自転車に横から突っ込まれた場合の過失割合とは?車の慰謝料相場は?

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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自転車に横から突っ込まれた場合の過失割合とは?車の慰謝料相場は?

いつも通りに車を運転していたら、自転車に横から突っ込まれて冷や汗をかいた…という経験をする日が来るかもしれません。

車と自転車がぶつかったとき、より大きな被害が出る可能性があるのは自転車であることから、一般的には車の過失割合が大きくなると言われています。

「自転車の不注意が原因なのに、車にも過失があることになるの?」
「車と自転車の事故で、自転車の過失が大きくなることはある?」
「100%自転車が悪いと判断されるケースもあるの?」

この記事では、上記のような疑問を抱えて弁護士事務所へご相談にいらっしゃる方に向けて、回答をしていきます。

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1 自転車に横から突っ込まれた!過失割合はどうなる?

自転車に横から突っ込まれた!過失割合はどうなる?

自転車に横から突っ込まれたというケースの中には、「車側が青信号だった」「自転車が急に進路変更をした」など、一見すると自転車が完全に悪い場合もあるはずです。

しかし結論、自転車と車が衝突した場合、車にも少なからず過失があるとみなされると思っていた方が良いでしょう。

車VS自転車では車が不利

どのような状況においても車側に過失割合が大きくなりやすい理由は、自転車と車が衝突した場合に、車は無傷でも自転車は即死になる可能性がありうるからです。

車は自転車や歩行者など弱者の存在を、常に配慮しながら運転する必要があります。

とはいえ、過失割合としては自転車側が大きくなることは、大いにありえます。

つまり、被害者である車に過失がみなされることはあるものの、必ずしも車の過失の方が大きくなるとは限らないということです。

2 自転車に横から突っ込まれた!基本の過失割合

自転車に横から突っ込まれた!基本の過失割合.jpg

自転車との衝突事故では、状況によって基本の過失割合を見定めることができます。

信号の有無や、右折・左折の意図進路変更など、道路状況等それぞれ基本となる過失割合をもとに加点や減点要素を加味していきます。

①両者直進の出会い頭事故
②同一道路から交差点進入時の事故
③横断歩道での事故
④道路外から道路へ進入時の事故
⑤進路変更時の事故

上記のケースを、信号の有無や色、状況別にご紹介します。

①両者直進の出会い頭事故

交差点で出会い頭に起きる事故では、まず信号の有無や色で過失割合を判断します。

▼信号がある交差点の場合

車の信号

自転車の信号

過失割合(車:自転車)

20:80

40:60

100:0

70:30

60:40

つまり、車が青のときにも車に過失は付くものですが、自転車が赤で進んでいれば車の過失割合は減るということです。

一方で信号がない交差点の場合、原則の過失割合は「車:自転車」が「80:20」となります。

ただし厳密には、下記のように過失割合が定められることが多いです。

▼信号がない交差点の場合

自転車

過失割合(車:自転車)

道幅が同じ

道幅が同じ

80:20

道幅が広い

道幅が狭い

70:30

道幅が狭い

道幅が広い

90:10

一時停止表示がある

一時停止表示がない

90:10

一時停止表示がない

一時停止表示がある

60:40

一方通行違反である

一方通行違反でない

90:10

一方通行違反でない

一方通行違反である

50:50

優先道路である

非優先道路である

50:50

非優先道路である

優先道路である

90:10

②同一道路から交差点進入時の事故

自動車が右折をする際に自転車と衝突を起こしたケースの過失割合も、信号の状況で異なります。

車の信号

自転車の信号

過失割合(車:自転車)

なし

なし

85:15

85:15

青(右折)

15:85

65:35

65:35

同一道路を走っていた場合、自転車側にも過失があるとみなされることが多いです。

ただし、車がなんらかの違反をしている場合や、車の不注意である点が大きいとされる場合には、車の過失割合がかなり大きくなります。

③横断歩道での事故

横断歩道を走っていた自転車が車と衝突した場合には原則、下記のように過失割合が決められます。

車の信号

自転車の信号

過失割合(車:自転車)

25:75

45:55

100:0

75:25

青(点滅・黄)

90:10

青(車が右折)

90:10

青(車が右折)

40:60

車が横断歩道を横断する場合には、信号の色に関わらず歩行者や自転車に細心の注意を払っていて当然である、ということを前提にしていると言えるでしょう。

④道路外から道路へ進入時の事故

たとえば、道路沿い(道路外)にあるお店で用事を済ませ、道路に戻ろうとしたときに衝突する事故は多いです。

この場合、たとえ自転車が不注意であっても、車の過失割合が大きくなる傾向があります。

道路への進入時の過失割合は、下記のとおりです。

自転車

過失割合(車:自転車)

車が道路外から道路に進入

自転車が道路を走っている

90:10

車が道路を走っている

自転車が道路に侵入

60:40

ただし、明らかに進入中にも関わらず横から突っ込んだ場合など、不注意がはっきりしている場合には、過失割合が変わることもあります。

⑤進路変更時の事故

進路変更をともない、先行車と後続車が衝突してしまう事故も多いです。

進路変更で自転車が急に止まったり、向きを変えようとすることは珍しくないですが、基本的にはどのようなケースでも車の過失割合が大きくなってしまいます。

自転車

過失割合(車:自転車)

車が進路変更

自転車は直進

90:10

車は直進

自転車が進路変更

80:20

車は直進

自転車が障害物に対応し進路変更

90:10

自転車が前を走っているときには自転車の動きを確認しながら、細心の注意を払って運転していることを前提とした過失割合といえます。

ただし、自転車が合図などをしていない場合には、過失割合に変更が生じることもあります。

日頃から安全運転を心がけているドライバーが身を守るためには、ドライブレコーダーにより状況判断ができるようにしておくことが重要でしょう。

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3 自転車に横から突っ込まれ事故!加点・減点要素とは?

「自分は気をつけていたのに、自転車に突っ込まれた」というケースでも、車と自転車がぶつかる事故であれば、車にも過失が生じます。

しかし、車と自転車それぞれの状況によっては、過失の加点や減点が起こることもあります。

車と自転車、それぞれの加点・減点ポイントをご紹介します。

3-1 車の過失割合が増えるケース

では、車の過失の割合が増えるケースからご紹介します。

・酒気帯び運転

【関連記事】飲酒運転の交通事故の示談金の相場|慰謝料の金額を増額できます

・いちじるしい不注意運転
・速度違反

【関連記事】速度違反・スピード違反の点数は?反則金や罰金、手続きも解説

お電話頂きたい

・夜間走行
・ハザードランプなど合図のし忘れ

他にも、ハンドルやブレーキ操作をあやまった場合などには、過失割合が大きくなります。

なお、酒酔い運転や居眠り運転、速度の大きな違反をしていた場合には、過失割合がかなり大きくなるでしょう。

3-2 車の過失割合が減るケース

一方で車の過失割合が減るケースは基本的に、「じゅうぶんな注意を払って、道路交通法に従い運転していた」ことが非常に重要です。

・速度を守って運転していた
・慎重に徐行をしていた
・必要な合図をしっかり出していた
・すでに侵入を開始し動きの予想ができた
・相手に重過失があった

お酒を飲んでいなかったことは当然ながら、意識的に事故を回避するための行動をとれていたのかどうかも大切です。

たとえば、横断歩道の信号が赤になり、車の信号が青になったからといって、周りを見ずに発進するのは危険です。

背後から子供の自転車が飛び込んでくる可能性がないとも言えないので、まずは周りの状況を見て、安全を確かめてから動き出しましょう。

車道に自転車専用の道が用意されていることもあるため、巻き込みをする可能性がないかをじゅうぶんに確認し、自転車を優先的に走らせる心の余裕を持つことも大切です。

3-3 自転車の過失割合が増えるケース

続いて、自転車の過失が大きいと判断されうるケースをご紹介します。

・二人乗り
・酒気帯び運転

【関連記事】飲酒して自転車事故|飲酒事故後の適切な対応と過失割合を解説
・片手運転
・夜間の無灯運転
・ながら運転(スマホ・イヤホンの使用など)
・他の自転車との並行走行
・危険な運転

スピードを落とさずに交差点に入った場合や、猛スピードで坂道を降りていた場合、お酒を飲んでいた場合などは、特に過失割合が重くなる傾向があります。

3-4 自転車の過失割合が減るケース

自転車の過失割合が減るケースもご紹介します。

車の運転手としては納得ができないかもしれませんが、交渉をするときには熱くならず、冷静に状況を判断しましょう。

・自転車の運転手が子供あるいは高齢者
・自動車側の合図ミス
・自転車横断帯走行
・大型車との接触

自転車を走行していたのが子供や高齢者の場合、自動車側の不注意であるとされやすくなります。

また車が合図を出していなかった場合など、自転車から見て動きの意図がわかりにくいと、自動車側のミスと判断されるでしょう。

車の運転手は運転免許を取得する際に道路交通法を学習しているはずなので、安全運転をするための知識を身につけ責任を持って車を運転しているはずです。

一方で自転車を走行している人は、道路交通法上のルールを知らずに運転していることがほとんどでしょう。

車の運転手にとっては予想もできない行動をとることもあるため、走行中は油断をせずに周りを気にする必要があります。

4 まとめ:自転車との事故は車の過失が大きくなる!

弁護士 大隅愛友.jpg

車が自転車と衝突事故を起こした場合、たとえ横から自転車に突っ込まれたような車の落ち度が少ないケースでも、過失割合が見込まれるものです。

特に相手が子供や高齢者である場合には、車側の過失割合が大きくなる傾向があります。

自転車側が見通しの良い道路を走っていたなど、たとえ相手の確認ミスや不注意が原因の場合にも、自転車が相手の場合には車の過失をまぬがれることはほとんどできません。

車の事故は、人の命をうばう大きなきっかけになりうるものです。

しかし自転車を運転している側は、車の脅威に気づいていないことがあります。

あくまで他者の運転を信じず、自分自身が気をつけて運転をして事故を未然に防ぎましょう。また、事故が起きた場合には、適切な過失割合を前提に解決を図りましょう。

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