交通事故の見舞金は10万円?金額の相場と注意点を解説

監修者ベストロイヤーズ法律事務所

弁護士 大隅愛友

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交通事故の見舞金は10万円?金額の相場と注意点を解説

この記事でわかること

  • 見舞金は賠償金や示談金そのものではありません
  • 見舞金は保険会社からのものと加害者からのものがあります
  • 見舞金の相場は5万円~20万円くらいです
  • 加害者からの見舞金は受け取ってよいか注意点を確認しましょう
  • 当面の生活費等が必要な場合には見舞金ではなく他の制度があります

交通事故で入院・通院が必要になった際、「見舞金」を受け取れることがあります。

見舞金には自分が契約している保険会社によるものと、加害者から支払われるものとがあります。「加害者が支払う見舞金の相場は10万円!」といった声を聞いたことがあるかもしれませんが、受け取れる金額は、契約している保険内容や損害の程度、加害者によってケースバイケースです。

この記事では、交通事故による見舞金についての金額相場や、受け取る際の注意点について解説します。

1 見舞金は示談金・損害賠償とは異なるものです

まず大前提ですが、見舞金は加害者が支払わなければならない示談金・損害賠償金とは性質が異なるものです。基本的に示談金・損害賠償金は加害者が加入している保険会社が支払うもので、見舞金は被害者の加入している保険会社や加害者自身が支払います。

示談金は、交通事故によって被害者が受けた損害のすべてを金額にしたとき、加害者と被害者が示談で合意したした金額です。損害賠償金も、被害者に与えた損害を償うすべての金銭額のことであるため、示談金=損害賠償金ともいえるでしょう。

一方、慰謝料は、示談金・損害賠償金の中に含まれるもので、精神的な損害を金銭に換算したものです。

(示談金・損害賠償金のイメージ)

示談金

損害賠償

精神的損害を賠償

・慰謝料

・財産的損害を賠償

・治療費

・休業損害

・車両修理費 等

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治療費や休業損害は実費や計算で割り出せるためわかりやすいですが、精神的な損害(慰謝料)についてはハッキリとした金額を計算できないため、治療期間や後遺障害の程度等を基準として話し合いで決定します。

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2 加害者からの見舞金の金額の相場

加害者が支払う見舞金は義務ではなく任意です。

一般的に加害者が支払う見舞金には、事故を引き起こしてしまった謝罪と誠意の念が込められています。そのため、被害者側から請求をするものではありません。

相場については個人差があるため明確なものはありませんが、一般的に2万円〜20万円の範囲であることが多いです。また見舞金の受け渡しは事故を起こしてから1週間以内に行う加害者が多いです。あくまでも「社会的礼儀」として支払われるものなので、金額は加害者が決定します。

現金ではなくお見舞い品としてフルーツや花が贈られるケースもめずらしくありません。見舞金や品物を受け取るかどうかは被害者本人に委ねられています。

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3 加害者から見舞金10万円を安易に受け取るのはNG?注意点は?

加害者側の謝罪や誠意を示す見舞金ですが、基本的には受け取ってもよい場合が多いです。

しかし、見舞金を受け取ってしまうと後にトラブルになるケースもあるので注意は必要です。

加害者からの見舞金を受け取ると、損害賠償の金額が減る可能性があります。10万円など、見舞金の額が高額になればなるほど、賠償金減額の可能性は高まっていくので下記3点の注意が必要です。

3-1 見舞金か示談金かを明確にしておく

加害者が見舞金について後から「先日渡したお金は慰謝料のつもりです。」と主張すると、損害賠償から受け取った金額分が差し引かれるかもしれません。

見舞金を受け取りたい場合は、慰謝料ではないことを必ず明確にしておきましょう。

3-2 示談金の交渉には応じてはいけません

見舞金を受け取った際に、示談金の交渉をされるケースも少なくありません。

見舞金受け渡しの段階では示談が成立していないことが多く、当事者間で示談金の話をするのは、基本的に控えておくのがベターです。トラブルへの発展や大きな損につながりかねません。

5-3 減刑になる可能性がある

見舞金を受け取ると加害者の刑事上の責任が減刑される可能性があります。

交通事故を起こすと、加害者には

  • 刑事上の責任:懲役や罰金等
  • 行政上の責任:免許停止や取消等
  • 民事上の責任:損害賠償を支払う義務

といった3種類の責任を負う必要があります。

しかし、見舞金を被害者が受け取ってしまうと、刑事裁判で「情状酌量」の余地を与えかねません。

「被告人は非常に反省をしており、加害者にも見舞金を手渡すなどの誠意を見せています。」などの訴求を行うと、裁判官に与える印象は変わるかもしれません。

加害者に厳罰を求めるのであれば、見舞金の受け取りを断るのも選択肢のひとつです。

4 保険会社からの「見舞金」

被害者が搭乗者傷害保険に加入している場合、交通事故の被害者となった際に一定の保険金を受け取れます。搭乗者傷害保険とは、交通事故などで死亡または損傷を負った場合に支払われる保険で、事故後に診断が確定した時点で請求できます。正確には、見舞金ではありませんが、「見舞金」と呼ばれることも多いです。搭乗者傷害保険を受け取っても保険の等級は下がりません。

損保ジャパン 搭乗者保険.png

(出典 損保ジャパン日本興亜のホームページ)

よく「交通事故にあったら見舞金が10万円もらえる!」という声もありますが、これは搭乗者傷害保険で「入通院5日以上で10万円」など、保険金額の設定基準を設けているケースが多いからです。必ず10万円もらえるというわけではありません。

搭乗者傷害保険には、日額方式部位症状別払いの2つの支払い方式があります。

4-1 日額方式

日額方式とは、被保険者が損傷を受けた期間に応じて、支払われる保険金の額を決定する方法です。

【計算式】入院・通院の日額保険金×入院・通院日数

たとえば、1日あたり1万円の日額方式の保険に加入している場合、被保険者が事故により10日間入院すると最大で10万円の保険金が支払われます。日額の保険金は契約によって決まっており、事故から180日以内の入院・通院が日数としてカウントされます。

4-2 部位症状別払

部位症状別払いは、被保険者が受けた傷害の種類や症状に応じて支払われる保険金の額を決定する方法です。命の危険に関わるような損傷になっていくほど支払われる金額は高くなるよう設定されています。

部位症状別支払の相場は5万円〜10万円で、基本的に日額方式よりも支払われる保険金が低くなります。

5 見舞金ではないものの、早急にお金が必要な場合の制度(傷害保険等)

交通事故によって、これまでのような通常の生活を送るのに支障がでる場合もあるでしょう。事故後、どうしても早急にお金を準備したい場合には下記の2つの方法があります。ただし、どちらも見舞金ではありません。

5-1 仮渡金

仮渡金制度は、損害が未確定の段階で加害者の自賠責保険から受け取れるお金のことです。死亡の場合は290万円、損傷の場合は5万円・20万円・40万円と程度に応じて支払われます。損害賠償の請求までには資料の準備などで時間がかかるため、それまでの出費に対して速やかに支払われます。

ただし、仮渡金はあくまでも損害賠償金に含まれているため、損害が確定した際に損害賠償の額を超えた分については、差額分の返還をしなければなりません。

5-2 内払い

内払いは、損害賠償の一部が示談成立の前段階で加害者の任意保険会社から支払われるお金です。一般的には治療費の立て替えや休業損害を補填するために請求される場合がほとんどです。ただし、治療費は加害者の任意保険が支払ってくれるケースも多いので(任意一括対応)、内払い金を請求するかどうかはしっかりと保険会社の対応を調べておきましょう。

内払いで支払われるお金も仮渡金同様に損害賠償金に含まれているため、損害が確定した際には最終的な損害賠償金(示談金)から内払いの分が差し引かれます。

6 まとめ

交通事故による加害者からの見舞金があるかどうかは、加害者に委ねられているのでこちらから請求することはできません。もし、加害者が見舞金を渡しに来たとしても、その後の損害賠償金(示談金)や刑事罰への影響を考えて受け取るかどうかを検討しましょう。

見舞金を受け取るよりも弁護士に依頼をして適切に損害賠償金(示談金)の交渉を行うことで、最終的に得られる金額が高くなることが多いです。

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見舞金や賠償交渉などでお悩みがあればまずは無料相談を利用して弁護士へ相談してみることをお勧めします。

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