特別縁故者の相続税は2割加算!要件・申告期限・手続きの流れを解説

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弁護士 大隅愛友

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特別縁故者の相続税は2割加算!要件・申告期限・手続きの流れを解説

内縁の妻や夫など、故人にゆかりがある人のことを特別縁故者といいます。

特別縁故者は故人の相続人として認められるケースもあります。

ただし、親族などの法定相続人ではない場合、相続税には注意が必要です。

本記事では、特別縁故者とはどのように定義されるのか、特別縁故者の相続税はどのように考えるのかを解説します。

相続にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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1 特別縁故者とは?

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まずは特別縁故者とはどのような存在なのかを解説します。

どのような場合に特別縁故者の相続が認められるのかについても確認しましょう。

1-1 相続人がいない場合に遺産を受け取れる

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特別縁故者とは、相続においては故人に法定相続人がいない場合に遺産を受け取れる人のことを指します。

一般的に、配偶者や子、両親などが法定相続人と認められますが、なかにはそれらの人とのつながりがない場合もあります。

その場合、故人と特別に親しい関係にあった人が、特別縁故者として認められます。

内縁の妻や同居していた友人などが、特別縁故者になるケースが多いです。

1-2 相続人がいる場合は遺産は受け取れない

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故人に法定相続人がいる場合は、特別縁故者の相続は認められません。

深いつながりがない、生前不仲だったなどでも、法定相続人が優先されます。

また、特別縁故者は誰でも該当するわけではなく、家庭裁判所に申し立てて受理される必要があります。

特別縁故者の条件は、以下で詳しく解説します。

1-3 相続人も特別縁故者もいない場合遺産は国に

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故人に法定相続人も特別縁故者もいない場合、故人の遺産は国のものになってしまいます。

基本的に法定相続人がいなければ遺産がのものになるため、故人と特別に親しくしており、遺産を相続する権利がある場合は特別縁故者として主張する必要があります。

また、故人にとっても、遺産を国に取られてしまうより特別に親しかった相手に譲りたいと遺言を遺しているケースもあります。

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2 特別縁故者の要件

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法定相続人以外が故人の遺産を相続するには、特別縁故者となる必要があります。

ですが、申請すれば誰でも特別縁故者になれるわけではありません。

どのような要件を満たす人が特別縁故者に該当するのかを解説します。

2-1 故人と生計を共にしていた

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故人と同居しており、生活、生計をともにしていた人は、特別縁故者に該当する可能性が高いです。

内縁の妻・夫事実上の養子などは、特別縁故者に該当します。

ただし、生前の関係や生計をどのように共にしていたかなどは詳しく調べられるため、正しく申し立てる必要があります。

2-2 故人の介護や看護をしていた

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故人の介護や看護をしていた人は、特別縁故者に該当するケースが多いです。

法定相続人に該当していなくても、自宅での介護 や老人ホームなどでの世話、さらに病気の看護をしていた人は、特別縁故者として認められます。

ただし、看護師や介護士など、仕事として故人の世話をしていた人は特別縁故者には該当しないので注意しましょう。

2-3 故人と密接な関係にあった

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故人と密接な関係にあったと認められれば、特別縁故者として遺産を相続できます。

この場合の密接な関係とは、同居していた、事実上の妻、夫だった、または養子や養親として生活を共にしていたなどが上げられます。

妻や子どもとしての生活をしていなくても、とくに親しくしており、生前に金銭の援助を受けていた友人などが特別縁故者に認められたケースもあります。

2-4 故人がかかわった法人

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故人が生前とくに深くかかわっていた法人が特別縁故者になるケースもあります。

公共団体学校法人宗教法人などが対象です。

故人が自分の財産を使ってその団体を運営、経営していた場合は、その公人が故人の遺産を引き継ぐこともあります。

3 特別縁故者の相続税の考え方

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特別縁故者は法定相続人と同様に故人の遺産を相続できますが、相続税には注意が必要です。

一般的な法定相続人と特別縁故者の相続税にはどのような違いがあるのかを詳しくみていきましょう。

3-1 3,000万円以上で相続税が発生

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特別縁故者が遺産を受け取る際、金額によっては相続税が発生します。

法定相続人、特別縁故者問わず相続税には基礎控除があり、3,000万円が控除されます。

そのため、遺産が3,000万円以下の場合、法定相続人も特別縁故者も相続税を収める必要はありません。

法定相続人は、その人数につき600万円が控除されます。

ですが特別縁故者は600万円の控除がない点も注意しましょう。

例えば法定相続人が二人だった場合の控除額は3,000万+600万×二人で4,200万円ですが、特別縁故者は3,000万円のみです。

3-2 相続税の各種控除が適用されない

相続税には、基礎控除以外にもさまざまな控除があります。

法定相続人には各種控除が適用されますが、特別縁故者には適用されないものが多いです。

相続税の控除には、基礎控除のほか以下のものがあります。

  • 未成年者控除
  • 障碍者控除
  • 小規模宅地等の特例
  • 相次相続控除

これらの控除は、特別縁故者は対象外となるので注意してください。

3-3 特別縁故者は相続税が2割加算

特別縁故者が認められ故人の遺産を相続できたとしても、相続税は法定相続人の二割加算になる点も重要です。

故人の遺産が3,000万円以下であれば気にする必要はありませんが、3,000万円を超える分には税金がかかります。

なお二割加算になるのは特別縁故者だけでなく、故人の兄弟姉妹なども該当します。

3-4 不動産取得税もかかる

特別縁故者が故人から不動産を相続した場合、相続税とは別に不動産取得税がかかる点にも注意が必要です。

相続登記には法定相続人でも税金がかかりますが、特別縁故者など法定相続人ではない場合は税金の額が五倍になります。

3-5 相続税の申告は10カ月以内

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相続税を申告するには、故人が亡くなったことを知ってから10カ月以内と決められています。

特別縁故者の場合は、財産の分与があったことを知った翌日から10カ月以内と決まっています。

申告期限を過ぎてしまうと、超課税が課せられる可能性もあります。

法定相続人と特別縁故者で相続税の申告期限が微妙に違うので注意しましょう。

4 特別縁故者が遺産をもらうまでの手続き

実際に特別縁故者が遺産をもらうには、どのような手続きが必要なのかをチェックしていきましょう。

書類の準備から申告方法まで解説するので、自分が特別縁故者に該当する場合はぜひ参考にしてみてください。

4-1 家庭裁判所へ申し立てをする

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まずは自分が特別縁故者だと認めてもらうために、家庭裁判所へ申し立てを行います。

内縁の妻などが自動的に特別縁故者になるわけではないので、該当する可能性がある方は必ず申し立てを行ってから手続きを進めましょう。

家庭裁判所への申し立ては、個人ですべて対応するのは非常に難しいです。

相続などに詳しい弁護士に相談すれば、手続きや申し立てをスムーズに行ってくれます。

4-2 相続財産清算人選任の申し立てをする

続いて、家庭裁判所で相続財産清算人の選任を申し立てる必要があります。

相続財産管理人とは、個人の遺産を管理し、特別縁故者などへの処分を行う人のことです。

個人の戸籍と住民票の除票、通帳などの財産がわかるもの、さらに個人と特別縁故者の関係がわかるものの書類が必要です。

故人の遺書やメモ、故人と同居していたことがわかる書類などは遺しておきましょう。

なお、相続財産清算人選任の申し立てには、収入印紙や官報公告費用、書類の郵送にかかる費用が必要です。

【関連記事】相続財産清算人(旧 相続財産管理人)の選任にはいくら必要?費用の内訳や節約方法を解説!

また、予納金として数十万円程度要求されることもあります。

4-3 相続人調査が行われる

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相続財産管理人が決まると、相続人調査が開始されます。

相続人調査は正式には官報公告と呼ばれます。

故人に本当に相続人がいないかを調査するもので、この段階で法定相続人が見つかった場合、特別縁故者は相続権を失います

4-4 債務の支払いを行う

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故人が負債を遺していた場合、故人の遺産から負債の返済を行います。

遺言で特別縁故者に相続する旨が記載されていた場合も、相続財産管理人がどのように扱うかを考えます。

4-5 特別縁故者に相続財産分与を申し立てる

調査によって法定相続人がいないことが確定すると、特別縁故者が遺産を相続する権利を得ます。

この申し立てが認められた段階で、特別縁故者として正式に認められます。

故人の債務の支払いを終えた残りを、特別縁故者は相続できます。

ですが、この申し立ては相続人がいないことが確定してから三か月以内に行う必要があります。

期限を過ぎると遺産を受け取る権利はなくなるので注意してください。

【関連記事】特別縁故者に対する財産分与|手続きの流れや費用を弁護士が解説!

5 特別縁故者が手続きをするために必要な書類

特別縁故者が故人の財産を受け取るには、さまざまな手続きが必要です。

その際には書類を多数用意しなければなりません。

どんな書類が必要なのかを見てみましょう。

5-1 相続税申告書

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相続税の申告書は、税務署で受け取ることが可能です。

相続税申告書には表1から15までありますが、すべてを記入する必要はありません。

故人の遺した財産によって、必要な書類は変わるので適宜書き分けましょう。

相続税申告書の内容は毎年変わるため、手続きをする年の書類を受け取るようにしてください。

表の内容は、一般的には以下のとおりです。

  • 相続税の申告書
  • 相続税の申告書の控え
  • 相続税の総額の計算書
  • 相続税がかかる財産の明細書
  • 相続財産の種類別価額表
  • 相続財産の種類別価額表の控え
  • 各相続人に対して最終的な納税金額を記入
  • 第1表(続)の控え
  • 各相続人別の相続財産の種類別価額を記入
  • 第15表(続)の控え
  • 相続税額の加算金額の計算書
  • 贈与税額控除
  • 配偶者の税額軽減
  • 未成年者控除や障害者控除
  • 相次相続控除
  • 外国税額控除
  • 債務や葬式費用
  • 生命保険や損害保険契約の死亡保険金など
  • 退職金や功労金など
  • 第11・11の2表の付表1の控え

特別縁故者は、表4の「相続税額の加算金額の計算書」に記入する必要があります。

また、配偶者の税額軽減や未成年者控除などの控除は、特別縁故者は記入する必要はありません。

書類が多く記入が大変な場合、専門家に相談することをおすすめします。

5-2 添付書類

相続税申告の書類を提出する際、同時にさまざまな書類を添付する必要があります。

ケースによって提出が求められる書類は変わりますが、一般的には、

  • 故人の戸籍謄本
  • 特別縁故者の戸籍謄本
  • 特別縁故者の印鑑証明書
  • 遺言書の写し
  • 遺言書の証明書
  • 土地や建物の登記簿謄本
  • 預貯金がわかる通帳、残高証明書
  • 借入金がわかる残高証明書
  • 森林の評価証明書
  • 骨とう品の評価証明書

すべての書類を用意するには時間と手間がかかります。

期限までにすべて提出できるよう、余裕を持って書類を取り寄せておきましょう。

6 特別縁故者の手続きは専門家に相談

特別縁故者に該当するかどうか、実際の手続きをどのように行うかは、専門的な知識がなければわかりません。

遺産の相続を申請するには期限があり、書類の不備で提出が遅れてしまうと遺産を受け取れなくなる可能性もあります。

手続きに不安がある方は、専門家に相談することをおすすめします。

専門家に相談するとどのようなメリットがあるのかを解説します。

6-1 特別縁故者かどうか相談できる

相続に詳しい弁護士などに相談することで、自分が特別縁故者かどうかを判断しやすくなります。

特別縁故者の定義は明確ではなく、故人と同居していた、金銭の援助を受けていたなど、家庭裁判所に密接な関係にあったと認めてもらう必要があります。

実際に特別縁故者として認められる可能性はあるのかといった基本の相談から、書類の書き方まで丁寧に対応してもらえるでしょう。

6-2 特別縁故者の手続きを代行してもらえる

専門家に相談すれば、特別縁故者の手続きをまとめて代行してもらうことが可能です。

必要書類の記入や添付書類の取り寄せなどもお任せできるので、手続きにかかる時間と手間を大幅にカットできます。

仕事をしている、体が不自由で何度も役所に行けないなどの際には非常に役立つでしょう。

なお、委任状を書く、陳述するなどの必要はあるので、専門家とのやり取りは密接に行いましょう。

6-3 費用は相続額の1%程度

専門家に特別縁故者関連の手続きを相談する際にかかる費用は、相続する財産の1%程度です。

専門家に相談する際に気になるのが費用です。

明確な費用が決まっているわけではなく、財産のうち何%かを請求されるケースが多いです。

この割合も弁護士事務所によって大きく違うので、事前の無料相談で費用について不安がある場合には確認しておきましょう。

ベストロイヤーズ法律事務所は、相続などの問題に悩む方と専門家をつなぐサービスを提供しています。

相談は日本全国どこからでも無料ででき、リーズナブル・明確な費用でさまざまな手続きを依頼できます。

自分が特別縁故者か知りたい、特別縁故者の手続きをお願いしたい方は、ベストロイヤーズ法律事務所に相談してみてください。

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