鹿との衝突事故の対処法は?保険の適用範囲や廃車時の注意点
弁護士 (弁)ベストロイヤーズ法律事務所
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交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
山道を運転していると、鹿などの動物と衝突事故を起こしてしまうことがあります。
人間のルールが通じない動物相手に衝突事故を防ぐのはときに難しく、避けられないことも多いでしょう。
本記事では、鹿との衝突事故を起こしてしまった場合どのように対処すればいいのか、保険は適用されるのかなどを解説します。
衝突事故の直後はパニックになってしまいますが、落ち着いて正しい手順を踏み、適切な判断をしましょう。
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1 鹿と衝突事故を起こしても罪になることはない
鹿などの動物との衝突事故では、罪になることはありません。
事故を起こすと、何らかの罪に問われるのではないかと不安になってしまう方も多いでしょう。
ですが動物を事故で殺してしまった場合は罪にはならないので、落ち着いて警察に連絡を取りましょう。
ただし、故意に動物を轢き殺した場合には動物愛護法違反や器物損壊罪に該当することがあります。
国の天然記念物を殺した場合も文化財保護法違反となるため、懲役や罰金が課せられる可能性があります。
2 鹿と衝突事故を起こした時の流れ
鹿と衝突事故を起こした場合も、冷静に対応しましょう。
速やかに対処することで、二次被害を防ぎ、補償の請求などもスムーズに行えます。
衝突事故後の行動について、順を追って見ていきましょう。
2-1 周辺の状況を確認する
衝突事故を起こしたら、すぐに路肩や非常駐車場に車を停めて後続車に事故があったことを知らせます。
車の傷やガードレールの傷なども確認しておきましょう。
車にまったく傷がついていなければ、そのまま素通りしても問題ないケースが多いです。
ただし、夜間の衝突事故では大きな傷を見落としてしまう可能性もあります。
素通りすると後日保険が降りないこともあるので、いったん確認して次の段階に進むことをおすすめします。
2-2 鹿の状態を確認する
衝突した鹿が倒れている場合は、鹿の状態を確認しましょう。
衝突した鹿が死んでいるか、けがをしているかを確認し、まだ息がある場合は動物病院に連れていく必要があります。
衝突事故を起こした動物の治療費は、動物病院によって対応が違います。
ドライバー負担になるケースが多いですが、一部の動物病院では衝突した動物の場合のみ無償で治療してくれることもあります。
動物がすでに死亡している場合は、緊急ダイヤル9910に連絡して動物を処理してもらいましょう。
2-3 警察に通報の電話をかける
鹿や車、周囲の状況が確認できたら、警察に通報の電話をかけます。
警察に電話をして事故証明をすれば、後日保険の請求などをしやすくなります。
すぐに警察に電話をせず、事故現場から離れたり時間が経ちすぎたりすると、車の傷が動物との接触によるものとみなされないこともあります。
現場や車の確認に必要以上の時間がかかってしまう可能性もあるため、速やかに連絡を取るようにしましょう。
【関連記事】事故報告義務違反は後日連絡してもダメ?後日でも必ず警察へ連絡を!
【関連記事】物損事故で警察を呼ばなかったら?リスクや知っておくべきポイントを弁護士が解説!
2-4 保険会社に連絡する
警察に連絡を取ったら、加入している自動車保険の会社に連絡しましょう。
警察に電話をしてからすぐに保険会社に連絡を取るのがおすすめです。
保険会社に電話をすると車の状態やドライバー、同乗者のけがなどの確認をされるので、冷静に状況を報告します。
このとき丁寧に回答しておくことで、後日保険金の申請をしやすくなります。
車の損傷がまったくなく、ドライバーも同乗者もけがをしていない場合は、保険会社への電話はカットしても問題ありません。
3 鹿との衝突事故は保険の適用範囲内
事故と聞くと物損や傷害などがイメージされ、動物との衝突事故の保険の考え方はよくわからない…という方も多いでしょう。
基本的に、動物との衝突事故は保険の適用内です。
車の傷やドライバーのけがなどに対して保険金を受け取れるので、適切な手続きを進めましょう。
それぞれの保険の対象や、対象外になるケースを紹介します。
3-1 【車両保険】車の修理に適用される
鹿との衝突事故によって車が損壊した場合、車両保険が適用されます。
加入している保険の内容によって上限金額は違いますが、車の修理代を保険金でカバーできます。
野生の鹿は筋肉質であり、猛スピードで突っ込んで来る場合もあります。
小型の鹿であっても車を全損に近い状態にしてしまうこともあるので、車両保険の申請は必ず行いましょう。
3-2 エコノミーは適用外のケースに注意
鹿との衝突事故による車の損壊は車両保険の対象ですが、加入している保険がエコノミー補償の場合は適用外なので注意しましょう。
エコノミー補償は、補償範囲が狭いかわりに保険料が安い車両保険です。
動物との衝突事故は補償の対象外となり、修理にかかる費用は全額自己負担になってしまいます。
3-3 【傷害保険】けがや痛みがある場合に適用
鹿などの動物との衝突事故であっても、けがや痛みがある場合は傷害保険の対象です。
病院に通った日数に応じて保険金を受け取れます。
動物との事故は傷害保険は適用されないのでは…と諦めず、保険会社に相談してみましょう。
大きな外傷が見られなくてもムチウチなどは後から大事になる可能性もあるので、我慢せずに病院で見てもらうことがおすすめです。
3-4 【自損事故保険】運転手や同乗者が死傷した場合に適用
鹿との衝突事故によってドライバーや同乗者が死傷した場合は、自損事故保険が適用されます。
自損事故保険は自動車保険に付帯していることが多いので、基本的に特別な手続きは不要です。
ただし、自損事故保険の補償金額は低めに設定されています。場合によっては自損事故保険だけではすべての治療費をカバーできないこともあります。
自損事故保険と同時に人身傷害保険も適用される場合は、人身傷害保険が適用されてより高額な保険金を受け取れるケースが多いです。
3-5 【搭乗者傷害保険】契約者と家族などの人身損害に適用
保険の契約者とその家族、同乗者が鹿との衝突事故によってけがをした場合は、搭乗者傷害保険が適用されます。
搭乗者傷害保険はけがをした部位によって保険金額が決定されます。
詳細を保険会社に伝える必要があるので、手間がかかりますがきちんと申請を行いましょう。
4 鹿との衝突事故後は等級ダウンに注意
鹿との衝突事故を起こすと、等級ダウンに注意しなければなりません。
等級がダウンすると翌年の保険料が高くなるため、保険料と保険金の兼ね合いをよく考える必要があります。
等級ダウンに関する考え方を見ていきましょう。
4-1 事故後3年間は保険料が高くなる
鹿との衝突事故を起こすと、保険の等級は3等級ダウンしてしまいます。
その後3年間は事故等級とみなされ、保険料が高くなります。
鹿との衝突事故は、とくに夜間では避けられないことも多いです。
ですが事故等級として扱われるため、場合によっては保険金を受け取っても損をしてしまう可能性があります。
4-2 保険料と比較して保険適用の判断をする
等級が3等級下がった分3年間の保険料がいくら上がるのかを計算し、受け取る保険金と比較しましょう。
場合によっては、保険金を受け取らずに新車に買い替えてしまったほうがいいケースもあります。
例えば保険料が毎月1万円3年間上がる場合、トータルの負担は36万円です。
受け取れる保険金が36万円以上であれば保険金を請求する価値があると考えることが可能です。
反対に、保険金が36万円未満の場合は損をしてしまうので、以下のように廃車にしてしまうほうがお得です。
4-3 廃車にして買い替えたほうがいいケースも
受け取れる保険金が等級ダウンにより上がってしまった保険料よりも少ない場合は、車を廃車にして買い替えたほうがお得になるケースが多いです。
衝突事故によって車の破損がひどい場合や、車が古くなっている場合は、買い替えも検討しましょう。
車を買い替えることで、現在の等級をそのまま維持することが可能です。買い替えの費用はかかるものの、事故等級として保険料が上がることもありません。
ただし、車の損傷がひどい場合は買取業者に買い取ってもらえず、処分費用を請求されるケースもあります。
5 衝突事故の保険の不明点は弁護士に相談
鹿との衝突事故は思わぬタイミングで起こるため、知識がないなかで手続きを進めていかなければなりません。
さまざまな手続きのなかでも、とくに保険の手続きや考え方は知識が少ない方にとっては非常に複雑です。
正しい申請をして、損することなく保険金を受け取りたい、保険料がどれくらい上がるのか知りたい方は、弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することで、適切な保険の手続きのサポートやアドバイスを受けられます。
後遺障害認定を受けたあとの補償の手続きなども弁護士に依頼すればスムーズです。
【関連記事】後遺障害が認定されたらどうなる?認定や示談の流れ、弁護士に依頼するメリットについて
相談だけなら無料でできることも多いので、まずは現在不安に感じていることを弁護士に話してみましょう。
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