逆走事故の過失割合をケース別に紹介!加害者・被害者に発生する慰謝料とは?

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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逆走事故の過失割合をケース別に紹介!加害者・被害者に発生する慰謝料とは?

大きな事故につながりうる「逆走」。

明らかな道路交通法違反ですが、実は加害者だけでなく、被害者にも慰謝料が発生するケースもあります。

どのような道を走っていたのか、被害者が注意していれば防げる事故だったのかなど…。

加害者と被害者それぞれの過失割合は状況にとって判断されるため、被害者だからと言って慰謝料が発生しないとは限りません。

この記事では、逆走事故が起きた場合の過失割合を、ケース別に詳しく紹介します。

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1 逆走事故とは?交通ルールを確認

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道路交通法により、原則「左側通行」が定められており、「逆走」とは規則違反の方向へ走ることです。

道路交通法に従って走る車に逆走車が対抗してくることで衝突し、大きな事故へと発展してしまうケースも多くかなり危険です。

特に、高速道路での逆走事故が多く、インターチェンジ(IC)やジャンクション(JCT)は逆走が発生しやすいことがわかっています。

【関連記事】高速道路で事故に巻き込まれた!事故後の対処法を弁護士が解説

逆走した運転手のほとんどが65歳以上ですが、判断や認識ミスは誰にでも起こりうることなので、自分を過信しすぎないことが大切でしょう。

1-1 逆走事故が起こりやすいケースとは?

逆走事故を起こすほとんどのドライバーが65歳以上であることから、高齢者の判断能力の低下や、注意力の散漫が原因となることが多いです。

具体的には、下記のような状況に気づいていない、あるいは状況判断を間違ってしまう、という傾向があります。

▼高速道路の場合

・行き先を間違えたと気づき本線の合流地点でUターンしてしまう

・本線やインターチェンジで出口を間違いUターンしてしまう

・間違えて出口の料金所へ入ってしまう

サービスエリアやパーキングエリアでひと休みし、気がゆるんだタイミングで出口を間違えて逆走してしまうというケースも多いです。

▼交差点の場合

・一方通行であることに気づかずに侵入してしまう

・行き先を間違えたことに気づき対抗道路に合流しようとしてしまう

・逆走していることに気づき焦って方向転換しようとしてしまう

交差点では標識に従って通行する必要がありますが、気づかぬまま逆走してしまい衝突するケース以外に、逆走に気づいたことで事故が引き起こることもあります。

逆走するドライバーは高齢者が多く、運転能力自体も落ちている可能性が高いです。

逆走車を見つけた際には周りのドライバーも細心の注意を払い、予期せぬ動きに対応できるよう努めましょう。

2 逆走事故で被害者側にも過失割合が付く理由とは?

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「逆走事故」と聞けば、「逆走した側が完全に悪い」という印象を与えがちです。

しかし、「被害者側にも落ち度がある」と判断されることもあります。

たとえば、下記のような懸念点がある場合には、被害者側にも過失があると判断されるでしょう。

・見通しが良く危険回避のために行動できた

・道路の状況を確認していなかった

・一方通行の交通規制に従いスピードを出していた

車を運転する以上、交通規制に従わなければなりません。

しかし同時に安全確認をしながら走行しなければならず、おこたっていたと判断されれば過失割合として認められることもあります。

2-1 逆走事故で過失割合が修正される要素とは?

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被害者側にスピード違反飲酒運転があった場合には当然、被害者側の過失割合も大きくなると考えられます。

▼重過失

・無免許運転

・居眠り運転

・酒酔い運転

・一般道での時速30キロ以上の速度違反

▼その他過失

・酒気帯び運転

・ハンドルやブレーキの著しいミス

・前方不注意など確認ミス

・一般道でのお時速15キロ以上30キロ未満の速度違反

上記のような過失があった場合、たとえ被害者でも20%前後の過失割合の加点になることが多いです。

3 逆走事故が起きた!過失割合の考え方を解説

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逆走事故が起きた場合、過失割合は状況によって変わります

また、事故により他者が巻き込まれた場合には、相手が自動車・自転車・歩行者どれかという点も、大きな判断材料になります。

主な逆走事故パターンは、下記のとおりです。

①高速道路で逆走し事故

②センターラインをオーバーして逆走し事故

③一方通行を逆走し交差点で事故

それぞれの状況を、被害者のパターンごとにわけて解説します。

①高速道路で逆走し事故

【▼過失割合】

逆走車:非逆走車

100:0

高速道路で自動車が逆走することは禁止されています。

逆走車が非逆走車と衝突した場合の事故では原則、逆走車が過失が100%です。

ただし、非逆走車側が事故を回避するための行動ができたにも関わらず、措置をおこたったと判断される場合には、被害者側にも過失割合がつくことがあります。

・高速道路の見通しがよく逆走車に遠くから気づいていた場合

・道路が広く車線変更ができる余裕があるにも関わらず対処しなかった場合

・前方に注意をしていれば事故がさけられた場合

「逆走はありうるものだ」と常に考えながら運転するのは難しいかもしれませんが、運転手であるからには常に前方へ注意を払う必要があるということです。

②センターラインをオーバーし事故

一般道のセンターラインを超え、対向車に衝突すると言う逆走事故の場合を、下記のとおりケースごとにまとめます。

①自動車が逆走し自動車と衝突した

②自動車が逆走しバイクと衝突した

③バイクが逆走し自動車と衝突した

それぞれの過失割合とあわせて、減点・加点ポイントも紹介します。

✔️①自動車が逆走し自動車と衝突した

【▼過失割合】

逆走車:非逆走車

100:0

センターラインがある一般道で、対向車線がセンターラインを超えて非逆走車に衝突した場合には、過失割合は原則「100:0」です。

日本の道路交通法では、車両はセンターラインの左側を走行しなければならないと定められています。

対抗車がセンターラインをオーバーし走行してくることを予期して走らなければならない、という状況は原則ないとされており、非逆走車には過失はないとされることが多いです。

ただし、逆走車の加点・減点には下記のような要点も着目されます。

・非逆走車の著しい過失:-10

・非逆走車の重い過失:-20

・非逆走車の速度違反:+10〜20

・逆走車の著しい過失:+10

・非逆走車の重い過失:+20

・逆走車の追い越し禁止エリアでの追い越し:+10

・逆走車の速度違反:+10〜20

たとえば、他の車を追い越そうとして起きた逆走あるいは非逆走での事故の場合には、上記のような速度による加点や減点が生じやすいです。

✔️②自動車が逆走しバイクと衝突した

【▼過失割合】

逆走車:バイク

90:10

センターラインを超えた逆走車が、一般道を走るバイクと衝突した場合、基本的な過失割合は「90:10」です。

逆走車の加点・減点については上記と同様です。

✔️③バイクが逆走し自動車と衝突した

【▼過失割合】

逆走バイク:非逆走車

100:0

バイクは自動車よりも弱い存在であるため、多くの事故では自動車側に大きめの過失割合が与えられることが多いです。

しかしバイクがセンターラインを超え逆走したというケースについては、下記のような加点がない限り、基本の過失割合はバイクが100%となります。

・自動車の前方不注意:-15

・自動車の著しい前方不注意:-30

・自動車の重過失:-10〜-20

✔️④自転車が逆走し自動車と衝突した

【▼過失割合】

逆走自転車:非逆走車

20:80

自転車が逆走し非逆走車に衝突した場合には、基本の過失割合は「20:80」です。

・逆走自転車のフラフラ進行:+10

・逆走自転車の過失:+10〜+15

・逆走自転車が自動や高齢者:−10

・逆走自転車の横断歩道の通行:-5

・自動車の過失:-10〜-30

③一方通行を逆走し交差点で事故

信号のない交差点で一方通行違反で逆走してしまい、車の行き交う交差点で事故が起きたケースを、下記のとおり紹介します。

①自動車が逆走し自動車と衝突した

②自動車が逆走しバイクと衝突した

③バイクが逆走し自動車と衝突した

④自転車が逆走し自動車と衝突した

それぞれの過失割合や、減点・加点ポイントも確認してみてください。

✔️①自動車が逆走し自動車と衝突した

【▼過失割合】

逆走車:非逆走車

80:20

自動車が一般道を逆走し非逆走車と衝突した場合には、非逆走車の不注意も認められることから「80:20」になることが多いです。

たとえば、被害者側が「一方通行の道だから」と過信して、交差点でスピードダウンさせることなく突っ切っていた場合には、安全確認をおこたったとして過失が認められるでしょう。

逆走車の加点や減点は、下記のようにおこなわれます。

・夜間:-5点

・非逆走車の著しい過失:-10

・非逆走車の重い過失:-20

・逆走車の著しい過失:+10

・非逆走車の重い過失:+20

✔️②自動車が逆走しバイクと衝突した

【▼過失割合】

逆走車:バイク

90:10

逆走車が、走行中のバイクと衝突した場合には、過失割合は「90:10」です。

逆走車の加点や減点は、上記のケースと同様です。

✔️③バイクが逆走し自動車と衝突した

【▼過失割合】

逆走バイク:非逆走車

70:30

バイクが逆走し非逆走車と衝突した場合には、原則「70:30」で過失割合が定められます。

逆走バイクの加点や減点は、上記のケースと同様です。

✔️④自転車が逆走し自動車と衝突した

【▼過失割合】

逆走バイク:非逆走車

50:50

自転車が一方通行の交差点を逆走し非逆走車と衝突した場合には、「50:50」です。

基本的に自転車は交通弱者ですが、一方通行違反をしたという点で重い過失割合が認められます。

逆走自転車の加点や減点は、下記のとおりです。

・夜間:+5

・逆走自転車の右側通行:+5

・逆走自転車の左方進入:+5

・逆走自転車の過失:+10〜+15

・逆走自転車が自動や高齢者:−10

・逆走自転車の横断歩道の通行:-5

・車の過失:-10〜-20

4 まとめ:逆走事故は被害者も過失を訴えられることがある

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逆走事故は、逆走した側のミスであることは明らかです。

しかし、その事故を回避できた可能性があると判断されれば、被害者側にも過失が認められます。

被害者側としては、「自分は何も違反をしていないのに…!」と納得できないことも多いでしょう。

加害者側としては、自分のミスを受け入れつつも、できるだけ慰謝料をおさえたいというのが正直なところでしょう。

とはいえまずは、警察に正直な状況説明をしておくことが、その後の自分のためになります。

事故が起きたときには冷静になり、正しい状況判断に努めましょう。

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