自損事故は警察を呼ばなくてもよい?対象保険も弁護士が解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

交通事故について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。

交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。

全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。

自損事故は警察を呼ばなくてもよい?対象保険も弁護士が解説

ガードレール電柱、壁に自分の車をぶつけてしまった場合などの「自損事故」は、相手が存在しない事故であるため、「警察に連絡をする必要はないのでは?」と思ってしまう人が多いですが、警察への連絡は必須です。

万が一警察に連絡をしなかった場合には、保険金が支払われないだけでなく、「当て逃げ犯として逮捕」されるリスクがあります。

この記事では、自損事故で警察を呼ばなければいけない理由から、補償が適用される保険の種類まで詳しく解説します。

 

自損事故は弁護士特約・相談のみ受付中

弁護士特約の相談のみ対応。
相談、セカンドオピニオンとしてご利用ください。

1 自損事故とは

自損事故とは.jpg

自損事故」とは、運転者が単独で起こした他者が関わらない事故のことをいいます。自損事故は、「単独事故」、「自損」、「自爆」などと呼ばれることもあります。分類としては「物損事故」の一つとして扱われます。

・ガードレールに激突した
・雨や雪で滑って電柱にあたった
・車を止めようとして壁にぶつかってしまった

上記のように、自分の運転ミスや誤作動、違反が原因となり、他人を巻き込んでいない場合が自損事故となります。

「自損事故」を起こした場合、運転手の過失が100%となることがほとんどです。そのため、事故で生じた損害賠償はすべて運転手が負担することが原則となります。ただし、自損事故を補償する保険もあり、そのような保険に加入している場合には、補償対象となることもあります。

1-1 自損事故は違反点数の対象?

自損事故は違反点数の対象.jpg

自損事故を起こした場合、違反点数の加点や、免許の停止を不安に思い、「できれば警察に連絡したくない!」と思う人もいるでしょう。

結論:自損事故では原則、警察へ自主的に連絡をすれば違反点数は加点されないので心配する必要はありません。

ただし、違反をした上での自損事故の場合には減点の対象になり得ます。

また、自分の所有物以外に損害を与えてしまった場合には、民事で損害賠償が請求される可能性はあります。

1-2  自損事故の「当て逃げ」は厳しい処分の対象

当て逃げ.png

たとえば、他人の車に自分の車を当ててしまった場合、たとえ相手が車に乗っていなくても、警察に連絡する必要があります。

もし連絡をしなかった場合には「当て逃げ」となり、最低でも30日間の免許停止処分の対象となります。違反点数は少なくとも7点の加点があり、10万円以下の罰金もしくは1年以下の懲役が課せられます。

【関連記事】当て逃げはすぐに警察へ。法的な責任と賠償金を弁護士が解説!

【関連記事】交通事故その場で示談してはいけない理由|事故後の対処法も弁護士が解説

しかし、事故の大きさにかかわらず、まずは警察に連絡をすることが、今後の自分を守ることになります。

【関連記事】物損事故で警察を呼ばなかったら?リスクや知っておくべきポイントを弁護士が解説!

2 自損事故を起こしたらまずすべきことを手順で解説

自損事故を起こしたらまずすべきことを手順で解説.jpg

ここからは、自損事故を起こしたときにすべきことを、手順でご紹介していきます。

ステップ①:負傷者の有無を確認する
ステップ②:二次被害を防止する
ステップ③:警察に連絡する
ステップ④:保険会社に連絡
ステップ⑤:病院に行く

それぞれのステップごとにすべき、具体的な対処法を確認します。

2-1 負傷者の有無を確認する

事故現場・負傷者の救護.jpg

まずはじめにすべきことは、負傷者の有無の確認です。誰もいない自損事故だと思っていたら、けが人が出ているとなったら、自損事故ではありません。自分だけが負傷していると思っても、実は見えないところに他人が倒れているかもしれません。

まずは状況の確認をして、必要であれば直ちに救急車を呼びましょう。

もし自分自身が負傷している場合にも、慌てずに必要に応じて応急処置をします。

「車が大きく破損してしまった…」

「公共物の損害賠償が大きそうで不安…」

「保険に入っていないから請求がこわい…」

などの不安があるかもしれませんが、命には変えられません。

頭を打っている場合や出血がある場合には、見た目以上に大きな損傷を抱えている可能性もあります。まずは速やかに、救護活動や応急処置、救急車の要請に徹しましょう。

2-2 二次被害の防止

二次被害の防止|三角表示板・発煙筒.jpg

負傷者の手当てと同時に、二次被害の防止にも気をつけなくてはいけません。

事故を起こしたままの状態だと後続車に気づいてもらえず、追突事故などのさらなる事故を引き起こす可能性が高いです。まずは車をほかの通行車や通行人の邪魔にならないよう、路肩などに寄せます。

車が移動できない場合や、移動をさせても危険な場所で事故が起きた場合には、三角表示板や発煙筒、ハザードランプも利用してください。

自分自身も他の車と衝突事故にならないよう周りに気をつけながら、事故の存在が周知されるよう努めましょう。

2-3 警察に連絡する

警察へ連絡.jpg

負傷者に関して問題がなく、二次被害の可能性がないよう対処もできた場合には、速やかに警察に連絡をしましょう。

警察には基本的に、下記のような内容を報告します。

・事故を起こした場所
・事故を起こした日時
・損害の対象物
・損害の大きさ
・安全確認措置の結果

「道路交通法第72条」では、「交通事故は警察に届出をしなくてはいけない」と義務付けられているので、できるだけすぐに連絡をしましょう。

自損事故の場合には3年以内に届出をすれば良いとされていますが、届出をしないと保険が降りないだけでなく、忘れた頃にお尋ねがくる可能性もあります。

たとえガードレールなどの公共物に少しこすってしまっただけでも、警察にすぐ連絡することをおすすめします。

2-4 保険会社に連絡

事故を保険会社へ電話.jpg

保険に入っている場合には、保険会社に連絡をします。

なお、保険金を受け取る場合には警察により発行される「交通事故証明書」が必要です。交通事故証明書は、警察に連絡をして事故の事情聴取をされることで発行されます。また、万が一公共物の欠陥により事故を起こしてしまった場合にも、管理者の責任問題を問うためにまず警察への報告が必要不可欠です。

【関連記事】交通事故証明書の取得方法!取得場所や申請方法、日数など弁護士が解説!

【関連記事】交通事故証明書は後日でも受け取れる?申請方法や注意点について解説!

警察に報告をしていない場合には保険金がおりず、休業申請などの手続きもできなくなるので、まずは警察に報告しましょう。

【関連記事】交通事故の休業損害証明書の記載方法|書いてもらえない場合の対応方法まで弁護士が解説

2-5 病院に行く

治療に行く.jpg

事故を起こした際の衝撃が強かった場合、たとえ外傷はなくてもムチウチ高次脳機能障害などの状態になっているかもしれません。後々大きな問題になることもあるので、小さな事故だからと思わずに、念のため病院に行って検診を受けましょう。

交通事故の治療は、健康保険が使えないなどという誤った情報もありますが、国民健康保険などの対象となるので、検診料が高額になることはないはずです。

病院に行くのが遅くなると、怪我と事故との因果関係が証明できないとして、治療費を含む保険金が支払われないリスクがあります。

【関連記事】高次脳機能障害は弁護士で変わります|交通事故の後遺障害の等級認定から交渉までお任せ

3 自損事故で「自賠責保険」は使えません

自損事故で自賠責保険は使えません.jpg

全ての車に加入が義務付けられている「自賠責保険」ですが、自損事故の場合には基本的に利用できません

なぜなら、自賠責保険が補償の対象としているのは「被害者の救済」であり、事故を起こした運転手本人は該当しないからです。

では、運転手のケガや、自損事故で損傷した自分の車は、どのような保険に入っている場合に補償対象となるのでしょうか?

4 自損事故が補償対象になる保険とは?

自損事故が補償対象になる保険とは.jpg

自損事故で補償対象となる保険は、対象者や対象物によって異なります。

①運転手が死傷した場合
②運転手の同乗者が死傷した場合
③自分の自動車が損傷した場合
④他者や公共の所有物を損傷した場合

それぞれのケースごとに、どのような保険が活用できるのか、くわしくお伝えしていきます。

事故を起こす前に加入している保険がある場合には、現状が補償対象となるのか確認してみてください。

4-1 運転手が死傷した場合

運転手が死傷した場合に活用できる保険は、主に下記が挙げられます。

・人身傷害保険
・搭乗者傷害保険
・自損事故保険(対人賠償保険も要確認)

人身傷害保険」とは、運転手だけでなく同乗者が死傷した場合にも、損害の総額が受け取れる保険です。

過失の大きさに関わらず総額が受け取れるため、自損事故でも問題なく保険金が支払われます。

搭乗者損害保険」でも運転手と同乗者の死傷内容によって保険金が支払われますが、金額はあらかじめ決められているのが特徴です。

また「自損事故保険」は基本的に、「対人賠償保険」に加入している場合に自動付帯されていることが多いため、対人賠償保険に入っている場合には確認してみてください。

4-2 運転手の同乗者が死傷した場合

続いて、運転手の同乗者が死傷した場合には、下記のような保険が対象になるはずです。

・自賠責保険
・人身傷害保険
・搭乗者傷害保険
・対人賠償保険
・自損事故保険

同乗者は自分以外の他人であるため、車を持っていると強制加入になる「自賠責保険」の対象になります。

また、「対人賠償保険」は同乗者が家族以外の他人である場合には適用されるはずです。同乗者が記名被保険者や運転者の両親・配偶者や子供の場合には適用外となります。

4-3 自分の自動車が損傷した場合

自損事故ではほとんどの場合に、自分の自動車が損傷しているはずです。

自分の自動車が損傷した場合の保険は基本的に「車両保険」だけが補償対象となります。

事故だけでなく、盗難などの被害にあってしまった場合にも適応され、保険金が払われることが多いです。

とはいえ車両保険の対象となる事故範囲は異なるため、加入している場合には内容をしっかり確認しましょう。

4-4 他者や公共の所有物を損傷した場合

事故により他人の所有物を壊してしまった場合には、「対物賠償保険」の対象となります。

他人の車や家などはもちろん、公共のガードレールや電柱、信号機、壁などを壊してしまった場合にも対象となります。

あくまで「対物」の保険なので、人が相手の場合には「対人賠償保険」でなければ対象とはなりません。

また、自分の所有物は補償の対象外になるので、「車両保険」に入っていない場合には自分の自動車の修理は全て自己負担になります。

5 まとめ:自損事故を起こしたらまず警察に連絡しよう

弁護士・大隅愛友.jpg

自損事故を起こした場合には、その規模にかかわらず警察に報告をするのが義務です。

連絡を後回しにしても面倒になったり忘れてしまって、最悪の場合には罰金などの処罰になることもあります。自損事故の大きさに関わらず、速やかに警察へ相談し、病院に行くのも忘れないでください。

本記事が自損事故でお悩みの方の参考となれば幸いです。

自損事故は弁護士特約・相談のみ受付中

弁護士特約の相談のみ対応。
相談、セカンドオピニオンとしてご利用ください。

監修者

ベストロイヤーズ法律事務所

代表弁護士 大隅愛友

詳しくはこちら
交通事故について1000件以上のご相談を頂いている弁護士です。

慰謝料の増額、後遺障害認定のサポートを中心に、死亡事故から後遺障害、休業損害の請求に取り組んでいます。

交通事故の被害者救済のために、積極的に法律・裁判情報の発信を行っています。

全国からご相談を頂いております。ご希望の方はお電話またはwebでの無料相談をお気軽にご利用ください。

地図・アクセス

千葉事務所

千葉駅徒歩3分

千葉市中央区新町1-17
JPR 千葉ビル12階
詳しく見る

ご予約
相続・交通事故に関するご相談については、まずはお気軽にご連絡ください。弁護士との相談日時を調整し、ご予約をお取り致します。

面談の際にご準備いただく書類がある場合には、合わせてご説明致します。

※お電話・メールで回答のみを求めるお問い合わせには応じておりません。