飲酒して自転車事故|飲酒事故後の適切な対応と過失割合を解説
弁護士 (弁)ベストロイヤーズ法律事務所
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交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。
飲酒した状態で自転車事故を起こしてしまったら、まずは落ち着いて安全を確保し、救急車と警察に連絡しましょう。
飲酒した状態は、冷静な判断や行動がとれず、事故の被害が拡大したり、誤った行動をとってしまう恐れがあります。
自転車で飲酒運転をしてしまった場合、その後の行動や注意点も含めて、交通事故に詳しい弁護士が詳しく解説します。
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1 飲酒運転で自転車事故を起こしてしまった時の対応
まずは飲酒運転で自転車事故を起こしてしまった時の流れを解説いたします。
事故を起こすと頭が真っ白になってしまいがちですので、下記の流れに沿って1つずつ実行してください。
1-1 救急車を呼ぶ
自損事故でも相手がいても、自転車事故を起こしたら救急車を呼びましょう。事故を起こした場合、怪我人の救助が最優先です。
怪我をした人を安全な場所に誘導し、救急車を呼んだと伝えて安心させてください。
また飲酒状態で事故を起こすと、一種の興奮状態になり痛みを感じにくくなります。そのため自分自身が怪我をしていても気づかないケースもよく起こります。
目に見えない怪我をしている可能性もありますので、救急車を呼び必ず医療機関で診察を受けましょう。
適切なタイミングで治療を受けずに、事故からしばらく経ってから初めて病院へ行ったような場合には、事故とけがの因果関係を否定され、治療費などが保険で支払われずに、全額自己負担となってしまう可能性があります。
1-2 自転車を移動させる
邪魔にならない場所に自転車を移動させます。
そのまま放置しておくと二次災害につながる恐れがありますので、自転車は脇に寄せておいてください。
1-3 警察へ連絡する
「自転車で事故を起こした」と警察へ連絡してください。
警察に連絡することで事故証明書が発行されます。
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逆に言えば、警察に連絡しなければ事故証明書が発行されず、保険金が受け取れなくなる恐れが出てくるのです。
気持ちを落ち着けてから警察に連絡し、事情を説明しましょう。
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1-4 現場の撮影
救急車と警察が到着するまでの間に、事故現場を撮影しておきます。
スマートフォンの撮影機能で十分ですので、事故現場の写真を撮影してください。
自転車事故に相手がいる場合は、相手の名前や住所、連絡先等を聞きメモを取っておきましょう。
1-5 警察の取り調べに応じる
警察が到着したら、その指示に従ってください。逃亡や証拠隠滅の恐れがあると判断されると、身柄を拘束される可能性もあります。
素直に指示に従い、取り調べ等に応じましょう。
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2 飲酒運転で自転車事故を起こした時の過失割合
過失割合とは、発生した事故に対する責任の割合のことを指します。
基本的に、自分の過失割合が高ければ受け取れる保険金は少なくなり、過失割合が低ければ保険金は高くなります。
では飲酒運転が原因で自転車事故を起こした場合、自転車に乗っていた人の過失割合はどうなるのでしょうか?
最終的な過失割合は裁判所が決定しますが、先におおよその数値を知っておきましょう。
2-1 自転車同士の場合
自転車同士の事故の場合、過失割合は極めて詳細に検討されます。
というのも、被害者側にも過失があると判断されるケースが少なくなく、そのため激しい言い争いになることもあるためです。
たとえば青信号で走っている自転車と、赤信号で走ってきた自転車による事故の場合、基本的な過失割合は「青信号0:赤信号100」になります。
しかし、自転車搭乗者の年齢や速度等によって過失割合が10〜20%上限するので、一概に「赤信号で突っ込んできた人が過失割合100%とはならない」のです。
さらに信号だけでなく、一時停止の有無や道幅等でも過失割合が異なります。
なお飲酒運転に関しては
酒気帯び運転:10%加算
酒酔い運転:20%加算
とされています。
酒気帯び運転
酒気帯び運転とは、アルコールの影響によって正常な運転ができない恐れがある状態で運転することです。
酒酔い運転
酒酔い運転とは、呼気1Lに0.15mgあるいは血液1mlに0.3mg以上のアルコールを体内に保有する状態で運転することです。
酒気帯び運転はアルコール濃度に関係がないため、少量でもお酒を飲んだ人は該当する可能性があります。
2-2 自転車と歩行者の場合
自転車で歩行者と事故を起こした場合、自転車の過失割合が高くなる傾向にあります。
たとえば横断歩道上での事故ですと、基本的には歩行者の過失割合が0%、自転車は100%とされています。
ただし急な飛び出しやその他の要素により、歩行者にも過失加算がつくこともあります。
上記の要素に加えて、酒気帯び運転には10%が、酒酔い運転は20%が加算されます。
このように、飲酒状態で歩行者と自転車事故を起こすと過失割合は高くなります。自転車の運転中は歩行者優先を心がけましょう。
2-3 自転車と自動車の場合
自転車で自動車と事故を起こした場合、自動車の過失割合が高くなる傾向があります。
たとえば自動車が青信号で、自転車が赤信号にもかかわらず直進した場合であっても、基本的な自転車の過失割合は20%とされています。
自動車よりも自転車の方が大怪我をする危険性が高いため、被害者保護のために過失割合が低く設定されているのです。
しかし自転車搭乗者が飲酒していた場合は、これに当てはまりません。
飲酒は重大な過失と認められるため、酒気帯び運転には10%が、酒酔い運転は20%が加算されます。
基本的な過失割合が0%であっても、飲酒しているだけで10〜20%の過失割合が加算されてしまうのです。
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3 そもそも自転車の飲酒運転は法律違反
自転車の飲酒運転は、道路交通法により禁止されています。
飲酒運転に関する罰則等を確認しましょう。
3-1 自転車は道路交通法上の車両に該当
自転車でも飲酒運転が適用される理由は、自転車が道路交通法上の「軽車両」にあたるためです。
軽車両は一般車両と同じ規則が適用されますので、自転車も自動車と同様の扱いになります。
そのため、自転車でも飲酒運転をすれば法律違反になるのです。
3-2 飲酒運転をした場合の罰則
自転車で飲酒運転をした場合の罰則は2種類に分けられます。
酒気帯び運転の場合:罰則なし
酒飲み運転の場合:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
なお上記の罰則は、お酒を提供したお店や自転車を貸した人にも適用されます。
酒気帯び運転に罰則はありませんが、法律違反であることに変わりはありません。
3-3 自動車免許の停止処分が下されることも
自転車の飲酒運転により重大な事故を起こした場合、自動車免許が停止される危険性があります。
道路交通法上では自転車も軽車両として扱われるため「自転車(軽車両)で事故を起こすなら自動車でもやりかねない」とみなされるのです。
飲酒したら自動車だけでなく、自転車に乗ることも絶対にやめておきましょう。
4 まとめ:飲酒したら自転車に乗ってはいけません
飲酒したら、自転車、自動車を問わず、運転してはいけません。「近くまでだから・・・」、「少ししか飲んでいないから・・・」ということでも決して乗ってはいけません。
本記事では飲酒して自転車事故を起こした場合の事故後の対応と過失割合について解説しました。飲酒事故の場合、事故後の動揺や飲酒の影響から、事故後の対応を誤ってしまうことで、より大きな損害が生じる可能性がありますので注意しましょう。
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