駐車場での事故はどう対処すればいい?警察に連絡は必須!過失割合も解説
監修者ベストロイヤーズ法律事務所
弁護士 大隅愛友
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月極駐車場やショッピングモールなどの駐車場は、実は接触事故などの軽微な事故が起きやすく、車両事故全体の4分の1以上が駐車場で発生しています。
(出典:一般社団法人 日本損害保険協会)
もっとも、駐車場内ではそれほど速度を出して運転しないことから、事故の損害も小さいことが多く、警察を呼ぶべきなのか判断に迷う人は少なくないようです。とくに当事者間で解決できそうな場合には、警察へ連絡しないケースも散見されます。
しかし、警察を呼ばなかったり、その場で示談をしてしまったことで、後日、思わぬ形で大きな問題となってしまうことがあります。
本記事では、駐車場での事故で警察を呼ぶべき理由や、事故が起きてしまった際の対処方法などについて過失割合も含めて解説します。
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1 駐車場内での事故は軽微なものでも警察を呼ぶべき
駐車場内での事故も起きたら基本的には警察を呼ぶべきです。
当事者間で解決できそうな軽微な事故の場合であっても、道路交通法では警察への報告が義務です。
道路交通法が適用されるかどうかは、事故現場の駐車場がどういった場所かによって分かれます。事故の責任についても、事故現場の状況によっては当事者だけでなく駐車場の管理者も負うケースがあります。
1-1 道路交通法が適用されないケース
月極駐車場や個人の敷地内は私有地扱いになるため、道路交通法は適応外になるケースがほとんどです。
「道路」と認められない私有地での事故では、警察を呼ばなかったとしても、道路交通法で定められている警察への報告義務違反に該当しない可能性はあります。ただし、事故現場の駐車場が「道路」と認められるかどうかの判断は非常に難しいです。
【関連記事】自分の家で車をぶつけたら警察の連絡は必要?駐車場での自損事故やぶつけられたケースについて
1-2 道路交通法が適用されるケース
駐車場であっても道路交通法が適用されるケースは多いです。
不特定多数の人が自由に通行できるような私道や空き地、駐車場は私有地ではなく「道路」と認められます。スーパーやドラッグストア、ショッピングモールなどの駐車場が該当します。
こういった場所で起きた事故は、交通事故という扱いになるため、公道で起きた事故同様に警察への連絡は義務です。警察への連絡を怠ると、処罰の対象になります。
1-3 駐車場の管理者も責任があるケース
駐車場内の事故は当事者同士だけの責任だけではなく、駐車場の管理者も負うケースがあります。
駐車場内の設備に安全上の問題点があり、それが事故に起因している場合は、駐車場の管理者が責任を負います。たとえば、駐車場内の見通しが悪かったり、障害物が置いてあったりしたことによって事故が起きてしまったようなケースです。
「駐車場内の事故については責任を負いません」といった文言が駐車場内の看板に記載されていたとしても、上記のようなケースでは、管理者は賠償責任を負います。そのため、事故の状況や原因を自分で判断せず、どのような状況でも警察や保険会社に連絡をするべきです。
2 駐車場内の事故で警察を呼ばないとどうなるのか?
(出典:自動車安全運転センター)
私有地と認められる駐車場内の事故であっても警察に届出をしていなければ、交通事故証明書が発行されなかったり、保険が適用できなかったりとリスクが大きいです。駐車場内の軽微な事故も必ず警察に届けるようにしましょう。
【関連記事】交通事故証明書は後日でも受け取れる?申請方法や注意点について解説!
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道路交通法が適用されるかどうかとは別に、人身事故を起こした場合は自動車損害賠償保障法3条で定められている通り、事故の責任を負わなければなりません。運転ミスで物損被害がでた場合も、民法709条によって不法行為責任にとわれます。
【関連記事】交通事故は警察へ後日でも連絡は必須!連絡後の対応方法を解説
3 駐車場内で多発する事故
ここからは、駐車場内で発生しやすい事故の種類を3つ紹介します。
3-1 接触事故
駐車場内では接触事故が非常に多いです。
駐車場は歩行者や自転車、車が不規則な方向に移動します。駐車している車の数が多いと見通しも悪いため、利用者の多いショッピングモールやコンビニの駐車場で多発します。駐車区画内への駐車を失敗してしまい、フェンスやとなりの車に当たってしまうケースも多いです。
【関連記事】軽い接触事故で警察を呼ばないと起こるリスクとは?呼ぶべき理由や違反内容を解説
【関連記事】(非接触事故)後日警察から連絡がある?損害賠償や対処方法を解説!
3-2 当て逃げ
駐車場ではドライバーが不在の状況もあり、当て逃げ事故も多いです。とくに多いのは、ドアを開けた際にとなりの車にぶつけてしまうようなケースです。ドライバーが不在だからといって、その場から離れてしまうと「当て逃げ」となり刑罰の対象になります。
当て逃げは単純な物損事故よりも点数が加算されるため、免停になる可能性があります。当て逃げをされてしまった場合は、修理代等に保険が適用されることもあるので保険会社に連絡をしましょう。
【関連記事】当て逃げの責任と賠償金は?気づいたらすぐに警察へ
3-3 機械式立体駐車場
都内マンションなどでよく見られる機械式立体駐車場は、誤って周囲の人が機械に挟まれてしまう事故が起きます。とくに子どもがまき込まれてしまい、死傷するケースが多いです。
4 駐車場内で事故が発生したら?
駐車場内の事故も基本的には公道で事故を起こした場合と同じように対応していきます。流れとしては、
- ケガ人の確認と救護
- 警察への連絡
- 事故状況の確認
- 保険会社への連絡
です。
4-1 ケガ人の確認と救護
まず優先すべきことは、事故によりケガ人がいないかどうかの確認です。ケガ人がいた場合は、速やかに安全な場所へ移動して救急車を呼んだり、周囲の人へ救助の要請をしたりしなければなりません。
また、二次被害が発生しないように可能であれば車も安全な場所へ移動させましょう。
4-2 警察へ連絡
人身事故ではない場合、およびケガ人への対応を行ったら速やかに警察へ連絡をします。事故の発生場所と日時、事故に対してどのような対応を行っているかを報告します。
4-3 事故状況の確認
目撃者の確認や事故現場の撮影などをして、事故状況を客観的に説明できるように準備しておきましょう。損害賠償の金額の決定では、事故の状況が非常に大きなポイントになります。
事故を目撃した人がいれば証人になってもらうように交渉をしたり、事故の様子を写真や動画で記録したりしておくことが重要です。目撃者の連絡先は控えておき、後から連絡ができるようにしておきましょう。
【関連記事】接触事故で事故現場から相手が行ってしまった・逃げてしまった場合の対処法について弁護士が解説
4-4 保険会社へ連絡
事故の処理をスムーズにすすめるためにも、保険会社には速やかに連絡をしましょう。保険会社が代わりになって事故の処理をしてくれます。
相手から示談の話をもちかけられたとしても、その場で判断せずに保険会社に相談する方が後々トラブルになりません。
【関連記事】交通事故その場で示談してはいけない理由|事故後の対処法も弁護士が解説
5 駐車場事故での過失割合
駐車場での事故は過失割合の算出が非常に難しいです。
とくに、車がどちらも走行していた場合はケースバイケースになります。算出の基本は、過去の事例をもとにした過失割合から、個々の状況に合わせて調整していきます。たとえば、よくある接触事故の過失割合は下記の通りです。
- 両車走行中に十字路で出会い頭にぶつかった=50:50
- 出庫の車:停車する車=100:0
- 車:歩行者=90:10
保険会社同士の話し合いになると、不利な条件で示談がすすむこともあります。過失割合で損をしてしまわないためにも、不安な際は弁護士などに相談することをお勧めします。
6 まとめ:駐車場の事故でも必ず警察へ
駐車場内で事故が発生したら必ず警察に連絡するようにしましょう。
ショッピングモールなど、不特定多数の人が行き来する場所であれば、それは私有地ではなく公道と同じ扱いです。報告義務違反で処罰対象になります。道路交通法が適用されない私有地内の事故であったとしても、交通事故証明書が発行できなかったり保険が適用できなかったりと、警察を呼ばないリスクは非常に大きいでしょう。
もし事故を起こしてしまった場合、駐車場内事故は過失割合の算出が非常に難しいです。不利な条件で示談しないためにも、不安な際は弁護士に相談するのがおすすめです。
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