接触事故で事故現場から相手が行ってしまった・逃げてしまった場合の対処法について弁護士が解説
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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接触事故は誰にでも起こりうる状況ではありますが、事故現場から相手が行ってしまった、あるいは逃げてしまった場合、どのように対処すべきなのでしょうか。
事故が発生した直後に何をすべきなのか、対処法はどういったものがあるのか、そして接触事故で特に注意すべき点は何か理解しておくことが大切です。
そこで本記事では、交通事故問題に特化した弁護士の視点から、接触事故で事故現場から相手が行ってしまった・逃げてしまった場合の対処法について、詳しく解説します。
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1 接触事故後の対応の流れ(相手が行ってしまった・逃げてしまった場合)
1-1 負傷者への対応・警察への連絡
接触事故が発生した直後、最初に行うべき行動は、自分自身や他の関係者が怪我をしていないか確認することです。
もし怪我人がいた場合は、その場で体を無理に動かさず、速やかに救急車を呼びましょう。
次に、相手が事故現場から立ち去ってしまった場合は、速やかに警察に通報することが重要です。
早急な警察への通報は、相手を迅速に特定するために不可欠な行動です。警察が速やかに動けば動くほど、逃げた相手を見つける確率が高くなるからです。
この段階で警察に連絡しておくことで、その後の手続きもスムーズに進む可能性が高まります。
特に、相手が逃げた場合は、その後の補償や交渉が複雑になることが多いため、早めの対応が求められます。
1-2 証拠の保全・相手の特徴を記録
接触事故が発生した場合、相手が逃げてしまう可能性も考慮して、早急に証拠を確保することが重要です。
まず、事故が起きた直後に、相手の車やナンバープレート、保険証書などの写真をスマートフォンで撮影しておきましょう。
これは後の警察への報告や、相手の特定に非常に役立ちます。
相手と何らかのコミュニケーションが取れた場合は、その時点で連絡先を交換するように心掛けてください。
もし、相手が立ち去ってしまった場合は、覚えている情報(車種・ナンバーなど)を速やかにメモしておくことが大切です。
記憶が新しいうちに詳細を記録しておくことで、後の警察の捜査に役立てることができます。
また、ドライブレコーダーが装備されている場合は、その映像も警察に提出することで、相手の特定や事故の状況を明らかにする手がかりとなります。
接触事故で相手が立ち去った場合、その事故が人の死傷を伴うものであれば「ひき逃げ」として、物損のみであれば「当て逃げ」として扱われます。
ただ、犯人の特定には時間がかかる場合もあり、確実に見つかるとは限りません。
そのため、やはり証拠の確保と早期の警察への報告が、後の手続きをスムーズに進めるためには不可欠なのです。
1-3 目撃者など情報収集
接触事故が発生した場合、特に相手が逃げてしまった状況では、目撃者の証言が非常に価値のある証拠となります。
もし目撃者がいた場合は、その人たちから詳しい証言を得るようにしましょう。
証言は、口頭で聞き取りするだけではなく、可能であればスマートフォンに音声で記録しておくとよいでしょう。
これらの証言は、後に警察に提出する際や、加害者との交渉、裁判においても重要な証拠となります。
目撃者の証言があれば、加害者を特定する際にも大いに役立つ可能性があります。
特に、逃げた加害者の特徴や車の型、ナンバープレートなど、目撃者が覚えている情報があれば、それが警察の捜査を加速させる要素になる可能性があります。
情報収集は、事故発生後の早い段階で行うことが望ましいです。時間が経つにつれて、目撃者の記憶も薄れがちですし、その場を離れてしまう可能性もあります。
1-4 破損部分を写真撮影
接触事故が発生した際には、破損した箇所の写真を撮影しておくことが非常に重要です。事故を証明するための証拠となるからです。
まず、事故が起きた直後に、破損した部分だけでなく、車両や現場全体の写真も撮影しておきましょう。これによって、事故の状況や規模を後で証明する際に役立ちます。
スマートフォンで写真を撮影する場合には、撮影日時が自動的に記録されます。この日時情報も、事故がいつ起きたのかを証明する重要な証拠になります。
特に、相手が立ち去った場合には、自分自身で集めた証拠が唯一の頼りとなることが多いです。
破損箇所の写真は、後の警察への報告や保険会社への請求、さらには裁判においても、強力な証拠となる可能性があるのです。
1-5 病院で医師による診察を受ける
接触事故が発生した後、警察への報告や証拠の収集が一段落したら、次に行うべきことは、病院での医師による診察です。
まず、事故による怪我は、その場で痛みを感じなくても後から出てくることがあります。そのため、早めに医師の診察を受けて、必要な治療を始めることが重要です。
また、怪我を放置してしまうと、その後の症状が悪化する可能性があります。
さらに、医師の診察を受けずに治療をしないと、後々で慰謝料を請求したくてもできない可能性があります。
医師による診察は、後の補償交渉や法的手続きにおいても大きな影響を与えます。
治療費や慰謝料の請求を行うためにも、診察を受けることは非常に重要な取り組みであることを理解しておきましょう。
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1-6 自身の保険から治療費・修理費を受ける
接触事故が発生し、相手が特定できない場合、損害賠償請求が難しくなります。
このような状況では、自分自身が加入している保険から治療費や車の修理費を受けるようにするといいでしょう。
治療費や修理費は、高額になる可能性がありますので、自身の保険からの補償を活用することで、負担を軽減することができます。
また、保険の種類やプランによっては、加害者が不明であっても一定の補償が受けられる場合があります。
そのため、事故が発生した際には、速やかに保険会社に連絡を取り、どのような補償が受けられるのか確認することが重要です。
2 接触事故後に相手が行ってしまった・逃げてしまった場合の対処法
2-1 接触事故後に連絡が取れなくなった場合
接触事故が発生した後、相手の連絡先を取得しても、後になって連絡がつかなくなるケースがあります。
ただし、連絡が取れなくなった場合でも、いくつかの方法で補償を受けることが可能です。適切な手続きを行い、早めに対応することが大切です。
相手が任意保険に加入している場合、その保険会社に直接連絡を取ることによって、補償の請求が可能です。
自分に過失がある場合であれば、自分が加入している保険会社による対応が可能です。
保険会社同士での調整が行われるため、個々に連絡を取る手間が省けます。
また、相手が任意保険に加入していない場合でも、自賠責保険が強制加入となっているため、この自賠責保険に対して被害者自身が補償請求を行うことが可能です。
その際には、警察から事故証明書を取得し、それを基に自賠責保険への支払い請求書を作成することによって請求できます。
いずれのケースも、早めの行動が求められます。特に、事故証明書は警察から早期に取得することで、スムーズな補償請求が可能となります。
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2-2 相手がまったくわからない場合
接触事故が発生した際、相手の情報がまったくわからない場合には、損害賠償請求ができません。
そのため、大きな損害を被らないためにも、事故が起きた瞬間には、可能な限り相手の車やナンバープレートを写真に収めることが重要です。
そのような余裕がなく、相手が逃げてしまった場合、速やかに警察に連絡して、捜査を待つことになります。
相手の情報が判明した場合には、その時点で損害賠償の交渉を始めることができます。
仮にもし相手が特定できない場合、被害者を救済するために設置されている、「政府保障事業」制度を利用することが考えられます。
この制度では、加害者が特定できない場合に、国が被害者に対して損害賠償を行い、後に加害者が特定された場合、その額を加害者から回収します。
2-3 弁護士に相談する
接触事故が発生した後、相手の連絡先を聞いていても、何らかの理由で連絡が取れない場合があります。そのような状況で不安を感じる方も多いでしょう。
このような場合、弁護士に相談することが有効な手段となります。
弁護士に相談することで、まず安心感が得られます。あなたの権利を守ってくれるという安心感は、精神的な負担を大幅に軽減することが可能です。
さらに、弁護士が介入することで、相手方の任意保険会社との交渉がスムーズに進むことが期待できます。
専門的な知識と経験を持つ弁護士が交渉を行うことで、慰謝料の増額など、より有利な条件での解決も可能になります。
【関連記事】交通事故を弁護士へ相談するベストのタイミングは?
3 接触事故での注意点
3-1 大きな怪我がなくても警察へ連絡すること
接触事故が発生した際、自分自身が大きな怪我をしていないと感じた場合でも、警察に報告することが非常に重要です。
まず、事故が起きた直後はアドレナリンが分泌されているため、痛みを感じにくいことがあります。
そのため、数時間後や翌日になって怪我の痛みが出てくるケースも少なくありません。
また、警察に報告しないと、交通事故証明書が発行されないため、事故そのものが発生した証拠が残らない可能性があります。
これが後々、損害賠償請求などで問題となることが多いです。
さらに、相手が逃げた場合には、その身元を特定するためにも警察の介入が必要です。
警察に報告しないと、相手の特定が難しくなり、結果的に損害賠償を受ける権利も失ってしまう可能性が高くなります。
以上のような理由から、怪我の大小に関わらず、接触事故が発生したら必ず警察に報告するようにしましょう。
後々のトラブルを防ぐためには不可欠です。
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3-2 自転車同士の接触事故でも警察に通報を
自転車同士の接触事故においても、警察への通報は必須です。
一般的に自転車事故は軽微と考えられがちですが、実際には重大な怪我や死亡事故も起こり得ます。
自転車事故でも賠償責任は存在します。
自動車事故と同様に、賠償額が数百万円、場合によっては数千万円にも上ることがあります。そのため、事故の証拠を残す意味でも、警察に通報することが重要です。
次に、事故が発生した際に警察に通報しないと、交通事故証明書が発行されない可能性があります。
この証明書がないと、事故が起きたこと自体の証拠が不足するため、後々の損害賠償請求などで不利になる可能性が高くなります。
さらに、相手が逃げた場合、その人物を特定するためにも警察の協力が必要です。
通報を怠ると、相手の特定が難しくなり、修理費用や医療費などの損害賠償を請求する機会を失ってしまうことがあります。
3-3 相手から警察に通報しないように言われた場合
接触事故が発生した際、相手から警察には通報しないように頼まれるケースがあります。しかし、このような状況でも、警察への通報は絶対に行うべきです。
まず、警察に通報しないと、交通事故証明書が発行されません。上記でもご説明した通り、事故の証拠となる非常に重要な書類です。
相手が警察に通報しないように頼む背景には、何らかの事情がある可能性があります。例えば、過去に交通違反をたびたび犯していることによって、処分を恐れている場合です。
警察に通報しない場合には、仮に相手から損害賠償は対応すると言われたとしても、相手が逃げるリスクを考慮しなければなりません。
3-4 事故現場で示談を成立させないこと
交通事故が発生した場合、その場で示談を成立させないことが大事です。
何故なら、一度示談が成立してしまうと、その後の損害賠償請求や条件の変更が困難になるからです。
まず、示談が成立すると、それが口頭であれ書面であれ、その内容を後から変更することは原則としてできません。
後日新たな損害が明らかになった場合や、合意した内容が不適切であったと気づいた場合でも、対応ができなくなるということです。
さらに、事故の衝撃や現場の緊迫感によって、冷静な判断ができない状況が多いです。
そのような状況下で示談にしてしまうのは、後悔する可能性が高いです。
加害者から強く示談を迫られることもありますが、そのようなプレッシャーに屈せず、冷静に状況を把握することが重要です。
【関連事故】交通事故その場で示談してはいけない理由|事故後の対処法も弁護士が解説
4 まとめ
接触事故が発生した場合、その後の対応が非常に重要です。
本記事では、事故後の適切な手続きから、警察への通報、証拠の保全、そして示談に至るまでの注意点を詳細に解説しました。
記事のポイントを押さえて、事故後の対応をしっかりと行うことで、後々のトラブルを避け、自身の権利を守ることができます。
もし接触事故後に、相手が行ってしまった、立ち去ってしまったとお困りの状況であれば、交通事故問題に精通した弁護士に相談することを強くおすすめします。
現在、千葉市内の事故に限定して相談を受付中です
他エリアはただいま鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。
交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
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