の分類にかかわらず、あらゆる事故があった際、警察への通報は義務です。

【関連記事】物損事故で警察を呼ばなかったら?リスクや知っておくべきポイントを弁護士が解説!

たとえ他者が関わらない「自損事故」であっても、報告をしないと道路交通法第72条違反隣、交通事故で警察を呼ばなかった場合と同様に罪になります。

この場合、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金がかせられるでしょう。

自ら報告をすれば処罰の対象となることもなく、物損事故や自損事故であれば免許証への影響はありません。

後日であっても、必ず警察に自ら報告することが重要です。

4-1 脱輪で建造物を損傷した!すぐ警察に報告しましょう

「道路交通法第116条」では、ドライバーの不注意により他人の建造物を損壊した場合、6ヶ月以下の禁錮あるいは10万円以下の罰金に処するむねが記されています。

人を巻き込んでいない場合には「物損事故」扱いなので原則、刑事処分や行政処分の心配はありません。

しかし、家屋など建造物を物損してしまった場合には、刑事処分や行政処分の対象となることがあります。

なお、道路や道路に設置されたガードレール、標識などは建造物とはみなされませんが、「民事責任」として損害賠償責任が課せられる可能性があります。

いずれにしても、何かしらを損傷した場合には警察へ報告しておかなければ、後々重い罪に発展することがあります。迷ったら報告しておいて、損はありません。

5 負傷者がいる!被害者は警察に「人身事故」を認めてもらおう

自分もしくは相手方に負傷者がいる場合、被害者はかならず警察に「人身事故」として認めてもらうよう努めましょう。

なぜなら、人身事故ではなく「物損事故」とされてしまうと、被害者は下記のようなリスクを負うからです。

・保険会社からじゅうぶんな治療費を払われない

・後遺障害慰謝料が請求できない

・休業損害の支払いを受けられない

物損事故になると「自賠責保険」が適用できないため、保険会社としては人身事故として認められるよう動く傾向があります。

しかし反対に警察は人身事故として認める場合、刑事事件として立件する手間がかかるため、「民事不介入です」と言い訳をつけ物損事故として片付けようとすることが多いです。

人身事故と認められない場合、被害者は治療費や入院費などが自己負担になってしまいます。

5-1 脱輪で「物損事故」から「人身事故」になることもある

なお人身事故になると、ドライバーは免許の違反点が加算される対象となることもあります。

警察側は「当事者間で話し合って決めてください」という立場でいるため、加害者と被害者がもめることも多いです。

当事者間で話がついた場合には、物損事故を人身事故に後々切り替える、というケースも珍しくはありません。

【関連記事】人身事故へ切り替えるべき6つの理由とは?切り替える手順を弁護士が解説

6 【まとめ】脱輪したらすぐ警察に連絡しよう

脱輪した際には、一般的に「事故」と考えられるケースと同様だと考え行動しましょう。

まずは負傷者の救助や、後続車などによる事故の危険性を防止することにつとめ、それから警察に報告します。

「自分の車に少し傷がついただけだから」とあまく考えるのはNGで、念のため警察に報告しておく必要があります。

警察への報告が不要であることがわかった場合には問題ありませんが、本来報告が必要なのにしなかったことが発覚した場合には、思わぬ重い罪に発展する可能性があります。

「大袈裟な話にしたくない」という気持ちはおさえて、警察への報告はすみやかにおこなってください。

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