相続を兄弟が放棄する方法|メリット・デメリットや注意点も詳しく解説

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相続を兄弟が放棄する方法|メリット・デメリットや注意点も詳しく解説

思いがけず兄弟の相続人になったけど、負債もありそうだし相続を放棄したほうがいいのかな」

「相続放棄の手続き方法がわからない」

などとお悩みではありませんか。

普段あまり付き合いのなかった兄弟だと、どのくらいの遺産や負債があるのかなどよくわからないことも多く、相続放棄をするにもなかなか決断できないことも。

この記事では、兄弟の相続を放棄する方法やメリット・デメリット、注意点まで詳しく解説します。

相続放棄を検討しているものの、決め手がなくなかなか決心がつかなかったり、手続き方法がわからなかったりする場合にはぜひ参考にしてください。

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1 相続を兄弟が放棄する方法

相続を兄弟が放棄.jpg

ここでは、相続を兄弟が放棄する方法について「手続きの流れ」や「相続放棄が完了した後に必要な手続きには何があるのか」を解説します。

最初に、兄弟が相続人になるのはどんな場合かを、確認しておきましょう。

兄弟の相続順位は第3順位です。

第1順位の子と、第2順位の直系尊属(父母や祖父母など)がいない場合に、はじめて第3順位の兄弟が相続人になれます。ちなみに、配偶者は必ず相続人になるので、相続順位はありません。

<兄弟が相続人になる場合の家族構成>下図のようになります。

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この場合、配偶者と兄弟が相続人です。もしも配偶者がいなければ、兄弟のみが相続人になります。

兄弟が相続人になる場合の家族構成

1-1 兄弟が相続放棄する手続きの流れ

相続放棄の流れ.jpg

兄弟が相続放棄する手続きの流れは、以下のようになります。

  1. 相続放棄をすべきか検討
  2. 必要書類を準備
  3. 費用の確認
  4. 相続放棄を家庭裁判所に申述
  5. 照会書に回答
  6. 相続放棄申述書が受理される

順に解説しましょう。

<相続放棄をすべきか検討>

最初に、相続放棄をすべきか検討します。

借金などの債務が多いと感じても、それ以上に財産を保有していることもあるものです。

兄弟は大人になってからは家計も別々で、財産や借金などがどの程度あるのかあまり知らないことが多いでしょう。

十分に調査検討して相続放棄を決めないと、あとで大きな財産があることがわかったり、負債が見つかったりして後悔することになります。

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<必要書類を準備>

相続放棄を決めたら必要な書類を準備します。

【兄弟が相続放棄するときに必要な書類】

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
  • 被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本
  • 被相続人の子で死亡している人がいるときは、その子の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡記載がある戸籍謄本など

<費用の確認>

手続きに必要な費用は以下のとおりです。

  • 申述人1人につき収入印紙800円分
  • 戸籍謄本、住民票の取得費
  • 連絡用の郵便切手

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<相続放棄を家庭裁判所に申述>

相続放棄の申述書を記載し申立添付書類とともに、被相続人の最後の住所地にある家庭裁判所に提出し申述します。提出先は最寄りの裁判所ではないことに注意しましょう。

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<照会書に回答>

相続放棄の申述書を提出すると、家庭裁判所から確認のための、相続放棄の照会書が送付されてくるので回答し返送しましょう。

照会書では、次のような質問に回答します。

  • 相続放棄が本人の意思にもとづいたものであったか
  • 自分が相続人になったことを知った日はいつか
  • 相続人の財産を使っていないか など

<相続放棄申述書が受理される>

相続放棄が受理されると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。

1-2 相続放棄を受理された後に必要な手続きがある?

相続放棄の受理後に必要な手続き.jpg

被相続人の財産を管理していた場合には、他の相続人に引き継いでおきましょう。

また債権者に対しては、相続放棄の手続きが完了したことを連絡します。

相続放棄の証明書が必要な場合は、家庭裁判所に郵送または直接請求し発行してもらえます。

2 兄弟の相続を放棄するメリット

兄弟の相続を放棄するメリット.jpg

兄弟の相続を放棄するメリットには以下の3つがあります。

  • 兄弟の借金を相続しないですむ
  • 相続トラブルに巻き込まれない
  • 相続放棄で兄弟に遺産をゆずれる

順に解説していきましょう。

2-1 兄弟の借金を相続しないですむ

兄弟の借金.jpg

被相続人である兄弟に多額の借金などの負債があるときに、相続放棄は有効です。相続を放棄すれば、負債を引き継ぐ必要がありません。

相続により、いきなり兄弟の大きな借金を背負うことを避けられます。

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2-2 相続トラブルに巻き込まれない

相続トラブル論.jpg相続を放棄すれば、遺産分割手続きの面倒なトラブルに巻き込まれずにすみます

それまで仲のよかった兄弟も、相続手続きで大きなトラブルになることも珍しくはありません。

被相続人が遺言書を残していなければ、遺産分割協議で分割割合などを決めます。

話し合いでスムーズに遺産分割が決まらないことも多く、面倒な手続きともめ事のストレスで悩まされることに。

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相続を放棄すれば、そんなトラブルを回避できるでしょう。

2-3 相続放棄で兄弟に遺産をゆずれる

他の兄弟に遺産を譲る.jpg

相続を放棄することで、他の兄弟に遺産をゆずれます。

たとえば自分は被相続人である兄弟と疎遠だったけれど、他の兄弟が最後まで看病したり面倒を見たりしていたので、その兄弟に遺産をゆずりたいと思う場合に利用できます。

親族にはそれぞれさまざまな事情があるでしょう。

他の兄弟に遺産をゆずりたい場合には、遺産放棄が有効です。

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3 兄弟の相続を放棄するデメリット

兄弟の相続を放棄するデメリット.jpg

兄弟の相続を放棄するデメリットには以下の3つがあります。

  • 兄弟の遺産を受け取れない
  • 兄弟で1人だけ相続放棄するとトラブルの原因に
  • 兄弟が相続放棄すると甥姪は代襲相続できない

順に解説しましょう。

3-1 兄弟の遺産を受け取れない

遺産を受け取れない.jpg

相続を放棄すると、兄弟の遺産を受け取れません

兄弟と疎遠だったり仲が悪かったりしても、遺産相続で多額の遺産が受け取れる場合は、よく考えて放棄しないと後悔することになるでしょう。

3-2 兄弟で1人だけ相続放棄するとトラブルの原因に

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被相続人の兄弟に大きな負債があることを知っていて、1人だけ相続放棄手続きをしていたら、知らなかった兄弟とトラブルの原因になります。

3-3 兄弟が相続放棄すると甥姪は代襲相続できない

相続放棄をすると代襲相続できない.jpg

相続人が死亡する前に、相続人になるはずだった人が死亡していれば、相続人の子が代襲相続できます。兄弟の場合は、甥姪が相続できるのです。

しかし相続放棄した相続人は、はじめから存在しなかったとされて、代襲相続はできません。

兄弟が相続放棄すると、兄弟の子どもである甥姪は代襲相続できないので注意が必要です。

4 相続放棄してくれた兄弟にはお礼が必要?

相続放棄した兄弟へのお礼.jpg

お礼の決まりがあるわけではありませんが、相続を放棄してくれた兄弟にはお礼を渡したほうがよいケースもあります

なぜなら相続放棄手続きには手間もかかり、そのうえ遺産を受け取らないわけですから、兄弟間のトラブルを防ぐためや意思の確認の意味もあるからです。

相続放棄のお礼の金額として多いのは、10〜30万円といわれています。

またお礼をたくさん渡したいと思っても、110万円を超えると贈与税がかかるので注意が必要です。

5 兄弟姉妹の相続を放棄する際の注意点とは

兄弟姉妹の相続を放棄する注意点は.jpg

兄弟姉妹の相続を放棄する際の注意点には、以下の3つがあります。

  • 相続放棄を他の兄弟に伝えておく
  • 相続放棄には申立期限がある
  • 単純承認事由に注意

順に解説しましょう。

5-1 相続放棄を他の兄弟に伝えておく

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相続放棄をしても、他の相続人である兄弟に通知する義務はありません。

しかし、たとえば被相続人に大きな負債があることを知らずに相続してしまえば、知っていて相続放棄した兄弟とトラブルになることは目に見えるでしょう。

5-2 相続放棄には3か月の申立期限がある

相続放棄の期限.jpg

相続の放棄には3か月の申立期限があるので、注意が必要です。

民法915条「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。」

と定められています。

相続放棄をする場合には、相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ相続放棄の申述をしなければなりません。

【関連記事】限定承認とは?相続放棄との違いや特徴、メリット・デメリットを弁護士が解説

3か月は長そうにも感じますが、被相続人が死亡した後は葬儀や四十九日の法要、さまざまな手続きなどでバタバタと過ぎてしまうでしょう。その中で、被相続人の財務調査など相続放棄に必要な資料を集めるのは難しいことも。

3か月では熟慮期間がたりない場合には、3か月以内に裁判所へ相続放棄の期間伸長の申立てを行えば期間の延長が認められることもあります。

5-3 単純承認事由に注意

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単純承認とは、被相続人の遺産をすべて相続することです。

単純承認の意志がなくても、単純承認事由に該当すれば相続放棄の手続きができなくなるので注意しましょう。

単純承認事由に該当するのは、以下の3点です。

  • 被相続人の財産を処分してしまった
  • 3カ月以内に相続放棄(または限定承認)の手続きをとらなかった

   (注)限定承認とはプラスの財産を限度に負債を引き継ぐこと

  • 相続財産を故意に隠したり、消費してしまった

参考元:e-GOV法令検索 民法 第九百二十一条

たとえば、被相続人の債務を返済してしまった場合や、預金をおろして使ってしまった場合などがこれにあたります。

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6 兄弟の相続放棄はメリット・デメリットでよく考えて|不安があれば弁護士へ

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兄弟の相続放棄には、メリットもデメリットもあります。

この記事で紹介したように、メリットとデメリットを十分に検討し相続の放棄を決断します。

しかし相続放棄すべきかどうかを考える場合、被相続人の財産調査が必要ですが、何から始めたらいいのかわからないことも多いでしょう。

また調査している間に、単純承認事由に該当することを行ってしまうと、相続放棄ができなくなる可能性もあります。

兄弟の相続放棄をスムーズに行うには、専門的な知識と煩雑な手続きが必要です。

不安があれば弁護士に相談することをおすすめします。

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